レーヌ・ルーヴと密約の王冠

若島まつ

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63 政治と恋と君主 - la royauté -

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 オルフィニナがレオニード王との会食を終えてレグルス城へ戻ると、ちょうど階段からエントランスへ下りてきたらしいルキウスが、ひどく不機嫌な顔で彼女を迎えた。
「俺抜きで親父と会ったな」
「君主同士の会合だ」
 オルフィニナは淡々と告げて髪をほどき、琥珀と真珠の髪飾りを外して、後ろに気まずそうな顔で控えるスリーズに手渡しながら優しく笑いかけた。
「スリーズ、もう下がっていい。慣れない場所で疲れただろう」
 頬に優しく触れられたスリーズは顔を紅潮させてぺこりと頭を低くし、辞去した。
 ルキウスは腕を組み、心配そうな様子ですれ違っていく侍女には目もくれずにオルフィニナの前へ進み出た。
「余計なことをするな」
「余計なことをしたつもりはない。同盟国になるのだから、意見交換は必要な処置だ」
 ルキウスは鼻に皺を寄せ、珍しくオルフィニナから距離を取った。
「ついでに俺のことを聞いたんだろ?俺が父と話さないから、君が代わりに訊いてくれたというわけか。親と家庭教師の面談みたいに?俺を子供みたいに扱うのはやめろよ」
 オルフィニナは声なく笑った。
 子供扱いしていると言うなら、今までの関係は何だったのだという話になるではないか。だが、ルキウスの言い分にも一理ある。少なくとも反対されるだろうと承知の上で、事前に告げておくべきだった。与り知らぬところで自分の話を、あまつさえ自分の親と妻がするのでは、気分が悪いのも当然というものだ。
 しかし、それはオルフィニナ一個人としての立場で考え得る理屈に過ぎない。
「君主同士の話し合いに王太子の同席は必要ない。あなたがわたしの夫でも、女王の権限に口を挟む権利はない」
 これがオルフィニナの女王としての理屈だ。オルフィニナは十五で王家の一員として迎えられてから、常に私人としての自分よりも公人であるオルフィニナ・ドレクセンとしての立場を優先してきた。ルキウスと夫婦になったからといって、その順位を変えるわけにはいかない。それこそ、この婚姻の意味がなくなる。
 密約を持ちかけたルキウスも、そうあるべきなのだ。オルフィニナにはそういう肚がある。だが、もはやルキウスの感情はそういう意図とは別のところにある。
「でも君は俺の妻だ」
 ルキウスは眉間に深々と皺を寄せて言った。
「あなたの妻である前に、女王だ。この婚姻は互いを君主とするためのもの。わたしたちは夫婦である前に君主でなければならない。それがわたしたちの契約・・だろう」
 ルキウスが唇を開き、そして閉じた。言葉を呑み込んだようにも、この口論に飽いたようにも見える。確かなものは、失望だ。その目の奥が暗く翳っている。
「そうだ」
 ルキウスは低く言った。
「…君が正しい。これはそういう契約だ。ただの、契約」
 そう言いながら、ひどく不満そうだ。納得いかないものを、無理矢理自分で押し込めようとしているような顔をしている。
「今夜はゆっくりするといい。おやすみ」
 突き放すように向けられた背が、オルフィニナを責めた。今すぐ走り出して引き留めたくなったが、オルフィニナはそういう軽挙に及べるほど気楽な身の上ではない。
「おやすみ、ルキウス」
 言いながら、階上へ戻っていくルキウスを眺めた。胸がきりきりと痛むことには、気付かない振りをした。こういう類の感情は、黙殺するに限る。いつもそうしてきたように。――
(これは所謂、夫婦喧嘩というやつかな)
 オルフィニナが肩を落として自分も寝室へ上がろうとした時だ。
 エントランスの柱の影がスッと動いた。
「ガキが」
 クインが吐き捨てるように言って現れた。いつからいたのか、気配を消している。
「そう言うな。わたしの夫だ」
 いつになく少し沈んだ声色でオルフィニナが苦笑すると、クインがフンと鼻を鳴らした。
「あいつ、のぼせやがって」
「やめて」
 オルフィニナは年の離れた弟の悪戯を咎めるように、クインの腕をパシッと叩いた。
「それより、バルタザルの具合はどうだ」
 尋ねながら、オルフィニナは中央の階段を上った。上階からエデンが飄々と現れてオルフィニナの足元から腰までふんふんと匂いを嗅ぎ、鼻をドレスの襞にくっつけておかえりの挨拶をした。
 オルフィニナは鼻先をわしわしと撫でてやってから耳飾りを外し、隣に並んだクインに差し出した。
「悪くはない。明日にでも視界が欠けた状態で一度手合わせしろとさ」
 クインは無造作に耳飾りを受け取り、次に外された首飾りも受け取って肘に掛けた。
「やるのか?」
「やる。訓練に手抜きはしない」
 オルフィニナはくすくす笑った。
「勤勉だなぁ。お前も、バルタザルも」
 クインは横からオルフィニナの顔を探るように眺め、陰鬱そうに眉を下げて、白い頬に手を伸ばした。
「なぁ。俺があいつを殴ってやろうか」
 大丈夫か、などとは訊かないのがクインだ。いつもと同じように笑い声を上げていても、オルフィニナが喧嘩のせいで珍しく落ち込んでいることはお見通しだし、この男の頭はそれを見過ごせるようにはできていない。
 クインの親指がやさしく頬骨をなぞって、きつく結っていた跡のついた赤い髪を耳の後ろへと流した。その手つきが、表情と同じくらいに愛情に満ちていた。
「妹の喧嘩に兄が出てくるべきじゃない。それに、殴りたければ自分でやるさ。でも心配ありがとう」
 クインはツンとオルフィニナの頬をつねった。
「やってほしければいつでも言え。あんたの命令なら喜んで実行する。この政争に負けた時、あんたを連れて遠くへ逃げる覚悟もできてる」
「それで?老いるまでふたりで猟でもして暮らすのか」
「野菜も育てるさ」
 大真面目に言ったクインに向かって、オルフィニナは軽快に笑った。が、すぐにその目から笑みを消し、感情を消して、静かに言った。
「負けるかよ、クイン」
 オルフィニナは階上からクインを見下ろした。琥珀色の双眸が黄金の月のように輝いて、クインではない、何か遠くのものを見渡している。
「わたしを誰だと思ってる」
 クインは眩しいものを目にしたように目を細めた。
 物心つく前から誰より近くにいるのに、決して手が届くことはない。オルフィニナはそういう存在だ。
「女王陛下」
 クインは敬礼した。
 大きな白い神獣を従えるように、オルフィニナはそこにいた。まるで触れてはいけない女神のように。

