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1・あなたを解放します
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「アルメティア、どうしても行くのか?」
私を止める夫の手を、あえて冷たく振り切った。
周囲は喧騒に包まれ、戦場と化したこの国は炎に包まれていく。
まもなく、この屋敷にも兵士たちが駆けつけるはずだ。
夫であるマクシミリアンを保護する為に。
そして、敵国人であった私を捕えるために。
不安は父たちが、この方を盾として使う事だったが、そこまで頭が回らない程に追い詰められていたらしい。
複雑な気持ちだが、私すら彼らの頭から消えている事は事実だ。
それ程、この侵攻は速い。
長く続いた戦争も終わりを迎える。
政略結婚の生贄代わりに、私と婚姻していた夫。
彼にとって、これは解放である。
人質として、この国に連行された幼い夫との結婚生活は、それなりに平穏に過ぎた。
周囲の思惑が何であれ、私はこの国の王族の娘であっても不要の存在だった。
だから最悪の今ですら、私の助けなど来るはずもない。
差し出した離縁届を握りしめ、やっと今年18歳になった夫マクシ様が私を見つめた。
もう10年近く共に夫婦をしてきたのだ。
この方は私を妻としてではなく、姉のように母のように慕ってくれていた。
幼くして敵国に放り出されたこの方の、心労を思えば私にできた事などささやかなものだった。
それでも、おままごとのような夫婦生活に、6歳も年上の私に彼は笑ってくれたのだ。
「君が妻で良かったよ」
戦争が激しくなるにつれ、私たちへの影響も大きくなっていく。
人質であるマクシ様の命を盾にして、交渉に及ばんとする者。
または、敵国の王族であるマクシ様を亡き者にせんとする者。
私たちは戦った。
小さな力で、必死で二人で生き抜いてきた。
実家からの支援が消え、使用人が減っていく。
私は青年へと成長していく彼と共に、畑を耕し食べ物を確保した。
遠出して自ら魚を釣り、辞典片手に山菜を集めた。
物資不足の中で、私が実家より持ち込んだ貴金属を街にこっそり売りに行き、生活費を工面した。
ドレスを簡素な物に変えた時には、マクシ様は悲しげな眼をした。
「私に力がなくて、本当にごめん」
「違いますよ。そもそも私は、動きやすい服がいいのです」
「けれど、君はこの国の王族の一人なのに」
「王族と言っても、三番目の姫なんて不要な存在なんです。あなたと違って継承権もございません」
「私の継承権なんて、もう祖国では消えていると思うよ」
第二王子の彼が、この国の人質になった経緯は色々だ。
最終的に、彼の命と引き換えに和平を条件にしたはずが、約束を破り進軍したのは我が国である。
周辺国が、もともと劣勢だったマクシ様の国と同盟を結ぶのも当然だ。
屋敷は大きいけれど、マクシ様が18歳を迎えるころには、あれほど沢山いた使用人も数名となり、屋敷内の調度品もほぼ売り払われて悲惨な状態であった。
「それでも、私たちは戦場に立つことなく、命を繋げられている事に感謝しなくては」
アカギレが出来た私の手に、自ら栽培したアロエのクリームを塗りこんでくれるマクシ様。
優しく、そして逞しく成長した。
かの国の王族特有の、薄い青の髪はサラサラと風になびいている。
私の大好きな空色だ。
以前に、私は自分の金の髪を切って売った。
私は容姿にはそれ程自信はないが、髪だけは褒めて貰った事がある。
短くサッパリした髪で帰宅すると、マクシ様は大いに怒ったのだ。
「女性である君が髪を切る位なら、この髪を切ればいい!」
特有の色の髪など売れるはずもなく、それを言い出せぬままに、あれからマクシ様は髪を伸ばす。今では腰の後ろまで長く伸びたのを一つにまとめている。
