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第四話
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アンは理解できないものを見る目で、わたしを見る。
確かに、とうとう狂ったと思われてもしかたないわね。
でも、わたしが意に介さずすたすた歩いてゆくので、アンもしかたなくついてくる。
さて、旦那様の居城は中庭が広場になっており、練兵場でもあった。
旦那様は領内にあるダンジョンへ、調査の遠征に行ってる。
だから、精鋭はいないかもしれないが、まあそれなりの兵は残ってるはず。
兵士たちは、槍を振るい矢を射て稽古に励んでるようだ。
中庭にわたしとアンが出てくると、明らかに招からざるべきものが来たという空気が漂う。
わたしは気に留めず、にこにこ笑いながら歩く。
よく晴れて、空気が澄んだ日だ。
冬の終わりとは言え、結構温度は低そう。
でも、強化されたわたしの肌にはむしろ冷たさが心地良い。
わたしは、千人隊長のエギルに声をかける。
「おはようございます。いつも、城の守りを固めるため励んで頂きありがとう」
既に若くはなく、顔にいくつも傷跡が残った強面のエギルはむっとした顔で頭をさげる。
「何のようですかい」
エギルの無愛想な顔に、わたしは満面の笑みを向ける。
「ここで一番強い方は、どなたかしら」
「はぁ?」
エギルは不審げな顔を、向ける。
「ああ、あの方かしら」
わたしは、すたすたと歩きながら身体がゴツく身のこなしも素早いひとりのおとこに目を止める。
「おい!」
エギルは怒りの目をアンに向けたが、アンは肩を竦めるばかりだ。
ま、こうなったら止められないよね。
その兵はわたしからすると見上げるばかりに背が高く、それだけではなく幅もけっこうある。ドウェイン・ジョンソンかよって身体。
もしかすると腕の太さがわたしの胴より太いかも、って思う。
兵は剣を肩に担ぎ、わたしを見下ろす。
そして、口を開いた。
「む、あんたは確か役立たずの姫さんか」
えらい言われようだが、わたしはにこにこと笑みを返す。
「おはようございます、朝から訓練に励んで頂きありがとう。お名前を頂けるかしら」
兵は、訝しげにわたしを見つめているが、応えてくれる。
「おれは、ダークっていう」
「ありがとう、ダークさん。このわたしも、城を守るため微力ながらお手伝いをしたいと思ってますの。ねぇ、わたしに剣の稽古を付けてくださらない?」
「はぁ?」
ダークと名乗った兵は、エギルに眼差しを向ける。
エギルはあからさまに、舌打ちをした。
一応、隊長クラスにはわたしがダンジョン探索者として魔獣を狩っていたという情報は知らされてるはず。
でもわたしに対しては、おそらく身の程知らず以外の言葉はでてこないだろう。
確かに、とうとう狂ったと思われてもしかたないわね。
でも、わたしが意に介さずすたすた歩いてゆくので、アンもしかたなくついてくる。
さて、旦那様の居城は中庭が広場になっており、練兵場でもあった。
旦那様は領内にあるダンジョンへ、調査の遠征に行ってる。
だから、精鋭はいないかもしれないが、まあそれなりの兵は残ってるはず。
兵士たちは、槍を振るい矢を射て稽古に励んでるようだ。
中庭にわたしとアンが出てくると、明らかに招からざるべきものが来たという空気が漂う。
わたしは気に留めず、にこにこ笑いながら歩く。
よく晴れて、空気が澄んだ日だ。
冬の終わりとは言え、結構温度は低そう。
でも、強化されたわたしの肌にはむしろ冷たさが心地良い。
わたしは、千人隊長のエギルに声をかける。
「おはようございます。いつも、城の守りを固めるため励んで頂きありがとう」
既に若くはなく、顔にいくつも傷跡が残った強面のエギルはむっとした顔で頭をさげる。
「何のようですかい」
エギルの無愛想な顔に、わたしは満面の笑みを向ける。
「ここで一番強い方は、どなたかしら」
「はぁ?」
エギルは不審げな顔を、向ける。
「ああ、あの方かしら」
わたしは、すたすたと歩きながら身体がゴツく身のこなしも素早いひとりのおとこに目を止める。
「おい!」
エギルは怒りの目をアンに向けたが、アンは肩を竦めるばかりだ。
ま、こうなったら止められないよね。
その兵はわたしからすると見上げるばかりに背が高く、それだけではなく幅もけっこうある。ドウェイン・ジョンソンかよって身体。
もしかすると腕の太さがわたしの胴より太いかも、って思う。
兵は剣を肩に担ぎ、わたしを見下ろす。
そして、口を開いた。
「む、あんたは確か役立たずの姫さんか」
えらい言われようだが、わたしはにこにこと笑みを返す。
「おはようございます、朝から訓練に励んで頂きありがとう。お名前を頂けるかしら」
兵は、訝しげにわたしを見つめているが、応えてくれる。
「おれは、ダークっていう」
「ありがとう、ダークさん。このわたしも、城を守るため微力ながらお手伝いをしたいと思ってますの。ねぇ、わたしに剣の稽古を付けてくださらない?」
「はぁ?」
ダークと名乗った兵は、エギルに眼差しを向ける。
エギルはあからさまに、舌打ちをした。
一応、隊長クラスにはわたしがダンジョン探索者として魔獣を狩っていたという情報は知らされてるはず。
でもわたしに対しては、おそらく身の程知らず以外の言葉はでてこないだろう。
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