転生幼女は発酵スキルで、異世界に和食革命を起こす!味噌、醤油、酢を作って餌付けしたら、いつの間にか世界に名が轟いていた件

西野和歌

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第3章 ディラン王国へ

第41話 山の幸ウホウホ!

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 栗や山菜を籠一杯に詰め込んで、しゅーさんが使うエバ専用調理室へと帰還した。

「まずは、山菜だけど」
「うん。灰を入れた水に洗ってつけておくね」
「よろしくでしゅ! 次はそこの暇人! 乳デカイ方!」
「私かしら?」
「栗を剥くでしゅ」
「はーい」

 鳥は素直で大変よろしい。
 でも、問題は椅子に座ってダラダラしている駄犬だ。

「アール?」
「私はもう働きましたよ姫。本日の業務は終了しました」
「舐めてんのか! 今から昼飯作るのにいらないの?」
「いります。むしろ運んだ私めは、人一倍必要です」
「とっとと米洗って、あっちのカマドで炊くから」
「あら、私が火をつければいいの?」
「安全第一なんで、鳥はあっちで栗剥いとけでしゅ」

 放火魔に命の米は渡せない。
 不作ゆえに貴重品なんだから、失敗は許されない。

「さあ、キノコだよーっ!」

 私は台座に乗って、作業台に手を伸ばす。
 小さなナイフを掴んだ瞬間に、しゅーさんが走ってきた。

「小さなまゆまゆが、そんな危険な事しちゃいけません」
「しゅーさんも子供じゃん」
「息子がこの年のころには、手伝いさせていたじゃないか」

 まあ、働かざる者食うべからずってね。
 小さなナイフをとりあげられた。

「切り方教えてくれたら僕がする。まゆまゆはキノコの汚れを拭いて」
「ふぁい」

 しゅーさんに主導権を握られてしまった。
 ちっちゃな手を使って、必死で私はキノコを濡れタオルで拭いて汚れを落とす。
 基本的に、キノコは水洗いはあまりしない方がいいのだ。
 拭いたキノコは、しゅーさんがサイコロ状にカットしてくれた。

 ついでにアクが抜けた山菜も軽くカットして貰う。
 よいぞよいぞ、準備ができてきた。

「おーい米これでいいのかー?」

 エバの剥き終わった栗も半分に切って、キノコと山菜と栗を、洗った米の鍋に投入する。
 もう成功したも同然だ、これ絶対に美味しいやつ。
 想像しただけで、ヨダレが出てしまう。

 塩を一つまみだけ入れて、壺にある醤油を投入する。

「アタチの酒は? じゃなかった調味料の兄はどこに?」
「お前もシリウスの扱いが雑だよなぁ。んー王様の見舞いとかした後も外交してんじゃね? 一人で」
「あら、あなた護衛なのにいいの?」
「飯のが大事だろ」

 酒もあったら最高だったんだが、仕方ない。
 もうスキルで醤油も味噌も作ってるから、この後のスキル発動はないんだよね。
 ただ、スキルで作った調味料で料理してるだけなのだ。

「酒はともかく、ダシが欲しかったよね」
「川の小魚もいなかったし、ごめんね」
「カツオダシがいいよぅ。やっぱ海じゃないとダメか」
「なら、南のサウスの所ね」
「サウスって国?」
「ううん、あっちの仲間の名前」

 どうやら南の精霊はサウスという名らしい。

「性根がやっぱり変?」
「サウス? ただのじじぃだぞ? あいつ」
「なら壺とか売りつけたらいいんだね!」

 壺とか変なサプリとか、高額売りつけウハウハだよ。
 もしくはアタチアタチ詐欺だ! 任せろ!

「次は何するの?」
「アール、これあっちのカマドで炊いて」
「はぁ?」
「重いから」
「ったく、わかりまーしーたー」

 どこの家来が主人にこんな口きくんだよ。
 味噌もあるから使いたかったけど、ダシがないから、ひとまず中止だ。

 具材と調味料をぶちこんだ米炊き始めた。
 小さな種火に、弱い風を送りながら、ただ座ってご飯の番をしていたアールが、しばらくしてからあわてふためく。

「おいチビ! 泡出てきたぞ!」
「赤子泣いても蓋とるなー!」
「泣いてもしらん! それよりどーすりゃいいんだ!」
「放置でしゅ! 絶対に蓋開けたらダメでしゅ!」

 なんせうちの国にも、米はあってもリゾットとかにしちゃうから、米を炊くという発想がないんだよね。

 そしてご飯がパチパチとオゴケをつくる音をたて、香ばしい匂いが漂い始める。
 皆のお腹が一斉に鳴った。

 そしてここで禁断のブツに私は手を出した。
 ふふふっ、昨夜の焼き鳥を少し残して置いたのだよ。
 あえて串に刺す事すらできない屑肉をね。

 私はそれを別の器に入れて、手をかざした。
 本当はスキルをもう使う予定はなかったんだけど、やっぱり確定で美味しいのがいい。

「染み染みお肉よ、おいちくなーれっ!」

 パッと一瞬の光が消えたと同時に、アールの隣で見張っていたしゅーさんが声を上げて、ご飯のタイミングを教えてくれた。

「まゆまゆ、もういいと思うよ」
「じゃ、アール、気を付けてこっちの布巾の上に置いて。あとエバは小皿を四つあっちから持ってきて」
「こき使うわねこの子。私一応精霊なんだけど……まあ、いいわ」

 文句言わないで働きやがれ。
 美味しいご飯が待ってるせいか、なんやかんや言いながらも、皆は期待に目を輝かせた。

「では、熱いから取り分けはしゅーさんに、そしてアールは蓋を開ける係。エバは飲み水をグラスに注いで待機。おっほん、では隊長である私が号令をかける」
「……おまえなぁ」

 アールよ、よく聞けよ?

「では、蓋を開けろーいっ!」
「おりゃっ!」

 割とノリがいい狼が、大きな蓋を勢いよく開けた。
 煙が一気に広がり、そして素晴らしい香りが辺りを包み込んだ。

 中を見たしゅーさんが報告する。

「隊長! 成功です!」
「当然でしゅ!」
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