 クインがその報を受けたのは、バルタザルと城内の訓練場にいる時だった。
 バルタザルは半分欠けた視界を耳と肌の感覚で補い、わざと左に回り込んで攻撃を仕掛けようとしたクインの打撃を指一本ほどの距離で躱した。バルタザルは訓練場の砂地に倒れる直前で脚を上げ、クインの脛を蹴って隙を作り、後ろに回り込むことに成功した。が、クインが後ろ手に回した模擬戦用のナイフがバルタザルの首元を狙う方が速かった。
「降参です」
 バルタザルは両手を挙げて手合わせ終了の合図をし、ちくちくと痛む胸を包帯の上からさすった。
「悪化するぞ。もっと傷の回復を待った方がいい」
 クインがバルタザルの肩を叩くと、バルタザルは目を暗くして視線を落とした。
「それでは鈍ります。いつでも動けるようにしておかないと」
 そして、いつ報復の機会が訪れてもいいように備えているのだ。クインにはその殺意が自分のことのように分かる。
 二人で城内に戻ろうとした時、衛兵が二人に向かって駆け寄ってきた。
 言葉の通じないものが一人で訪ねてきたというのである。こういう時に彼らが頼るのは、クインとオルフィニナだ。大陸の共通語であるマルス語を理解しない者がどこから来たのか、答えは限られている。

 イゾルフは門に現れたクインを見るなり、芯を無くしたように力の入らない脚を引きずるように駆け寄り、その腕に縋るように飛びついて、大きく息をついた。
「‘無事で何よりだ、イゾルフ殿下’」
 イゾルフは衰弱していた。かつて健康的な曲線を描いていた輪郭は鋭くなり、灰色の目は暗く沈んでいる。よく顔を見知っているはずのクインでさえ一瞬誰だかわからなかったほどだ。
「‘姉上に会いたい’」
 声は見た目ほど弱ってはいない。
 クインは頷くと、今にも意識を失いそうなイゾルフの身体を肩に担ぎ上げ、大声で女中を呼んで風呂の支度を命じた。
「‘先に姉上に…’」
「‘女王陛下の面前に出るならそれなりの身支度をしろ。風呂に入ったら腹拵えと睡眠。ニナに会うのはそれからだ’」
 イゾルフは何故か昔から知っている姉の側近であるこの男の無作法に腹を立てることもできず、腹をひくひくさせて声なく笑った。
「‘自分だって女王陛下をニナと呼んでるじゃないか’」
 クインは背中でイゾルフが鼻をすする音を聞いた。嗚咽を押し殺して、胸が不規則に上下している。
「‘ギッテはよくやった’」
 クインは言った。ビルギッテがここにいない理由は、予想がつく。その身を挺してイゾルフを逃がしたのだろう。オルフィニナのもとにイゾルフが来た。これで、彼女の任務は成功だ。
「‘あんたもだ、殿下。よくやった’」
「‘ギッテは――’」
「‘今はいい。まず休め’」
 クインは静かに言った。が、イゾルフは声を張り上げた。
「‘ダメだ、クイン!助けに行かなきゃ…。イェルクが戻ってきた。アミラに、戻ってきたんだ…!’」
 この瞬間、クインの背筋を冷たいものが走った。何か一言では形容できない、一種の高揚があった。恐怖か、怒りか、或いは、兄の生存を知ることで、まだこの手で殺す機会があるという事実を本能が喜んでいるのかもしれない。
 クインの目の奥に、イェルクの淡い灰色の瞳が見える。殺すべき男の、敵意に満ちた眼差しが。――

