真実の見える眼鏡〜ふたりが見つけた真実〜

ゆめかなえ

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真実の見える眼鏡〜ふたりが見つけた真実〜

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第一章 迷い

俺はある骨董品店で、宝なるものを手に入れていた。
それは、真実が見える眼鏡。店主いわく、かけると、その人の思っていることがわかるという。

俺は半信半疑だったが、眼鏡をかけて、学校内を歩いてみた。
いつも評判のよい教授は、気怠さをまといながら、人目のないところでちっと舌打ちし、修礼儀正しいと思っていた後輩は、影で自転車を蹴り倒していた。

「ふざけんな!」俺は何が本当なのか、分からなくなってきていた。「俺が見てきたものは全部ウソだったのか!」

「修どうしたの?そんな怖い顔して」
最近付き合い始めた恋人の雪が怪訝そうな顔をして、現れる。

俺は、骨董品で手に入れた代物の眼鏡について、雪に話をした。教授のしていたことも、隠れて憂さ晴らししていた後輩のことも。
「眼鏡をかけた世界も真実なら、眼鏡を外した世界も真実なんじゃないの?」

雪はあっけらかんとそう答えた。

「どういうことだ?」

「私だって、聖人君子じゃないし、いつだってご機嫌でもないし、時々うりゃーってなるし、みなそういうものよ」

「どちらも真実。私たちは欠けている部分や隠している部分もあるけれど、それも含めて人間らしくていいじゃない?」

雪は、そういって俺の眼鏡を外した。「疑いながら生きるより、信じて生きるほうがいいものよ!」

雪はそう言って、俺の顔を見た。雪の顔をこんな近くで見るのは初めてだった。

「どっちも愛していこーよ」

雪が、軽く俺のおでこにキスをし、俺は少し照れながら、「サンキューな」と呟いた。

第二章 揺らぎ

あの日から、俺は毎日のように眼鏡をかけて学校を歩いた。
すれ違う人々の「本音」が透明な泡のように浮かび上がってくる。

教授がため息交じりに「またか」とつぶやき、友人の一人が笑顔の裏で「早く終わらないかな。この付き合い」と思っている。

俺の世界はどんどんノイズに満ちていった。 

ある日の昼休み、中庭の、ベンチで買った弁当を広げていると、ミチルが声をかけてきた。
「よう、修。最近なんか雰囲気変わったな」
「そうか?」
「うん。前はもっと、なんていうか、素直だったろ?」ミチルが笑って言う。その笑顔の奥に、俺のことを小馬鹿にした声が聞こえてくる。
(.....何だよそれ)
眼鏡を外す。急に世界が静かになる。

でも、今さら、何も知らなかった頃の自分に戻るのも怖かった。


その日の夜、雪から電話がかかってきた。
「最近元気ないね」
「...別に、ちょっと考え事してただけ」
「また、あの眼鏡?」
俺は少し沈黙してしまった。雪はそれを責めずに、続けた。
「どんな本音もずっと聞いていたら、疲れちゃうよ。人って心の中で毒を吐きながら、それでもちゃんと相手を大事にしていたりするんだよ?」
「じゃあさ、もし俺が雪の心の中を全部知ったら、どうなるかな?」
「人の心は、いつも変化するし、揺れるものだから全部を好きになってもらおうなんて思っていない。でも、その都度選び直してほしい。私も、修を選び直すから」

その言葉が、胸にじんと響いた。

翌朝。眼鏡をかけて教室を見渡す。本音は、決して醜いものばかりではなかった。
「...プレゼン緊張するな...」
「また失敗しそう... でも、がんばらなきゃ」
「隣の子に迷惑かけたかな... 謝ろう」

誰もが不安を抱えながら、懸命に生きていた。
「人間らしい」という言葉の意味が、少しだけ分かった気がした。

第三章 決断

川辺には秋の風が吹いていた。落ち葉が水面に舞い川の流れに揺れては消えていく。

修は、ポケットに手を入れ例の眼鏡を取り出した。黒縁で少し錆びたあの骨董品店で手に入れてからまた数日しかたっていないのにもう何年も一緒にいるような気がする。
見るべきてはないものを沢山みた。知るべきではないことも沢山知ってしまった。

