転生したら公爵令嬢になって辺境伯に嫁ぐことになったけど「貴女は必要無い」と言われたので、好きにすることにしました

ルサルカ

文字の大きさ
11 / 12

第十一話

しおりを挟む
「おい、失礼だろう」

 傭兵隊長が、眉間にシワをよせ冷たい声を放つ。

「い、いや、無理。無理だって。ニコライ、見たろ、あれ」

 ひーひー言いながら、旦那様は笑い続ける。

「どこの蛮族だよって、格好してんのに。カーテンシーだぞ、ニコライ!」

 ニコライは、アホかという顔で旦那様を見て溜息をつく。
 旦那様はおかまいなく、傭兵隊長ニコライさんの肩をばしばし叩いた。
 旦那様の爆笑は、止まらない。

「しかも、肉! 熊の肉を、ここで焼くって、なにそれ」

 わたしは、むっとなる。
 せっかくの心尽くしで焼いた肉を貶されるとは、納得がいかない。
 思わず、手が出ていた。
 わたしは、旦那様の胸ぐらを掴むと、ぐいっと持ち上げる。
 ひいっと、後ろでアンが悲鳴をあげていた。
 旦那様をわたしは、宙吊りにする。
 足が、ぷらぷら揺れていた。

「いくらなんでも、笑いすぎだし、デスワ」

 旦那様は、わたしの手を掴む。

「いや、おまえキャラ崩れてる、ていうか、何この腕」

 旦那様は、わたしの腕をぺたぺた触りだす。
 そのまま、肘から肩の方も触りだした。
 その瞳はまるで宝物をみつけた子供のように、綺羅綺羅輝いている。
 そういえば旦那様は、同い年で二十歳前だったか。
 十二の時から戦場に出ているとは、聞いてたけど。

「凄いな、おまえ。この身体、素晴らしいぞ」

 こころの底から感動しているような声で、旦那様はわたしを褒める。
 わたしは旦那様を、下に降ろす。
 予想外の称賛に、わたしの頬は薔薇色に染った。
 旦那様は気にせず確かめるように、腕や肩をぺたぺた触りまくる。

「なあ、ちょっと服脱いでみろ」

「エイリーク、おまえふざけんな」

 ニコライ隊長が、少し苛立ちの混ざった声を出す。
 旦那様は、キョトンとしてニコライ隊長をみる。
 ニコライ隊長は、舌打ちをした。

「え、だっておれたち夫婦だし」

 旦那様は、不思議そうに言った。
 わたしは、真っ直ぐ旦那様を見据える。

「旦那様、二人きりの場所でならいくらでも肌をお見せしますが、ここでは」

 旦那様は、ふむと頷く。

「判った。それでは、こうしよう。すまぬが、おれ以外は全員目を閉じてくれ!」

 旦那様はそう叫ぶと、わたしに微笑みかける。

「これで、大丈夫だ」

 なんとも破天荒であるが、いいおとこがするとなんだか理にかなってるような気にさせられる。
 えい、ままよとわたしは外套やサーコート、チュニックを脱ぎ捨てた。
 膝上の洋袴に、肩剥き出しのコルセット姿になる。

「あの、これくらいでご勘弁を」

 わたしの頬は、夕陽に染められたように赤くなる。思わず、顔を俯かせてしまう。
 旦那様はわたしの仕草にはお構いなくふむふむと頷き、長い溜息をつく。

「これほど見事に仕上がった身体を、見たことがない。ここまで作り上げるのに、いかほどの努力があったことか想像に固くない」

 旦那様は、本当に感動している口調だ。

「見ろ、ニコライ。彼女は、伝説のジゼル女王になれるぞ」

「おれは、目を閉じてるのだが」

「ああ、そうか。じゃあ、目を閉じたまま見ろ」

「無茶苦茶すぎる」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

世話焼き幼馴染と離れるのが辛いので自分から離れることにしました

小村辰馬
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢、エリス・カーマインに転生した。 幼馴染であるアーロンの傍にに居続けると、追放エンドを迎えてしまうのに、原作では俺様だった彼の世話焼きな一面を開花させてしまい、居心地の良い彼のそばを離れるのが辛くなってしまう。 ならば彼の代わりに男友達を作ろうと画策するがーー

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

千年に一度の美少女になったらしい

みな
恋愛
この世界の美的感覚は狂っていた... ✳︎完結した後も番外編を作れたら作っていきたい... ✳︎視点がころころ変わります...

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

処理中です...