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プロローグ それさえも私はどうでもよくて
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初めに言っておくと。
私は顔にアイドルになれるとまでは思わないが、そこそこ自信がある。
声だって声優までとは行かないが、悪くないと思っている。
発育だって、胸は少し小さいけれど他の子と比べてそこまで遅れていない。
そのせいか、中学に上がった頃から男子達の下衆な会話の中に私の名前が度々出てくるようになった。たまに告白もされた。
女子からはどうも私が気に食わないらしく、私に聞こえるように何度も嫌味を言われた。自覚はないが調子に乗っているんだとか。
世間からしたら虐めの部類に入るのだろうけど、私からしたら割とどうでもよかった。
親から与えられたスマホ一台あれば暇はいくらでも潰せたし、友達を無理に作る必要性はあまり感じられなかった。
ただ、親は私をいつも心配していた、「学校は楽しい?」「そんなに辛いなら転校してもいいのよ?」と毎日のように語りかけてくる。
「学校はどうだった?」
そう聞かれるので毎日素直にありのままを答えていたらこうなった。
これも世間からしたら優しい親に分類されるんだろうし嫌いではないけれど、私には少し面倒くさく感じた。
以上が私の人生と自己紹介だ。
周りからは可哀想な子と扱われる事が多いが、当の私は無関心。
ましてや虐めで自殺なんて考えたことも無かった。
だから、本当に死ぬなんて思わなかった。
中学からの帰り道、酷く雨が降っている。
「寒い⋯⋯」
季節は夏。
夏期用の制服を着ているため半袖。
傘は持っているが雨は私の素肌に触れ、体温を奪っていく。
こういう時、赤信号が永遠の様に長く感じる。
私の周りにはお婆さんが同じく信号待ちをしている。
「あ、もうすぐ青になる」
誰に言うわけでもなくポツリと呟いた一言は雨で全てが掻き消された。
私は青信号になったのを見て、滑らないように慎重に歩いた。
後ろにいるお婆さんもその様で、そのペースだと青信号の間に渡りきれないんじゃないかと心配になる。
その時だった。
確かに私は青信号で横断歩道を渡ったのに、トラックが止まることなく突っ込んできた。
どうやら雨で滑ったみたいだ。
「え、ちょ⋯⋯嘘でしょ?」
トラックはまるで自分だけを狙うかの様に、衝突した。
私の華奢な身体なんてひとひねりなんだろう、見事に吹き飛んだ。
飛んで行った身体は走馬灯を感じる暇もなく、水溜まりの中にばしゃりと着地した。
薄れゆく意識の中で、私はあのお婆さんの身を案じた。
巻き添えを喰らっていないかと。
「あ、ああ⋯⋯警察ぅぅ!!」
お婆さんは無事な様で、元気に慌てふためいている。
お婆さん、そこは救急車呼んで欲しいな。
だんだんと私の意識は遠のいてゆく。
人は気の力が大切だという。強い意志の力は難病にも打ち勝つなんて話が幾つもある。
ただ私の場合、死にたくはないが特別生きていたくもないという結論しか出てこなかった。
周りからはシャッター音だけが鳴り響いている。どうやら誰も助けに来る様子は無いようだ。
「なんかもう⋯⋯いいや⋯⋯」
人って結局こんなものか、と年端もいかない癖に勝手に人生悟りきったつもりになった。
死ぬ前に人生を振り返ってみようと思ったけれどこれ以上振り返ることがなかった。
私の今までの人生って、小説にすると何頁まで埋まるんだろうな。
だんだん脳が回らなくなってきた。薄れゆく視界には微かに、血で染まったアスファルトが見えた
そろそろお迎えかな。誰が迎えに来るかは知らないけど。
私は静かに目を閉じて、自分の死を受けいれた。
私は顔にアイドルになれるとまでは思わないが、そこそこ自信がある。
声だって声優までとは行かないが、悪くないと思っている。
発育だって、胸は少し小さいけれど他の子と比べてそこまで遅れていない。
そのせいか、中学に上がった頃から男子達の下衆な会話の中に私の名前が度々出てくるようになった。たまに告白もされた。
女子からはどうも私が気に食わないらしく、私に聞こえるように何度も嫌味を言われた。自覚はないが調子に乗っているんだとか。
世間からしたら虐めの部類に入るのだろうけど、私からしたら割とどうでもよかった。
親から与えられたスマホ一台あれば暇はいくらでも潰せたし、友達を無理に作る必要性はあまり感じられなかった。
ただ、親は私をいつも心配していた、「学校は楽しい?」「そんなに辛いなら転校してもいいのよ?」と毎日のように語りかけてくる。
「学校はどうだった?」
そう聞かれるので毎日素直にありのままを答えていたらこうなった。
これも世間からしたら優しい親に分類されるんだろうし嫌いではないけれど、私には少し面倒くさく感じた。
以上が私の人生と自己紹介だ。
周りからは可哀想な子と扱われる事が多いが、当の私は無関心。
ましてや虐めで自殺なんて考えたことも無かった。
だから、本当に死ぬなんて思わなかった。
中学からの帰り道、酷く雨が降っている。
「寒い⋯⋯」
季節は夏。
夏期用の制服を着ているため半袖。
傘は持っているが雨は私の素肌に触れ、体温を奪っていく。
こういう時、赤信号が永遠の様に長く感じる。
私の周りにはお婆さんが同じく信号待ちをしている。
「あ、もうすぐ青になる」
誰に言うわけでもなくポツリと呟いた一言は雨で全てが掻き消された。
私は青信号になったのを見て、滑らないように慎重に歩いた。
後ろにいるお婆さんもその様で、そのペースだと青信号の間に渡りきれないんじゃないかと心配になる。
その時だった。
確かに私は青信号で横断歩道を渡ったのに、トラックが止まることなく突っ込んできた。
どうやら雨で滑ったみたいだ。
「え、ちょ⋯⋯嘘でしょ?」
トラックはまるで自分だけを狙うかの様に、衝突した。
私の華奢な身体なんてひとひねりなんだろう、見事に吹き飛んだ。
飛んで行った身体は走馬灯を感じる暇もなく、水溜まりの中にばしゃりと着地した。
薄れゆく意識の中で、私はあのお婆さんの身を案じた。
巻き添えを喰らっていないかと。
「あ、ああ⋯⋯警察ぅぅ!!」
お婆さんは無事な様で、元気に慌てふためいている。
お婆さん、そこは救急車呼んで欲しいな。
だんだんと私の意識は遠のいてゆく。
人は気の力が大切だという。強い意志の力は難病にも打ち勝つなんて話が幾つもある。
ただ私の場合、死にたくはないが特別生きていたくもないという結論しか出てこなかった。
周りからはシャッター音だけが鳴り響いている。どうやら誰も助けに来る様子は無いようだ。
「なんかもう⋯⋯いいや⋯⋯」
人って結局こんなものか、と年端もいかない癖に勝手に人生悟りきったつもりになった。
死ぬ前に人生を振り返ってみようと思ったけれどこれ以上振り返ることがなかった。
私の今までの人生って、小説にすると何頁まで埋まるんだろうな。
だんだん脳が回らなくなってきた。薄れゆく視界には微かに、血で染まったアスファルトが見えた
そろそろお迎えかな。誰が迎えに来るかは知らないけど。
私は静かに目を閉じて、自分の死を受けいれた。
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