人付き合いより好奇心優先で

ゆずゆ

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天国ってあるんだな…

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名前は分からない、家族の顔もぼやけてしか思い出せない、でも絶対にいたはずの私の愛しい子。

「どうか、あの子だけは幸せになって」

「その心、しかと受け止めた」

「お願いします」

ふわっと体が浮く感覚がしてほんのり暖かく安心する

「来たか」

ここは「どこ?」

「お主たちの世界では天国と言われている場所だ」

「天国…」

辺りを見渡すと白くホワホワしている光がいくつも見えて綺麗で可愛い

「あれは人魂だな。ここで心を癒し、休め、新たな個体となりそれぞれの新しい、と言っても記憶はないが、次の人生を生きていくんだ」

「私は死んだんですか?」

「そうだ」

そうか、死んだのか。

「あの、子供が1人いたはずなんですけど、無事ですか?」

「お前さんの子供は無事だ。幸せになるように加護も与えておいた」

「ありがとうございます。もう心残りはありません。」

「そうか、では新たな人生を歩むがいい。」

「はい」

と言っても記憶はないんだよね?

「ん、ああ、そうか、その説明がまだであったな。そなたは記憶持ちとして転生してもらう。といっても元の世界に心が持っていかれないように少し細工はさせてもらうが」

「はい、分かりました。ではお願いします。」

「…ん〝、話が早くて助かるがいくつか説明させてほしい。これはマニュアルで決まっているからな」

私はあの子が幸せになれるんならなんだっていい。
けど正真正銘の新しい人生か~不思議な夢だな~

「元の世界に心が持っていかれないようと言ったが、正確には記憶に感情が左右されないようになるという事だ。
例えばお前さんで言うと1番思っている子に関しても、子供がいたことは覚えているし可愛かったであろうとは思うがどこか他人事に感じる。と言った感じが近いか、それについて自分は薄情ものだとも思わないがそれは神のしわざである。」

「はい」

「それと死因だが記憶にあるだろうが震災によるものだ、災難であった。が、幸運でもあった。」

幸運?流石に不謹慎では?

「本来、お前さんは病死だった。それが災害により早く死んだことで心が枯れる前にここに来れた。それもとても綺麗な状態で。故の転生なのだ」

「では災害で亡くなった方はみんな記憶持ちで新しい人生を歩むということですか?」

「いや、そなただけだな」

「まぁ色々と基準があるんだ。とても精密な。他の世界とのバランスもあるしこちらの不手際もあってな。時間がないからそこはこちら都合だし詳しくは話せないが、とにかくラッキーであった」

神様が言うならそうなんだろうな。まぁ不手際ってところが気になるけど聞いても答えてくれないんだろう。

「ご名答。で、今から行く世界は所謂ファンタジーと言われている世界。科学の代わりに魔法、銃ではなく剣、と言う世界だ。」

昔読んでいた小説にそんなのがあったな~好きだった。うん。

「地球、日本よりは危険だが治安は悪くない国に転生されるだろう。」

「ありがとうございます。」

「では行ってまいれ」

「はい」

意識が浮上していく。暖かい…安心する…幼い時に母に抱かれたことを何十年ぶりかに思い出した。
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