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第73話「聖人の血を、地獄の焔へ撒き散らす」【リディア】
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海が赤く、泡立ちはじめる。
海水の中に閉じ込められた燃え盛る焔が、出口を求めて蠢いていた。
泡立つ赤い焔の奥に、漆黒の塊が動いている。
いよいよ、黒竜式たちが上陸をはじめる時が来た。
無数の稲妻が、海底から岩盤のように重く立ちこめる雲に向かって、放たれていく。
白い灰が降り注ぐ中で、真紅の閃光が地上を蹂躙する。
空気が、研ぎ澄まされるように思えた。
廃墟のような街で、死の放射能を含んだ風が巻き起こる。
わたしは海岸からヘリを再び遠ざけていくが、機体は風に揺さぶられていた。
世界を終わらせる破壊槌の鳴らす轟音が、動くものの消え失せた街に轟く。
百一体のゴジラサウルスが放つ、咆哮である。
赤く染まった海が盛り上がり、真紅の閃光を放ちつつ黒竜式たちがゆっくりと上陸した。
もう、彼らの前に立ちふさがるものは、いないようだ。
そこにあるのは、空っぽになった街だけである。
随所で放棄された自動車が、黒竜式たちに踏み潰され火焔をあげていく。
先頭のゴジラサウルスが、首都高速にたどりついた。
放棄された高架道路は、黒竜式の放ったプラズマ放射によってあっさり破壊される。
ゴジラサウルスたちは、もはや容赦が無かった。
戦術核兵器によって朽ち果てたようになっている街に対して、追い討ちをかけるようにプラズマ放射で蹂躙していく。
何十本もの光の柱が、随所に立ち並んでいった。
紅蓮の焔が、地上を満たしつつある。
地の底から、地獄が浮上してきたのかとさえ思う。
この世の終わりに、これほど相応しい情景があろうか。
金属が軋むような咆哮を、黒い龍たちは次々に放つ。
破壊音は破滅のオーケストラとなって、街を満たしていく。
上空から見ると、街はもう真紅の焔に包まれ赤い海原と化していた。
その赤い海を泳ぐように、百一体の黒い龍たちがゆっくりと移動していく。
東京全体が同じような焔につつまれるのは、時間の問題に思える。
しかしそれですら、序曲にすぎない。
黒竜式の暴走は、地球全体を太陽にするまで止まらないはずだ。
「おい、リディア。これを、見ろよ」
スミスに声をかけられ、操縦席の向こうに広がる地獄の光景から目を逸らしてヘリの中を見る。
スミスは、いつの間にかナツの死体を抱きかかえていた。
とても奇妙なことが、起こっている。
ナツは、間違いなく死んでいるはずなのに、いつしかその胸から紅い血が流れ出していた。
ちょうど、心臓の真上あたり。
真紅の薔薇を挿したように、紅い血が胸を染めている。
その血は、とどまること無く溢れているようだ。
「何が、起こっている?」
わたしの問いに、スミスは首を振る。
判らないと、いいたいのだろう。
まあ、この状況を説明できるのはカネダなんだろうが、彼は東京湾の底だ。
「リディア、ゴジラサウルスたちの上にいってくれ」
「冗談だろ」
目を剥くわたしに、スミスは肩を竦める。
「ファティマ、第三の予言だ」
わたしは、スミスが狂ったのかと思う。
この状況であれば、誰だって頭がおかしくなるだろう。
「聖人の血を、地獄の焔へ撒き散らすんだ」
海水の中に閉じ込められた燃え盛る焔が、出口を求めて蠢いていた。
泡立つ赤い焔の奥に、漆黒の塊が動いている。
いよいよ、黒竜式たちが上陸をはじめる時が来た。
無数の稲妻が、海底から岩盤のように重く立ちこめる雲に向かって、放たれていく。
白い灰が降り注ぐ中で、真紅の閃光が地上を蹂躙する。
空気が、研ぎ澄まされるように思えた。
廃墟のような街で、死の放射能を含んだ風が巻き起こる。
わたしは海岸からヘリを再び遠ざけていくが、機体は風に揺さぶられていた。
世界を終わらせる破壊槌の鳴らす轟音が、動くものの消え失せた街に轟く。
百一体のゴジラサウルスが放つ、咆哮である。
赤く染まった海が盛り上がり、真紅の閃光を放ちつつ黒竜式たちがゆっくりと上陸した。
もう、彼らの前に立ちふさがるものは、いないようだ。
そこにあるのは、空っぽになった街だけである。
随所で放棄された自動車が、黒竜式たちに踏み潰され火焔をあげていく。
先頭のゴジラサウルスが、首都高速にたどりついた。
放棄された高架道路は、黒竜式の放ったプラズマ放射によってあっさり破壊される。
ゴジラサウルスたちは、もはや容赦が無かった。
戦術核兵器によって朽ち果てたようになっている街に対して、追い討ちをかけるようにプラズマ放射で蹂躙していく。
何十本もの光の柱が、随所に立ち並んでいった。
紅蓮の焔が、地上を満たしつつある。
地の底から、地獄が浮上してきたのかとさえ思う。
この世の終わりに、これほど相応しい情景があろうか。
金属が軋むような咆哮を、黒い龍たちは次々に放つ。
破壊音は破滅のオーケストラとなって、街を満たしていく。
上空から見ると、街はもう真紅の焔に包まれ赤い海原と化していた。
その赤い海を泳ぐように、百一体の黒い龍たちがゆっくりと移動していく。
東京全体が同じような焔につつまれるのは、時間の問題に思える。
しかしそれですら、序曲にすぎない。
黒竜式の暴走は、地球全体を太陽にするまで止まらないはずだ。
「おい、リディア。これを、見ろよ」
スミスに声をかけられ、操縦席の向こうに広がる地獄の光景から目を逸らしてヘリの中を見る。
スミスは、いつの間にかナツの死体を抱きかかえていた。
とても奇妙なことが、起こっている。
ナツは、間違いなく死んでいるはずなのに、いつしかその胸から紅い血が流れ出していた。
ちょうど、心臓の真上あたり。
真紅の薔薇を挿したように、紅い血が胸を染めている。
その血は、とどまること無く溢れているようだ。
「何が、起こっている?」
わたしの問いに、スミスは首を振る。
判らないと、いいたいのだろう。
まあ、この状況を説明できるのはカネダなんだろうが、彼は東京湾の底だ。
「リディア、ゴジラサウルスたちの上にいってくれ」
「冗談だろ」
目を剥くわたしに、スミスは肩を竦める。
「ファティマ、第三の予言だ」
わたしは、スミスが狂ったのかと思う。
この状況であれば、誰だって頭がおかしくなるだろう。
「聖人の血を、地獄の焔へ撒き散らすんだ」
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