「妻であるなら、夫の言う事をきくものだ」
彼がそんな事を言ったのは、この髪の件のみだ。
常に私を思いやり、そして慕ってくれるマクシ様。
初対面の時に、途方に暮れていた私に彼は謝罪したのだ。
「僕みたいなハズレと結婚させて、本当にごめんなさい」
私もずっと王城では、姉や兄たちにイラナイ扱いされてきた。
だから、せめて私位は、こんな幼い少年に少しでも癒しになれればと誓ったのだ。
ずっと強がって一人で寝ていたマクシ様。
結婚して一年目の嵐の夜、私がそっと彼の部屋を尋ねると、彼はベッドでシーツをかぶって震えていた。
強がっていた彼に私は伝えた。
「いつか大きくなって、その時は私を守って下さいね」
彼が嵐に怯えなくなるまで、その日から共に同じベッドで寝た。
図書室にある本を読んで一人で学ぶマクシ様。
彼に知識をつけるべからず。それが我が父である国王の方針だった。
なので私は父に手紙を書いた。
私自身の教養の為に、教師をお願いします。
私が18歳になるその日まで。
そう条件をつけられ教師がやって来た時に、私はあえて図書室で授業を受けた。
本棚の向こうに机を用意して、学びに聡明なマクシ様をこっそりと座らせた。
教師を通して、新しい本も手に入れて、マクシ様はグングンと知識を吸収していった。
次は彼の剣技だった。
私たちの屋敷の外には、常に護衛という名の見張りが交代でついていた。
まあ、彼らも真面目に警備したのは最初の数年程度で、最後は逃げ出していたのだが。
私は週に一度、毛染めを使ってマクシ様の髪の色を茶色に染めた。
庶民の着る服と帽子を被せて、そしてこっそり仲良くなった兵士の一人にお願いした。
「この子は庭師の息子なんだけれど、あなたみたいに強くなりたいそうなのよ」
見えないように金貨を渡すと、内緒でマクシ様を鍛えてくれた。
騎士崩れの兵士だったが、基本はしっかりしていたようだ。
マクシ様は、誰にも見られないように、密かに私室で深夜に素振りや型を練習していた。
生活が苦しくなる中で、私たちは助け合って生きてきた。
私が自分の食べ物を成長期の彼に差し出すと、彼も笑って私に自分の食べ物を差し出すのだ。
使用人が減るにつれ、やらなければいけない事が増えていくが、やれる事も増えていく。
自らで家事を覚え、生きる力を身に着けていくのが、実は嬉しかったのだ。
私たちは笑いあって、大きなタライに水を入れ、裸足でシーツを踏み洗いして喜んだ。
「っ……アル! 服が濡れて透けてる!」
「あははっ、そうですね。すいません」
「ちょっと、僕はあっちに行く」
「はい、ちゃんと体は拭いてくださいねマクシ様」
いつしか私はアルと呼ばれ、私は彼をマクシ様と呼ぶ。
彼が私を女として意識し始めたのは、彼が16歳になった辺りの、この水浴びが原因だった気がする。
それから露骨に意識され、嫌われてしまったのだと私はあえて接触をさけるようになった。
年頃になったのだろう、やはり自分より年下の若い女がいいのだと思う。
この頃から、私の中で彼を解放してあげなければという気持ちが芽生え始めた。
そして、戦況があちら側の連合国加入により、大きく変わる。今この国の首都が落とされたのだ。
我が国は敗戦し、マクシ様の祖国の勝利が確定した。
私は昨夜、久しぶりにマクシ様の部屋を訪れた。
そして、私の決意を伝えたのだ。
「マクシ様。この国が負けても、あなたは祖国に救われると思います。それに関して私からお願いがございます」
「お願い?」
「どうぞ離縁して下さい。そして、私が今夜ここから逃亡するのを見逃してください」
「なっ……アル? 待って、どうして!」
私は持っていた離縁届を差し出した。
私専用の王族印も押した正式なものだ。