 この時ルキウスは、アストレンヌにあるコルネール邸にいる。
 目の前には不機嫌なアルヴィーゼ・コルネールが襟を寛げたまま気怠げにソファに腰掛けて、侍従に濃く淹れさせたコーヒーを飲んでいる。ルキウスも他の貴族たちに接見するような堅苦しい格好ではなく、シャツとベストだけの平服でこの男を訪ねている。
 書斎の中はこの男らしく整然としていて、相変わらず必要なもの以外は一切置かれていない。合理的な性格がそのまま空間になったようだ。
 アルヴィーゼは形の良い眉を険しく寄せ、書簡をいくつも開けてざっと目を通しては机の隅に放り、長い指を唇に当てて思案した。
「こんな面倒ごとはさっさと終わらせて早く領地へ帰りたい」
 というのが、不機嫌の理由だ。身重の妻を領地に残してきているのが心配で堪らないのだ。
 それにしても、国王の跡目争いを、あまつさえ当事者を目の前にして「面倒ごと」と吐き捨てるとは、まったく不遜にも程がある。ルキウスは苦笑してコーヒーカップを口に運んだ。
「協力には感謝してる」
 アルヴィーゼはフン、と不機嫌に息を吐き、黒い髪を掻き上げて、鋭い視線を書簡へ戻した。
「そちらにも調査の得意なものがいるようだ」
「そっちの資料はニナの侍女が集めてきた」
 彼女こそオルフィニナの「とっておき」だ。
 スリーズはこの数日、女中としてアストレンヌ城にいる。純朴で好奇心旺盛な田舎娘の顔をして、古参の使用人たちの懐に入り込み、彼らからダフネ王妃存命中の王城での出来事を聞いて回っている。見かけによらず野心家のスリーズは、ルキウスが驚くほど情報収集の能力に長けていた。
 彼女が書き送ってきた報告には、有益な情報が詳細に書き連ねてある。
「西方の諸侯はお前に乗るとさ」
 アルヴィーゼは最後の書簡を机に置いて言った。
 西方では、ヴァレルは評判が悪い。西側のアミラ王国に近い地域では、ヴァレルがルキウスの軍を出し抜いてギエリへ進軍したことは周知の事実であり、あまりに早い王都陥落に疑いを持つものが多いのだ。なおかつ、今はエギノルフ王がとうに亡い事実がエマンシュナ全土に広まっている。
 よからぬ陰謀に義憤を感じる諸侯が、ルキウスの肩を持っているのである。
「あとは貿易でもっと商売がしたい南の領主たちもお前に傾いてる。ヴァレルはどう考えても軍事関係に興味があるからな。その点お前は社交的で外交向きだ。商業も活性化できるという期待がある」
「心強い。頼りにしていると伝えてくれ。俺からも手紙を送る」
 アルヴィーゼは頷いて、甥も同然の王太子の顔を眺めた。
「…溺れておかを見失うな、リュカ」
 唐突に釘を刺され、ルキウスはぎくりとした。悪戯が見つかった子供のような気分になったのが、ひどく悔しい。
「なんの話だよ」
 しらばっくれても無駄だと分かっているのに、認めたくない。我ながら子供っぽいと思ったが、止められなかった。
「わかっているだろう。あれは情だけでものを考える女じゃない。本当に手に入れたいのなら、なすべきことをなしてからにしろ」
「…もしかして君は今、俺のニナのことをあれって呼んだのか?」
「言い直そう。女王陛下だ」
 アルヴィーゼは薄く笑った。
「政治と恋は相性が悪いと言っただろう」
 自分と同じ王家の色を持つ瞳が、まるで鏡のようにこちらを覗き込んでくる。ルキウスはひどく居心地が悪くなった。父親や叔父にはいくらでも反発できるというのに、幼い頃から兄のように慕ってきたこの遠い血縁者には、何故か反抗することができない。前世ではこの男が父親だったのではないかと非現実的なことを思いついてしまうほどだ。
「お前の優先順位は正しいか?お前が王になるのは、オルフィニナ女王と釣り合いを取るためなのか」
 違う。――と言いたかった。が、言葉が出てこない。
 しかし、頭の中で、唯一明確に言葉にできるものを見つけた。
 春の陽射しに花が舞うアストレンヌの青空、敵国の女公を敵ながらあっぱれと歓声で迎えた民、二つめの故郷とも言えるルドヴァン、貿易船が行き交う活気に満ちた南の海。――これは、自分が守るべきものと思って生きてきた。
「…強いて言うなら、愛のためだ。ニナのことだけじゃない」
「では、評議会は良い機会だ。ルキウス殿下」
 アルヴィーゼが言った。口元は、まるで悪巧みをするように弧を描き、エメラルドグリーンの瞳が鈍く光る。この男のこういう顔を見ると、何故かわくわくと胸が高揚する。

 武器は揃った。
 書簡を留めていた真鍮の輪が窓から射す陽光を受け、机の上に光の輪を描いた。
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