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秘密は常に崩れるのを待っていて…
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月曜日が始まった。
家政婦に薬を持たされ、家を出た。
まずは通学途中にあるアヤミの家を目指す。
アヤミの家のチャイムを鳴らし、アヤミがでてきた。
既にグループチャットで俺とミズキが入れ替わったことをアヤミと快斗は知っている。
「おはよう」
「おはよ。朝いつもみーちゃんが迎え来てくれるの嬉しいけど、やっぱりみーちゃんじゃないから変な感じ」
「どこか変?外見はミズキだけど違いが分かる?」
「みーちゃんは毎朝すごい笑顔で迎えてくれるから」
そうだ……俺もアヤミと入れ替わった時、迎えにきてくれたミズキは玄関で顔を合わすと笑顔だった。学校でも元気に振る舞っていた。
でも実際は常に体に怠さがあり、突然の胸の苦しみに耐えて薬を飲み、病気のことを隠して精一杯毎日を生きていた。
「女子の体ってどう?私と違った?」
アヤミの意外な質問に困惑したが、ありのままを話した。もちろん約束通りミズキの病気の事は隠しておいた。
「いいなぁ。私もみーちゃんと入れ替わりたい」
「じぁあ試してみようか」
俺はアヤミの手を握った。
「触んな!キモデブっ!……あっ、ごめん。みーちゃんごめん。今はみーちゃんじゃない。ややこしいよ~」
急にどうしたの!?そうか俺と最初に電車で出会った時もアヤミは俺を見て侮辱した。
ミズキの口調の悪さはアヤミの伝染だったわけか!
「……アヤミさん、そのキレ口調やめたほうがいいよ。ミズキさんが真似してるから」
「キレ口調?みーちゃんの口の悪いの私からだったの?」
自覚ないのが1番怖いわ。
学校に着いて授業が始まる。
アヤミと入れ替わっていたからか、授業も慣れた。しかし薬の副作用か常に眠たい。よくミズキは授業を寝ないで、毎日やり通せたと感心する。
5限目。授業が始まってすぐ胸が苦しみ始め、やがて意識が朦朧となった。
気付いた時には白いカーテンで囲まれた空間。それにベッドで寝ていた。
俺は頭を抑えた。
俺の顔を覗き込む顔が5つ。
担任の先生とアヤミと快斗とマサト、それに家政婦さんだった。
「みーちゃん……」
「て、テメ……」
マサトは口を開いたが閉じた。アヤミ達がいる前では俺を怒れない。
俺は全員人払いして、後でマサト一人を呼んだ。
「ミズキさん、ごめん学校で倒れたみたいだ」
マサトの目に涙が。
「病気のこと全部知られた」
「えっ……」
俺が倒れて病院に搬送された時に、アヤミ達も病院に来た。そして駆け付けた家政婦さんが皆に病気のことを伝えたらしい。
その後、マサトが合流して隠していたことがバレた事を知った。
「心臓の病気で5年生存率は限りなく低い。だから私の余命はあと数年あるか、ないか。だから高校卒業までは皆と同じように楽しく学校生活送りたかった。でも……もう知られたから、前みたいな同じ生活には戻れないよ……」
マサトの頬に涙が伝う。
ミズキの弱い部分を初めて見た気がした。
「守ってきた大切なものを壊してごめん」
「入れ替わって分かった?私って結構大変でしょ?」
マサトは泣きながら笑顔になる。
「体が常に怠くて薬で眠たい」
「そうそう。理解してくれる人いなくて苦しんだ。みんなに病気のことバレたから、これからは何でも相談できるって考えると気持ち楽になった。ありがとう」
怒ると恐いけど、普段はなんていい子なんだ。
「す、素敵な考えだ」
人生で初めて人を褒めた気がする。
マサトは褒められて照れくさそう。
「褒められても何も変わらないから」
話が終わり、マサトは病室から出て行った。
家政婦に薬を持たされ、家を出た。
まずは通学途中にあるアヤミの家を目指す。
アヤミの家のチャイムを鳴らし、アヤミがでてきた。
既にグループチャットで俺とミズキが入れ替わったことをアヤミと快斗は知っている。
「おはよう」
「おはよ。朝いつもみーちゃんが迎え来てくれるの嬉しいけど、やっぱりみーちゃんじゃないから変な感じ」
「どこか変?外見はミズキだけど違いが分かる?」
「みーちゃんは毎朝すごい笑顔で迎えてくれるから」
そうだ……俺もアヤミと入れ替わった時、迎えにきてくれたミズキは玄関で顔を合わすと笑顔だった。学校でも元気に振る舞っていた。
でも実際は常に体に怠さがあり、突然の胸の苦しみに耐えて薬を飲み、病気のことを隠して精一杯毎日を生きていた。
「女子の体ってどう?私と違った?」
アヤミの意外な質問に困惑したが、ありのままを話した。もちろん約束通りミズキの病気の事は隠しておいた。
「いいなぁ。私もみーちゃんと入れ替わりたい」
「じぁあ試してみようか」
俺はアヤミの手を握った。
「触んな!キモデブっ!……あっ、ごめん。みーちゃんごめん。今はみーちゃんじゃない。ややこしいよ~」
急にどうしたの!?そうか俺と最初に電車で出会った時もアヤミは俺を見て侮辱した。
ミズキの口調の悪さはアヤミの伝染だったわけか!
「……アヤミさん、そのキレ口調やめたほうがいいよ。ミズキさんが真似してるから」
「キレ口調?みーちゃんの口の悪いの私からだったの?」
自覚ないのが1番怖いわ。
学校に着いて授業が始まる。
アヤミと入れ替わっていたからか、授業も慣れた。しかし薬の副作用か常に眠たい。よくミズキは授業を寝ないで、毎日やり通せたと感心する。
5限目。授業が始まってすぐ胸が苦しみ始め、やがて意識が朦朧となった。
気付いた時には白いカーテンで囲まれた空間。それにベッドで寝ていた。
俺は頭を抑えた。
俺の顔を覗き込む顔が5つ。
担任の先生とアヤミと快斗とマサト、それに家政婦さんだった。
「みーちゃん……」
「て、テメ……」
マサトは口を開いたが閉じた。アヤミ達がいる前では俺を怒れない。
俺は全員人払いして、後でマサト一人を呼んだ。
「ミズキさん、ごめん学校で倒れたみたいだ」
マサトの目に涙が。
「病気のこと全部知られた」
「えっ……」
俺が倒れて病院に搬送された時に、アヤミ達も病院に来た。そして駆け付けた家政婦さんが皆に病気のことを伝えたらしい。
その後、マサトが合流して隠していたことがバレた事を知った。
「心臓の病気で5年生存率は限りなく低い。だから私の余命はあと数年あるか、ないか。だから高校卒業までは皆と同じように楽しく学校生活送りたかった。でも……もう知られたから、前みたいな同じ生活には戻れないよ……」
マサトの頬に涙が伝う。
ミズキの弱い部分を初めて見た気がした。
「守ってきた大切なものを壊してごめん」
「入れ替わって分かった?私って結構大変でしょ?」
マサトは泣きながら笑顔になる。
「体が常に怠くて薬で眠たい」
「そうそう。理解してくれる人いなくて苦しんだ。みんなに病気のことバレたから、これからは何でも相談できるって考えると気持ち楽になった。ありがとう」
怒ると恐いけど、普段はなんていい子なんだ。
「す、素敵な考えだ」
人生で初めて人を褒めた気がする。
マサトは褒められて照れくさそう。
「褒められても何も変わらないから」
話が終わり、マサトは病室から出て行った。
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