「すでに残っていた使用人たちも逃げるように伝えています。残っていた金貨と宝石で退職金は賄いました。ですので、マクシ様に残せるものがございません」
「そんなものはいい、それより君までどうして! いやわかる、わかるが俺が君を保護すると祖国と交渉する。いくら敵国だったとしても、それ以前に私の妻だ。手出しはさせない」
熱く語るマクシ様の優しさに涙が出そうになった。
嫌われてはいなかった。だからこそ、私は離れなければいけない。
「私があなたの傍にいる事が、あなたの為にはなりません」
「いいや、君はずっと俺の傍にいてくれた」
「私はずっとあなたを解放したかった。私のような年上ではなく、もっとふさわしい方がいるはずです」
「なんで勝手にそんな事を言うんだ!」
立ち上がったマクシ様が、私の手首を強く掴んだ。
いつのまにか背丈も抜かれ、体格も立派な男性になっていた。
「ダメだ行くなアルメティア! 君は俺の妻だ! 君がいないと俺は……」
「もう、自分を僕ではなく俺と言えるのです。私がいなくても大丈夫ですわ」
「そんなに俺が、僕が頼りないか? 君を幸せにするのはこれからなのに!」
その気持ちだけで十分だ。
一瞬私は、にじんだ眼を誤魔化すために目を瞑る。
本当は聡明な彼の事、わかっているはずだ。
祖国に戻れば、私は無罪放免で済むはずはない。
敵国の王族への扱いを決めるのは、彼ではなく彼の国の王なのだから。
私を処刑し、新たなる妻を娶らせる。
あくまで第二王子の結婚は強制されたものであった。
彼の祖国では、そうしなければ犠牲になった民の遺族が納得はしないだろう。
「最後のお別れでございます」
「……なら、せめて最後に夫婦としての思い出が欲しい。俺が子供じゃないって君がいうのなら」
「どういう事ですか?」
私はドサリとベッドに押し倒された。
真剣に見つめる彼の目は、確かにもう子供の目ではない。
「俺の妻なら妻らしく、俺を夫として受け入れてくれ」
そのまま私たちは、夫婦として初めての夜を過ごした。
◇◇◇◇◇
震える指先が私の肌を滑る。
その指先で、緊張しているのは私だけではないとわかった。
「これに何の意味があるの?」
あえて余裕ぶって聞いてみたが、すげなく言われた。
「いいから黙ってアル」
質素な私のドレスを力任せに脱がそうとしてくる。
破かれると困るので、私は必死に抵抗した。
「やめて、自分で脱ぐから」
「……わかった」
私の上に被さっていた体がどけられ、なんとか私はベッドに座り服を脱ぐ。
背中を向けた彼も、急ぐように自らのシャツを脱いでいた。
いつの間に、あんなに逞しくなったのだろう。
見慣れたはずの彼の体が、とても眩しく感じてしまった。
熱を込めた目で、全てを脱ぎさった彼が私に近づいてくる。
私の残していた下履きに手を伸ばし、今度は丁寧に脱がせていく。
「嫌いにならないでくれアル」
「マクシ様……そんな」
「ずっと、ずっと本当はこうしたかった」
「何をするのか理解されていますか?」
閨教育を私たちはきちんと受けていない。
受けたのは、私が父に頼んだ教師の一人が、人体の保健について学ばせてくれた程度だ。
彼は幼いながらも、それも本棚の陰で学んでいたはず。
その程度の知識しかないのだが。
「男同士で、そういう話を聞く機会は色々とあったよ」
「たとえば?」
「たとえば俺に剣を教えた男や、通いの庭師とか」
そう言われれば、年頃になったマクシ様は色々と男性同士で話し込んでいた時もあったが、まさか内容がそんな事だと思わなかった。
「綺麗だ……アルは全部綺麗なんだな」
ハッと気づくと、再び私はベッドに全裸で押し倒され、大きな体が上にあった。
触れ合う肌から熱が伝わる。
どうも思考が麻痺してしまったみたいだ。
