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11章

184 強奪

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カグリア 視点

娘が消えて数分が経った。

シュン!

あっ!戻って来た。

しかし、戻って来たのはティーだけではなかった。

「かーちゃん!!とーちゃん!!わー!!」

突然ティーと現れた男女2人組に男の子は泣きながら抱きついた。

「ラルフ!?無事だったのね。あー神様感謝します。」

「むーきゃ!むーきゃ!」

ティーは神様ではなく赤ちゃんだと言っている。

そして、現れた男女はどうやら男の子の両親のようだ。
良かった。仕事が一件減った。
そういえばティーは?

「ヤダー!!ベタベタ!」

チン!シュン!

子供達を襲い、次の保護者の元へ行ったようだ。
その後ティーは1人を除き保護者を連れて帰って来た。

「ティー?この子の保護者は?」

あたしがティーを抱き上げ聞いたのは一人だけボロボロの服を着て、座り込んでいるリリスくらいの銀髪の狐種の女の子だった。

「あきゃ!?」

角度的に見えなかったって…
まぁ、物陰でビクビクしてたら見落とすわね。

ぴょん!すちゃ!テクテク…

ん?ティー?

ティーがあたしから飛び降り少女に近付いた。
少女の保護者を探しに行くのかな?

「何?」

「あきゃ!」

「…むぐっ!?」

ティーは少女の口に干し芋を押し込めた。

「モグモグ…」

少女はお腹も空いていたのかティーがあげた干し芋を食べ始めた。
それだけでは終わらずその様子を見ていた他の子供達もお腹が空いていたのか次々とティーに群がった。

「あきゃ!?」

「僕にもちょうだい!ちょうだい!」

流石のティーも少し年上の子供には敵わず干し芋の袋を奪われてしまった。

「あっきゃー…」

ティーはハイハイのポーズで悔しがっている。

「すいませんすいません。」

はっと我に返った子供達の保護者が一斉に謝りに来た。
流石にお腹を空かせた子供の前に出せばこうなる事は予想出来る。
なので、注意だけして帰した。

あたしは代わりがないかとアイテムバックを漁るとおやつがあった。

「ティー、これあげるから機嫌なおして…」

あたしのおやつの乾燥昆布をティーに渡した。

「あーきゃ!」パク!ジュパジュパ…

ティーは一心不乱に昆布をしゃぶっていた。
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