ルビアーナの恋

17 リンデルside

ルビアーナの様子が変だと感じた翌日、一日でも早く州都に戻るために、私は必死になって仕事を終わらせた。予定では1週間王都に滞在し、8日目の昼過ぎに帰宅するつもりだったが、なんとか7日目となる明日中には帰宅の目途がついた。

いつものように夜7時近くに領主館に電話を掛けるが、呼び出し音が続くだけで、相手がでることはない。いつも電話に出るロバートが傍にいないとしても、誰も電話にでないなどということは考えられなかった。

嫌な予感しかない。ルビアーナはどうしたのだろう？領主館で何が起こっている？気持ちは焦るが、王都とカナンの州都は列車でも3時間はかかる距離がある。これから夜間騎馬で帰るのは危険だし、時間もかかるだろう。明日の朝一の列車で帰ることを決めて、明日終わらせる仕事の予定はアンドリュー一人で対応してくれるように手配した。



「ルビアーナ！！」いつもは玄関で迎えてくれるロバートがいないことを不審に思いながらも、一番気になる人の名前を呼びながら階段を駆け上がった。
「ルビアーナ！？どこにいるんだ？」ノックもそこそこに彼女の部屋を開け、寝室にいないことを確かめてから夫婦の寝室に入る。
「ルビアーナ？！」
夫婦の寝室のベットはわずかに乱れていたが、シーツは冷たい。と・・・・サイドテーブルの上に1枚の紙が置いてあるのが目に入った。


リンデルへ
3年の約束を守れなくてごめんなさい
どこにいても、あなたのしあわせを祈っています
ルビアーナ
追伸
お金は少しずつになってしまうけど、必ずお返しします
本当にごめんなさい


「ルビアーナ！！―――――――――！！」