何も考えられないままに、彼の欲望に流される。
「柔らかい……俺のだ」
「んっ……」
口からはしたない声が洩れそうになり、片手で自らの口を塞いだ。
大きな手が遠慮なく、私の胸を揉みこんでいく。
いつもは慎重なくせに、時々とても大胆になるのは彼の癖だ。
何かに夢中になった時に、それは発揮される。
「ひゃっ!」
「声、我慢しないで……美味しそう。アルのここサクランボみたいだね」
何にたとえてと文句を言う前に、胸のとがりに吸いつかれ、私の腰が勝手に跳ねた。
赤ん坊でもないのに、胸を吸われる感触に怯えが入る。
彼の興味は胸だけでない。当然、私の秘すべき場所に手が伸びる。
閉じた足をこじ開けられて、差し込まれた指先から水音が鳴った。
「っ……痛いっ」
「あ、すまない!」
鼻息も荒い彼の動きが一旦停止した。
けれど、そのままやめるつもりはないようだ。
なぜ自分の下半身が濡れるのか、私にはわからない。
ただ羞恥に襲われ、私は本能で逃げようとするが腰をしっかり掴まれた。
「ごめん……我慢は無理だ」
「マ……マクシ様」
「君が大事過ぎて、俺は……」
チュクチュクとかき混ぜられた入口に熱い塊を押し付けられる。
喉がヒクつき、今から一つになるのだと意識させられた。
「君は……俺の妻だ。俺だけの、俺の愛しいアル」
「うぁ……ああっ!」
メリメリと音を立てるように、激痛とともに私の中が浸食されていく。
私の体を思い切り抱きしめて、彼のモノが奥まで埋め込まれた。
「っあ……」
「くっ、す、凄い……アル、アル」
我慢ならないと、歓喜に満ちた獣の声で、彼の腰が激しく動き始める。
私は歯を食いしばり、彼の背中に爪を立てた。
「うっ、あうっ」
「ごめん、止められないっ、気持ち良すぎて……」
内臓を抉られる痛みと、それと共に奥から湧き出す甘い痺れが私を襲う。
痛みの中にある、わけのわからない感覚に、戸惑い頭が真っ白になる。
「離れない、俺の傍に居てくれアルメティア」
「あっ、ああっ」
「嫌だアル! 愛してる! 愛してるから!」
遠のく意識の片隅で、見えた彼の顔が泣いているみたいで……。
どうして一つになったのに、私たちの心は引き裂かれるんだろう。
「泣かないで……マクシ様」
「っあ……アル」
私は首に手を回して、顔を引き寄せ頭を撫でてやった。
彼の動きが一瞬止まる。
「昔から、少し泣き虫ですね」
「……君だけなんだ」
小さなささやき、そして彼は最後に激しく私の腰に打ち付け始めた。
揺さぶられる大きな動き、互いの息と声が寝室に響く。
そして最後の時を迎え、彼の何かが私の中に注がれていく。
涙目で私は彼を見つめる。
「アル、ありがとう。辛かった?」
今になって、叱られた子犬のような顔は反則だ。
私は優しく微笑んで、そして意識を手放した。
◇◇◇◇◇
「アルメティア、どうしても行くのか?」
私を止める夫の手を、あえて冷たく振り切った。
夜のうちに旅立つはずが、朝を迎えてしまう。
もう時間がない。
いつ兵士たちが、ここに突入してきてもおかしくないのだ。
私は、彼を怒鳴りつけた。
昨夜の満ちた温かさと愛しさを封印して。
「もう、子供の面倒なんて真っ平ごめんです!」
私に伸ばした手がピタリと止まる。
追い打ちをかけるように、私はまくしたてた。
「だいたい、どうして私は王族なのに、あなたみたいな年下の妻でいないといけないの!」
薄い青色の髪、それと違う深い海の色の瞳が大きく見開かれる。
そうよ、それでいい。
傷ついて、そして私を憎んで。
「ちょっと優しいフリをすれば、ほいほい懐いて簡単だったわね。でも、こうなったら私を自由にして頂戴! 子守はもう沢山よ!」
クルリと背を向け扉に向かう。
後ろで彼が何か言った。
けれど……。
「聞こえないわ。あなたの声なんて」
