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Vol.3ゼラニウムとの対面①
しおりを挟む「ただいまー。…ぁ」
「…おかえり」
「…お母さんと、お父さんは?」
「一緒に買い物行ってくるって、ついさっき出かけて行ったけど…」
「…そう」
あやたとのデートは、あの後特に問題もなく楽しく終わることが出来た。祭りの出店ではその町の限定のお菓子なども売っていたので、実家に買ってはどうかとあやたからの提案だった。正直、あまり実家に帰るのは気が引けたが最近両親に連絡も取っていなかったので、顔だけでも見せようと思ったのだ。
祭りから帰ってきた時には、もう遅くなってしまっていたので次の日の今日、母に連絡をして帰ってきた。
この時間に、顔見せるって行ったのに…。
「……私、自分の部屋戻るから」
双子の姉のゆいとは反りが合わない。
小さい頃は仲良くしていた気がするのだが、どうしてこうなってしまったのか思い出せない。
お互いの顔も見ないまま、ゆいは自室へと戻っていった。
階段を上がる音と扉が開いてバタンと閉まった音を聞いて、ふうと自然と息をついた。
いつの間にか握っていた手を服から離す。
ソファに座って持ってきたお土産を横に置く。
背もたれに、頭を乗せて天井を見上げまぶたを閉じる。
ゆいとは小学校に上がるまでは常に一緒にいた気がする。
小学校に上がってから、それぞれに友達ができてからだっただろうか、次第に学校で話さなくなってきてそして家での会話も少なくなってきた。私が家を出た1つの原因もゆいとどう接して良いかわからなくなったからだ。
しばらく考えていると、玄関の扉が開く音が聞こえてきた。
はっと目を開けて、扉がある方を確認する。
私の靴を見て母の興奮する声が聞こえてくる。
「ただいまー!つむぎ帰ってきてるのー?」
「帰って来てますよー。もぅ、15時位に帰るって言ってたじゃん」
「そうだっけ?久しぶりに帰ってくるって言うからほら、晩御飯の材料買い足してきたの!」
「え、私お菓子渡したら帰るつもりだったんだけど…」
「何言ってんの、全然連絡も寄越さないんだからたまには親の言うこと聞いてご飯食べていきなさい!」
「母さんが、つむぎ来るって張り切ってたんだ。食べてやって」
父にもそんな催促をされ、嫌だとは言えなくなってしまった。
「…食べたらすぐ、帰るから」
今日は気まずい中、晩御飯を食べることが決定してしまった。
両親は、ゆいとの関係に気付いているのかいないのかあまり会話をしない事に触れてこない。小さい頃からなので気にもしていないのかもしれない。お互い両親とは変わらず会話をしているし、それで困ったこともないので一生このままなのかもしれない。
「そういえば、最近はあやた君とどうなんだ?」
「変わらず仲良くやってるよ」
「そうか、またたまに一緒においで。母さんも喜ぶし」
「うん、そうする。あやたにも伝えておくよ」
「おう、お土産もありがとうと伝えておいてくれ」
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