「本当のことを知るって、こんなに苦しいんだ」
ポツリとつぶやいた声は風にかき消された。ふと隣をみると、雪が静かに立っていた。

彼女は何も言わない。ただ、修の手元を見ている。
「なあ、雪、俺怖かったんだ。人を信じることが、ただの思い込みじゃないかって。ずっと騙されたらどうしようって」

雪は優しく微笑んだ。
「うん。怖いよね。でも、思い込みでいいんじゃない?その人を大事に思う気持ちが本当ならさ」

俺は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして、眼鏡を両手に持ち、川の流れにそっと差し出した。
「ありがとな。俺に世界の裏側を見せてくれて」
眼鏡を手放す瞬間、ほんの少し指先が迷った。
だが、その迷いを押し流すかのように眼鏡は水面に触れ、すぐに沈みながら流れていった。

波紋が広がり元通りの静かな川に戻る。

雪がそっと修の手を握った。彼女の手はほんのり温かかった。
「信じるってさ、不完全なものを受け入れるってことなんだよ。完璧じゃない私も、修は好きでいてくれるよね?」

「.....もちろんだよ」

風がまた吹いた。修の頬をかすめる風が少しだけ優しくなった気がした。
俺はもう真実を知る眼鏡はいらない。目の前にいる人を「心」で見ることに決めたからだ。

---

エピローグ 雪の手記

あの日、修が眼鏡を川に流したとき、私は少しだけ泣きそうになっていた。
それは悲しいからじゃない。
ようやく彼が、自分の目で世界を見ようと決めたから。

修は優しい人だ。
優しすぎて、誰かの本音を知ってしまえば、きっと全部自分の責任のように感じてしまう。
そんな彼を見ているのが、ずっと苦しかった。

「真実」って、いつも一つじゃない。
誰かの心は天気みたいに変わるし、曇りの日も、晴れの日もある。
でも、その全部を「その人らしさ」と呼べるようになるまで、人は時間がかかる。

あの眼鏡は、たぶん修に必要だったんだと思う。
世界の裏側を見なきゃ、彼は本当の「表」を信じられなかったから。
でももう大丈夫。彼は今、自分の心でちゃんと見ようとしている。

川面に沈んでいった眼鏡の代わりに、修の瞳が少し澄んで見えた。
風が吹くたびに、彼の横顔に光が差して、私は思った。

——人を信じるって、きっと真実を見抜くことじゃない。
真実が見えなくても、その人を好きでいられること。

それが、私の見ている「真実」だ。



    第二部

第一章 自分の心を見る眼鏡 

一年ぶりにあの川辺に来た。秋の風がまた吹いて、川面がキラキラと光っている。

俺はポケットの中で小さなノートを握っていた。革の表紙の手帳。雪にかりたままだった手帳だ。、表紙の隅に「雪」とサインがある。「––信じるってさ、不完全なものを受け入れることなんだよ」 
あの日の言葉が今も残っている。

俺は大学を卒業し、小さな出版社に勤めることになった。取材で人と話すたび「本音」を隠してしまう自分がいる。眼鏡はもうないが、俺の心の中にもうひとつの眼鏡が残っているようだった。

その日久しぶりに雪からメッセージが届いた。
「修、今度の週末会えないかな?話したいことがあるの」
雪は今、心理カウンセラーを目指してある相談室で研修を受けている。
カフェのドアが開き、柔らかな風とともに雪が現れた。ショートヘアだった髪が少し伸び、表情は落ち着いていた。
「久しぶり」そう言って彼女は微笑んだ。
「修、変わったね」
「そうかな」
「うん。前よりなんていうか、自分と向き合っている顔になった」