パタンと扉を閉めて、私は荷物を掴んで駆け出した。
それが、彼との夫婦生活の終わりだった。
私を止める夫の手を、あえて冷たく振り切った。
周囲は喧騒に包まれ、戦場と化したこの国は炎に包まれていく。
まもなく、この屋敷にも兵士たちが駆けつけるはずだ。
夫であるマクシミリアンを保護する為に。
そして、敵国人であった私を捕えるために。
不安は父たちが、この方を盾として使う事だったが、そこまで頭が回らない程に追い詰められていたらしい。
複雑な気持ちだが、私すら彼らの頭から消えている事は事実だ。
それ程、この侵攻は速い。
長く続いた戦争も終わりを迎える。
政略結婚の生贄代わりに、私と婚姻していた夫。
彼にとって、これは解放である。
人質として、この国に連行された幼い夫との結婚生活は、それなりに平穏に過ぎた。
周囲の思惑が何であれ、私はこの国の王族の娘であっても不要の存在だった。
だから最悪の今ですら、私の助けなど来るはずもない。
差し出した離縁届を握りしめ、やっと今年18歳になった夫マクシ様が私を見つめた。
もう10年近く共に夫婦をしてきたのだ。
この方は私を妻としてではなく、姉のように母のように慕ってくれていた。
幼くして敵国に放り出されたこの方の、心労を思えば私にできた事などささやかなものだった。
それでも、おままごとのような夫婦生活に、6歳も年上の私に彼は笑ってくれたのだ。
「君が妻で良かったよ」
戦争が激しくなるにつれ、私たちへの影響も大きくなっていく。
人質であるマクシ様の命を盾にして、交渉に及ばんとする者。
または、敵国の王族であるマクシ様を亡き者にせんとする者。
私たちは戦った。
小さな力で、必死で二人で生き抜いてきた。
実家からの支援が消え、使用人が減っていく。
私は青年へと成長していく彼と共に、畑を耕し食べ物を確保した。
遠出して自ら魚を釣り、辞典片手に山菜を集めた。
物資不足の中で、私が実家より持ち込んだ貴金属を街にこっそり売りに行き、生活費を工面した。
ドレスを簡素な物に変えた時には、マクシ様は悲しげな眼をした。
「私に力がなくて、本当にごめん」
「違いますよ。そもそも私は、動きやすい服がいいのです」
「けれど、君はこの国の王族の一人なのに」
「王族と言っても、三番目の姫なんて不要な存在なんです。あなたと違って継承権もございません」
「私の継承権なんて、もう祖国では消えていると思うよ」
第二王子の彼が、この国の人質になった経緯は色々だ。
最終的に、彼の命と引き換えに和平を条件にしたはずが、約束を破り進軍したのは我が国である。
周辺国が、もともと劣勢だったマクシ様の国と同盟を結ぶのも当然だ。
屋敷は大きいけれど、マクシ様が18歳を迎えるころには、あれほど沢山いた使用人も数名となり、屋敷内の調度品もほぼ売り払われて悲惨な状態であった。
「それでも、私たちは戦場に立つことなく、命を繋げられている事に感謝しなくては」
アカギレが出来た私の手に、自ら栽培したアロエのクリームを塗りこんでくれるマクシ様。
優しく、そして逞しく成長した。
かの国の王族特有の、薄い青の髪はサラサラと風になびいている。
私の大好きな空色だ。
以前に、私は自分の金の髪を切って売った。
私は容姿にはそれ程自信はないが、髪だけは褒めて貰った事がある。
短くサッパリした髪で帰宅すると、マクシ様は大いに怒ったのだ。
「女性である君が髪を切る位なら、この髪を切ればいい!」
特有の色の髪など売れるはずもなく、それを言い出せぬままに、あれからマクシ様は髪を伸ばす。今では腰の後ろまで長く伸びたのを一つにまとめている。
「妻であるなら、夫の言う事をきくものだ」
彼がそんな事を言ったのは、この髪の件のみだ。
常に私を思いやり、そして慕ってくれるマクシ様。
