転生したら公爵令嬢になって辺境伯に嫁ぐことになったけど「貴女は必要無い」と言われたので、好きにすることにしました

ルサルカ

文字の大きさ
4 / 12

第四話

しおりを挟む
 アンは理解できないものを見る目で、わたしを見る。
 確かに、とうとう狂ったと思われてもしかたないわね。
 でも、わたしが意に介さずすたすた歩いてゆくので、アンもしかたなくついてくる。

 さて、旦那様の居城は中庭が広場になっており、練兵場でもあった。
 旦那様は領内にあるダンジョンへ、調査の遠征に行ってる。
 だから、精鋭はいないかもしれないが、まあそれなりの兵は残ってるはず。
 兵士たちは、槍を振るい矢を射て稽古に励んでるようだ。
 中庭にわたしとアンが出てくると、明らかに招からざるべきものが来たという空気が漂う。
 わたしは気に留めず、にこにこ笑いながら歩く。
 よく晴れて、空気が澄んだ日だ。
 冬の終わりとは言え、結構温度は低そう。
 でも、強化されたわたしの肌にはむしろ冷たさが心地良い。
 わたしは、千人隊長のエギルに声をかける。

「おはようございます。いつも、城の守りを固めるため励んで頂きありがとう」

 既に若くはなく、顔にいくつも傷跡が残った強面のエギルはむっとした顔で頭をさげる。

「何のようですかい」

 エギルの無愛想な顔に、わたしは満面の笑みを向ける。

「ここで一番強い方は、どなたかしら」

「はぁ?」

 エギルは不審げな顔を、向ける。

「ああ、あの方かしら」

 わたしは、すたすたと歩きながら身体がゴツく身のこなしも素早いひとりのおとこに目を止める。

「おい!」

 エギルは怒りの目をアンに向けたが、アンは肩を竦めるばかりだ。
 ま、こうなったら止められないよね。
 その兵はわたしからすると見上げるばかりに背が高く、それだけではなく幅もけっこうある。ドウェイン・ジョンソンかよって身体。
 もしかすると腕の太さがわたしの胴より太いかも、って思う。
 兵は剣を肩に担ぎ、わたしを見下ろす。
 そして、口を開いた。

「む、あんたは確か役立たずの姫さんか」

 えらい言われようだが、わたしはにこにこと笑みを返す。

「おはようございます、朝から訓練に励んで頂きありがとう。お名前を頂けるかしら」

 兵は、訝しげにわたしを見つめているが、応えてくれる。

「おれは、ダークっていう」

「ありがとう、ダークさん。このわたしも、城を守るため微力ながらお手伝いをしたいと思ってますの。ねぇ、わたしに剣の稽古を付けてくださらない?」

「はぁ?」

 ダークと名乗った兵は、エギルに眼差しを向ける。
 エギルはあからさまに、舌打ちをした。
 一応、隊長クラスにはわたしがダンジョン探索者として魔獣を狩っていたという情報は知らされてるはず。
 でもわたしに対しては、おそらく身の程知らず以外の言葉はでてこないだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

世話焼き幼馴染と離れるのが辛いので自分から離れることにしました

小村辰馬
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢、エリス・カーマインに転生した。 幼馴染であるアーロンの傍にに居続けると、追放エンドを迎えてしまうのに、原作では俺様だった彼の世話焼きな一面を開花させてしまい、居心地の良い彼のそばを離れるのが辛くなってしまう。 ならば彼の代わりに男友達を作ろうと画策するがーー

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

千年に一度の美少女になったらしい

みな
恋愛
この世界の美的感覚は狂っていた... ✳︎完結した後も番外編を作れたら作っていきたい... ✳︎視点がころころ変わります...

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

処理中です...