雪は少し間を置いて、カバンから何かを取り出した。小さな箱。あの、骨董品店の箱だ。
「……まさか」
「そう。あの店まだあったの。店主さんはこれを私に託したの。もう一度真実を見たいと思ったら、これを使いなさいって」
雪が箱を開くと、黒縁ではなく、金縁の眼鏡が入っていた。
「でもね、これは他人の心じゃなくて、自分の心が見える眼鏡なんだって」
「……自分の心?」
雪は少し笑った。
「私ね、人の悩みを、聞く仕事に、少し携わりはじめて、どれだけいい人でいたいと思ったか気づいたの。でも、本当は弱いし、誰かに助けてほしいときもある。この眼鏡をかけると、そういう自分の裏側が、映る気がして……」
「試してみたのか?」

雪は首を振った。
「怖くてまだ……」
俺はしばらく黙ってその眼鏡を見つめていた。他人の心ではなく、自分の心を見る眼鏡…
それは、たぶん前よりずっと残酷で、でも、誠実な真実だ。
雪が言った。
「修。私たちあのとき信じることを学んだ。でも、次は許すことを学ぶかもしれないね」

風がカフェの小窓を揺らした。俺は小さく頷いた。
「…もし見たくない自分のが映っても、逃げ出さずに向き合えるかな」
「大丈夫私たちならきっと見えるはずよ。本当の優しさがどこにあるか」
雪の瞳の奥にかすかな光が宿っていた。それはかつての眼鏡よりずっと温かく輝いていた。

第二章 心の鏡

雪は部屋の机の上にあの金縁の、眼鏡を、置いていた。「本当にこれをかけたら、見えるのかな」 
鏡の前で、彼女は小さく息を吸い、そっと眼鏡をかけた。
次の瞬間、鏡の中の自分が微笑んだ。だが、その目の奥にはもうひとつの表情が浮かんでいた。
それは、不安と、苛立ちと誰かに認めてほしいという幼い願いを混ぜたような顔、鏡の中の雪がかすかに、ささやいた。
「あなたが助けたいのは、他人じゃなく自分よ」
雪の胸が締めつけられる。クライアントの相談を受けながら、「私が支えてあげなきゃ」と思ったあの瞬間、その裏で彼女は誰かの役に立った自分でいたかったのかもしれない。
眼鏡を外すと、頬を涙がつたっていった。

第三章 崩壊

雨の夜だった。街灯が、濡れたアスファルトを、照らしぼんやり揺れている。 
彼は駅前のロータリーで雪の名前を叫んでいた。
「雪!どこへいるんだよ!」
数時間前、雪の勤務する相談室から、修の元へ電話があった。彼女が、携わっていた女性が、過剰服薬で倒れたという。幸い命に別条はなかったが、雪はその知らせを聞くなり、席を立ち姿を消したらしい。
修は、凍るような雨の中、傘もささずに彼女を探した。秋の終わり、雨に打たれながら、雪はベンチに座りこんでいた。
「どうして電話に出なかったんだよ」 修が息をきらしながら言う。
「私…あの子の本心をちゃんと聞けていなかった。がんばっているねって言葉、あれは自分に言い聞かせているだけだったのかもしれない」
雪の声は震えていた。
「私は助ける人間でいたかったの。誰かの痛みを受け止めている自分が誇りだった。でも、あの子の苦しみを本当は見ようとしていなかった…」

修はそっと彼女の、肩に手を伸ばした。
「そんなこと––」
「あるの!」雪がさえぎった。
「私自分がこわい。善意の裏に自己満足があつまったなんて…もう、カウンセラー失格だよ」
雪は立ち上がり、手の中の眼鏡を、見つめた。
「ねぇ、修。この眼鏡、壊したら楽になるのかな?」
「雪やめろ!」
修が止めるより先に雪は眼鏡を地面に投げつけていた。ガラスが割れる音が、雨音に混ざって消えていく。
その瞬間、修の中で何かが弾けた。
「お前、自分を責めすぎだぞ!あの人の人生を、全部背負えるわけないだろ!」
「でも、私が言葉選びに慎重になっていれば––」
「ちがう!雪のせいじゃない!」
二人の視線がぶつかる。