初対面の時に、途方に暮れていた私に彼は謝罪したのだ。
「僕みたいなハズレと結婚させて、本当にごめんなさい」
私もずっと王城では、姉や兄たちにイラナイ扱いされてきた。
だから、せめて私位は、こんな幼い少年に少しでも癒しになれればと誓ったのだ。
ずっと強がって一人で寝ていたマクシ様。
結婚して一年目の嵐の夜、私がそっと彼の部屋を尋ねると、彼はベッドでシーツをかぶって震えていた。
強がっていた彼に私は伝えた。
「いつか大きくなって、その時は私を守って下さいね」
彼が嵐に怯えなくなるまで、その日から共に同じベッドで寝た。
図書室にある本を読んで一人で学ぶマクシ様。
彼に知識をつけるべからず。それが我が父である国王の方針だった。
なので私は父に手紙を書いた。
私自身の教養の為に、教師をお願いします。
私が18歳になるその日まで。
そう条件をつけられ教師がやって来た時に、私はあえて図書室で授業を受けた。
本棚の向こうに机を用意して、学びに聡明なマクシ様をこっそりと座らせた。
教師を通して、新しい本も手に入れて、マクシ様はグングンと知識を吸収していった。
次は彼の剣技だった。
私たちの屋敷の外には、常に護衛という名の見張りが交代でついていた。
まあ、彼らも真面目に警備したのは最初の数年程度で、最後は逃げ出していたのだが。
私は週に一度、毛染めを使ってマクシ様の髪の色を茶色に染めた。
庶民の着る服と帽子を被せて、そしてこっそり仲良くなった兵士の一人にお願いした。
「この子は庭師の息子なんだけれど、あなたみたいに強くなりたいそうなのよ」
見えないように金貨を渡すと、内緒でマクシ様を鍛えてくれた。
騎士崩れの兵士だったが、基本はしっかりしていたようだ。
マクシ様は、誰にも見られないように、密かに私室で深夜に素振りや型を練習していた。
生活が苦しくなる中で、私たちは助け合って生きてきた。
私が自分の食べ物を成長期の彼に差し出すと、彼も笑って私に自分の食べ物を差し出すのだ。
使用人が減るにつれ、やらなければいけない事が増えていくが、やれる事も増えていく。
自らで家事を覚え、生きる力を身に着けていくのが、実は嬉しかったのだ。
私たちは笑いあって、大きなタライに水を入れ、裸足でシーツを踏み洗いして喜んだ。
「っ……アル! 服が濡れて透けてる!」
「あははっ、そうですね。すいません」
「ちょっと、僕はあっちに行く」
「はい、ちゃんと体は拭いてくださいねマクシ様」
いつしか私はアルと呼ばれ、私は彼をマクシ様と呼ぶ。
彼が私を女として意識し始めたのは、彼が16歳になった辺りの、この水浴びが原因だった気がする。
それから露骨に意識され、嫌われてしまったのだと私はあえて接触をさけるようになった。
年頃になったのだろう、やはり自分より年下の若い女がいいのだと思う。
この頃から、私の中で彼を解放してあげなければという気持ちが芽生え始めた。
そして、戦況があちら側の連合国加入により、大きく変わる。今この国の首都が落とされたのだ。
我が国は敗戦し、マクシ様の祖国の勝利が確定した。
私は昨夜、久しぶりにマクシ様の部屋を訪れた。
そして、私の決意を伝えたのだ。
「マクシ様。この国が負けても、あなたは祖国に救われると思います。それに関して私からお願いがございます」
「お願い?」
「どうぞ離縁して下さい。そして、私が今夜ここから逃亡するのを見逃してください」
「なっ……アル? 待って、どうして!」
私は持っていた離縁届を差し出した。
私専用の王族印も押した正式なものだ。
「すでに残っていた使用人たちも逃げるように伝えています。残っていた金貨と宝石で退職金は賄いました。ですので、マクシ様に残せるものがございません」
