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第五話
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あたしは、窓から外を見る。
でかいドイツ車が十台ほど停まっていた。
「何あれ、多すぎない?」
彼は、苦笑した。
「君のやらかしが派手だったからね、こっちがなんかやばい武器を持っていると思われている」
あ、はぁ、とあたしは笑う。
でもまあ、あたってるっちゃあ、あたってる。
あたしは、自分がどれほどやばいのかよく判らない。
この状況は、いい。
ちょうど、吐きだしたかったんだよ。
「でも、なんであたしたちを殺そうとするの? 警察にまかせりゃあいいじゃん」
彼は、また苦笑する。
「おれが警察に捕まったら、芋づる式でやつらに手が及ぶ。そうなる前に、殺しとこうって感じだろ」
あたしは、元彼がすっかり詰んだ状態に陥ってるのに気がつく。
しかも、あたしのせいで。
ああ、笑う。
なんて、酷い。
笑いがとまらない。
「何、笑ってんだよ。おれが連中を引き付けるから、君は逃げろ」
馬鹿じゃないのこいつ、とあたしは彼を見る。
あたしは、服を脱ぎ捨てた。
全裸になる。
ああ、身体が熱くてじりじりした。
胸の先端や、下腹の奥も熱をもって蠢いているのがわかる。
なんか、全身性器になったんじゃあないの、て思う。
「おい、何をやって」
何か言おうとするのを、無理やり口づけでふさぐ。
あたしの舌が、彼の口の中で暴れまわる。
彼の舌はなんだかひんやりして、気持ちいい。
「あんたさ、あたしのこと好きなんでしょ」
彼は、少し戸惑ったが、結局頷く。
「ああ」
「もお、たまらないほど、あたしのことを欲しくなるんでしょ」
「ああ」
彼は、あきらめたように素直になった。
「でも、あたしがあんたみたいな駄目おとこを好きになることは絶対ない、そう思ったんだ」
彼は頷く。
「実際、そうだろ」
あたしは、ふふっと笑う。
「まあね。だから無関心であるよりは、あたしがあんたを殺したくなるようにしたんだ」
あたしは、裸の身体で彼をぎゅっと抱きしめる。
「きっと、憎しみは愛より深いからね」
あたしは彼の身につけたイタリア製スーツを、剥ぎ取ってゆく。
あたしは裸にした彼の身体を、さらにぎゅっと抱く。
ああ、ひんやりして気持ちいい。
死体を抱くって、もしかしてこんな感じ?
「でも、今のあんたってさ。憎しみにも値しないかな。だって、むしろ憐れみを感じるのよね」
彼は、苦笑する。
「どうでもいい、おれたちは五分後には焼け焦げた死体になる」
そう言って、あたしをぎゅっと抱きしめた。
最後の瞬間を、あたしと共に過ごせてよかったとでも思ってるね。
でもさ。
ちがうんだなぁ、これが。
あたしの中で泣き叫び、荒れ狂うコードがそうじゃあないって言ってる。
でかいドイツ車が十台ほど停まっていた。
「何あれ、多すぎない?」
彼は、苦笑した。
「君のやらかしが派手だったからね、こっちがなんかやばい武器を持っていると思われている」
あ、はぁ、とあたしは笑う。
でもまあ、あたってるっちゃあ、あたってる。
あたしは、自分がどれほどやばいのかよく判らない。
この状況は、いい。
ちょうど、吐きだしたかったんだよ。
「でも、なんであたしたちを殺そうとするの? 警察にまかせりゃあいいじゃん」
彼は、また苦笑する。
「おれが警察に捕まったら、芋づる式でやつらに手が及ぶ。そうなる前に、殺しとこうって感じだろ」
あたしは、元彼がすっかり詰んだ状態に陥ってるのに気がつく。
しかも、あたしのせいで。
ああ、笑う。
なんて、酷い。
笑いがとまらない。
「何、笑ってんだよ。おれが連中を引き付けるから、君は逃げろ」
馬鹿じゃないのこいつ、とあたしは彼を見る。
あたしは、服を脱ぎ捨てた。
全裸になる。
ああ、身体が熱くてじりじりした。
胸の先端や、下腹の奥も熱をもって蠢いているのがわかる。
なんか、全身性器になったんじゃあないの、て思う。
「おい、何をやって」
何か言おうとするのを、無理やり口づけでふさぐ。
あたしの舌が、彼の口の中で暴れまわる。
彼の舌はなんだかひんやりして、気持ちいい。
「あんたさ、あたしのこと好きなんでしょ」
彼は、少し戸惑ったが、結局頷く。
「ああ」
「もお、たまらないほど、あたしのことを欲しくなるんでしょ」
「ああ」
彼は、あきらめたように素直になった。
「でも、あたしがあんたみたいな駄目おとこを好きになることは絶対ない、そう思ったんだ」
彼は頷く。
「実際、そうだろ」
あたしは、ふふっと笑う。
「まあね。だから無関心であるよりは、あたしがあんたを殺したくなるようにしたんだ」
あたしは、裸の身体で彼をぎゅっと抱きしめる。
「きっと、憎しみは愛より深いからね」
あたしは彼の身につけたイタリア製スーツを、剥ぎ取ってゆく。
あたしは裸にした彼の身体を、さらにぎゅっと抱く。
ああ、ひんやりして気持ちいい。
死体を抱くって、もしかしてこんな感じ?
「でも、今のあんたってさ。憎しみにも値しないかな。だって、むしろ憐れみを感じるのよね」
彼は、苦笑する。
「どうでもいい、おれたちは五分後には焼け焦げた死体になる」
そう言って、あたしをぎゅっと抱きしめた。
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