沈黙が、数秒流れ雪が小さく頷いた。
「修、優しいね。でも、その優しさも私を助けたい自分を、満たすためでしょ?」
修は息をのんだ。


図星だったからだ。
雪を救うこと以上に、自分がが正しい人間でいることのほうが大事なような気がしていた。

言い返す言葉が出てこない。

雪は少し悲しげに微笑んだ。
「ごめん、今は誰かに寄りかかってはいけない気がする。少し一人で考えたい」
そう言って、彼女は、ゆっくり歩きだした。
濡れたコートの裾が風に揺れる。
修は追いかけようとしたが、しばらくして足を止めた。
彼女の背中に大きな覚悟のようなものがみえたからだ。

修が家に戻ると、部屋の中はやけに静かだった。
机の、上のノートに雪の書いた文字が浮かぶ。
「真実って見ようとすればするほど、壊れるものなのかもしれない。でも、壊れて見えるものも本当は生きている言葉なんだと思う」

修は椅子に深く腰かけ、額をおさえた。―俺達はまだ本当の真意に触れていなかったのかもしれない―
窓の外で、雨が静かにやみ始めていた。街灯がにじむ空に薄い月の輪郭が、浮かんでいる。

翌日、街には冬の匂いが漂っていた。木々の枝はすっかり裸になっていた。修は寒さに負け、部屋の中に籠もっていた。例のノートのページは白いままだ。
頭の中ではあの時の雪の言葉が何度も反芻していて、その優しさも、私を助けたい自分を満たすためてしょ?

胸の奥に沈んでいた何かがゆっくりと浮かびあがっていく。違う!違う!違う!

「……雪は、今どこで何をしているのだろう」

スマホを、手に取るが、メッセージは送れずにいた。打っては消しを繰り返し、画面を伏せる。

その頃、雪は、郊外にある実家にいた。
朝早く母が雪のために作った味噌汁の優しい味が、心に染みていた。 
食後、母が言った。「人って間違いながら、優しくなるのよ」

夜の明ける頃雪はまた窓辺で空を見上げていた。東の空からかすかに明るみ始め、雲のすきまから、朝の光がらさす。
彼女は小さくつぶやいた。
「修、今どうしているかな?」
その声は、風に溶けて消えた。

また、遠く離れた街で修もまた同じ空を見上げていた。

春の風が吹いていた。桜並木が日光受け、花びらが、ひらひらと、水面に流れていく。

第四章 言葉

あれから、一年が経っていた。 

修は、出版社の仕事帰りふとあの川辺で足をとめた。
夕暮れの光が水面に反射し、あの日の情景が胸によみがえる。—眼鏡を流したあの川—壊れた心を流してくれるような、静かな音がしていた。

そのとき風にまじって身に覚えのある声がした。
「修」
振り向くと、桜の木の下に雪が立っていた。
白いコートの裾が、風に揺れている。
「……雪、元気だったか?」
「少し遠回りしたけれど、やっと来られた」

「雪、俺肝心なことに気がついたんだ」
「何?」
雪が、怪訝そうな顔で修をみつめる。
雪は透明なフレームなしの眼鏡をかけていた。
「今度は違った眼鏡かけてるのか?」
雪は微笑んだ。

「俺はどんな雪のことも愛している。言葉にすると、安っぽくなってしまうけれど、言わないと伝わらないもんな」
「この、眼鏡は見るための眼鏡ではなく、心の声を聴く眼鏡なの。心の声を聴く眼鏡だって骨董品の店主が教えてくれたの。でも、あいにく今の私たちにはもう必要ないね」

人は何を考えているのか、思いという真実は「言葉」にしないと伝わらない。修はそう悟り、雪は修の「どんな雪のことも愛している」の言葉を心から信じることにした。

エピローグ 

修の机の上には、心の声を聴く眼鏡が静かに置かれている。彼は窓を開け、外の風に耳を澄ませた。どこか遠くで、桜の花びらが散る音がした気がした。

夜空を見渡すと、その星のきらめきはまるで、雪のように柔らかかった。

「信じるって、真意を、見抜くことじゃないと思う。たとえ完璧に分からなくても、相手を思いやって紡いでいき、不完全ながらも、許し合い、分かりあっていくものだと思う」
雪の言葉に、修は微笑んでいた。二人がずっと探していた本当の優しさがみつかった瞬間だった。







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