「そんなものはいい、それより君までどうして! いやわかる、わかるが俺が君を保護すると祖国と交渉する。いくら敵国だったとしても、それ以前に私の妻だ。手出しはさせない」
熱く語るマクシ様の優しさに涙が出そうになった。
嫌われてはいなかった。だからこそ、私は離れなければいけない。
「私があなたの傍にいる事が、あなたの為にはなりません」
「いいや、君はずっと俺の傍にいてくれた」
「私はずっとあなたを解放したかった。私のような年上ではなく、もっとふさわしい方がいるはずです」
「なんで勝手にそんな事を言うんだ!」
立ち上がったマクシ様が、私の手首を強く掴んだ。
いつのまにか背丈も抜かれ、体格も立派な男性になっていた。
「ダメだ行くなアルメティア! 君は俺の妻だ! 君がいないと俺は……」
「もう、自分を僕ではなく俺と言えるのです。私がいなくても大丈夫ですわ」
「そんなに俺が、僕が頼りないか? 君を幸せにするのはこれからなのに!」
その気持ちだけで十分だ。
一瞬私は、にじんだ眼を誤魔化すために目を瞑る。
本当は聡明な彼の事、わかっているはずだ。
祖国に戻れば、私は無罪放免で済むはずはない。
敵国の王族への扱いを決めるのは、彼ではなく彼の国の王なのだから。
私を処刑し、新たなる妻を娶らせる。
あくまで第二王子の結婚は強制されたものであった。
彼の祖国では、そうしなければ犠牲になった民の遺族が納得はしないだろう。
「最後のお別れでございます」
「……なら、せめて最後に夫婦としての思い出が欲しい。俺が子供じゃないって君がいうのなら」
「どういう事ですか?」
私はドサリとベッドに押し倒された。
真剣に見つめる彼の目は、確かにもう子供の目ではない。
「俺の妻なら妻らしく、俺を夫として受け入れてくれ」
そのまま私たちは、夫婦として初めての夜を過ごした。
◇◇◇◇◇
震える指先が私の肌を滑る。
その指先で、緊張しているのは私だけではないとわかった。
「これに何の意味があるの?」
あえて余裕ぶって聞いてみたが、すげなく言われた。
「いいから黙ってアル」
質素な私のドレスを力任せに脱がそうとしてくる。
破かれると困るので、私は必死に抵抗した。
「やめて、自分で脱ぐから」
「……わかった」
私の上に被さっていた体がどけられ、なんとか私はベッドに座り服を脱ぐ。
背中を向けた彼も、急ぐように自らのシャツを脱いでいた。
いつの間に、あんなに逞しくなったのだろう。
見慣れたはずの彼の体が、とても眩しく感じてしまった。
熱を込めた目で、全てを脱ぎさった彼が私に近づいてくる。
私の残していた下履きに手を伸ばし、今度は丁寧に脱がせていく。
「嫌いにならないでくれアル」
「マクシ様……そんな」
「ずっと、ずっと本当はこうしたかった」
「何をするのか理解されていますか?」
閨教育を私たちはきちんと受けていない。
受けたのは、私が父に頼んだ教師の一人が、人体の保健について学ばせてくれた程度だ。
彼は幼いながらも、それも本棚の陰で学んでいたはず。
その程度の知識しかないのだが。
「男同士で、そういう話を聞く機会は色々とあったよ」
「たとえば?」
「たとえば俺に剣を教えた男や、通いの庭師とか」
そう言われれば、年頃になったマクシ様は色々と男性同士で話し込んでいた時もあったが、まさか内容がそんな事だと思わなかった。
「綺麗だ……アルは全部綺麗なんだな」
ハッと気づくと、再び私はベッドに全裸で押し倒され、大きな体が上にあった。
触れ合う肌から熱が伝わる。
どうも思考が麻痺してしまったみたいだ。
何も考えられないままに、彼の欲望に流される。
「柔らかい……俺のだ」
「んっ……」
口からはしたない声が洩れそうになり、片手で自らの口を塞いだ。
大きな手が遠慮なく、私の胸を揉みこんでいく。
いつもは慎重なくせに、時々とても大胆になるのは彼の癖だ。
何かに夢中になった時に、それは発揮される。
「ひゃっ!」
「声、我慢しないで……美味しそう。アルのここサクランボみたいだね」
何にたとえてと文句を言う前に、胸のとがりに吸いつかれ、私の腰が勝手に跳ねた。
赤ん坊でもないのに、胸を吸われる感触に怯えが入る。
彼の興味は胸だけでない。当然、私の秘すべき場所に手が伸びる。
閉じた足をこじ開けられて、差し込まれた指先から水音が鳴った。
「っ……痛いっ」
「あ、すまない!」
鼻息も荒い彼の動きが一旦停止した。
けれど、そのままやめるつもりはないようだ。
なぜ自分の下半身が濡れるのか、私にはわからない。
ただ羞恥に襲われ、私は本能で逃げようとするが腰をしっかり掴まれた。
「ごめん……我慢は無理だ」
「マ……マクシ様」
「君が大事過ぎて、俺は……」
チュクチュクとかき混ぜられた入口に熱い塊を押し付けられる。
喉がヒクつき、今から一つになるのだと意識させられた。
「君は……俺の妻だ。俺だけの、俺の愛しいアル」
「うぁ……ああっ!」
メリメリと音を立てるように、激痛とともに私の中が浸食されていく。
私の体を思い切り抱きしめて、彼のモノが奥まで埋め込まれた。
「っあ……」
「くっ、す、凄い……アル、アル」
我慢ならないと、歓喜に満ちた獣の声で、彼の腰が激しく動き始める。
私は歯を食いしばり、彼の背中に爪を立てた。
「うっ、あうっ」
「ごめん、止められないっ、気持ち良すぎて……」
内臓を抉られる痛みと、それと共に奥から湧き出す甘い痺れが私を襲う。
痛みの中にある、わけのわからない感覚に、戸惑い頭が真っ白になる。
「離れない、俺の傍に居てくれアルメティア」
「あっ、ああっ」
「嫌だアル! 愛してる! 愛してるから!」
遠のく意識の片隅で、見えた彼の顔が泣いているみたいで……。
どうして一つになったのに、私たちの心は引き裂かれるんだろう。
「泣かないで……マクシ様」
「っあ……アル」
私は首に手を回して、顔を引き寄せ頭を撫でてやった。
彼の動きが一瞬止まる。
「昔から、少し泣き虫ですね」
「……君だけなんだ」
小さなささやき、そして彼は最後に激しく私の腰に打ち付け始めた。
揺さぶられる大きな動き、互いの息と声が寝室に響く。
そして最後の時を迎え、彼の何かが私の中に注がれていく。
涙目で私は彼を見つめる。
「アル、ありがとう。辛かった?」
今になって、叱られた子犬のような顔は反則だ。
私は優しく微笑んで、そして意識を手放した。
◇◇◇◇◇
「アルメティア、どうしても行くのか?」
私を止める夫の手を、あえて冷たく振り切った。
夜のうちに旅立つはずが、朝を迎えてしまう。
もう時間がない。
いつ兵士たちが、ここに突入してきてもおかしくないのだ。
私は、彼を怒鳴りつけた。
昨夜の満ちた温かさと愛しさを封印して。
「もう、子供の面倒なんて真っ平ごめんです!」
私に伸ばした手がピタリと止まる。
追い打ちをかけるように、私はまくしたてた。
「だいたい、どうして私は王族なのに、あなたみたいな年下の妻でいないといけないの!」
薄い青色の髪、それと違う深い海の色の瞳が大きく見開かれる。
そうよ、それでいい。
傷ついて、そして私を憎んで。
「ちょっと優しいフリをすれば、ほいほい懐いて簡単だったわね。でも、こうなったら私を自由にして頂戴! 子守はもう沢山よ!」
クルリと背を向け扉に向かう。
後ろで彼が何か言った。
けれど……。
「聞こえないわ。あなたの声なんて」
パタンと扉を閉めて、私は荷物を掴んで駆け出した。
それが、彼との夫婦生活の終わりだった。
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