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プロローグ 心と身体の不一致
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アナタはボクを理解してくれますか?
理解してくれるのなら、少し興味を示してくれたら、唐突ですがボクのちっぽけな全てを聞いて下さい。
ボクは男の子ながら、物心着いた頃から可愛い物が大好きで憧れを感じていました。
大抵の幼い男の子は親に戦隊モノの変身セットなんてねだるでしょう?
けどボクはお母さんのリボンなんかをつけて喜んでいました。
母親と父親は揃って「リボンなんかつけて他所に出たら笑われるぞ」と幼いボクに言い聞かせました。
両親の言う理屈は理解できなかったけれどいけないことだと教えられたボクは、親の前では可愛い物に興味を示さないように振る舞いました。
それから時が経ちボクは学校に通うようになりました。
学校なら親の目はないし好きな様にしました。
休み時間はよくクラスの女の子に混ざって、今流行ってるジャニーズで誰が好きか話したり、雑誌でみた可愛い服を着てみたいなんて話をしたり、色んな話をしました。
そしてボクは気が付けば凡そ三十名のクラスから孤立していました。
同性からは「お前女かよ絡んでくんな」と堂々と罵られました。
異性からは、「え、なんか話の時毎回いるよね? 普通に浮いてるって分かんないのかな?」
と影で罵られました。
常に周りから忌み嫌われて誰とも打ち解けられらない生活が続けば、流石に誰だって自分が周りと違う事に気付きます。
なのでボクも数年かかりましたが自分が周りと違うと言うことに気付きました。
明確にソレに気が付いたのは、中学二年の春。
学校に行くのに嫌気が刺していたボクに、初めて好きな人が出来た時の事でした。
ボクの初恋の相手は同じクラスのバスケットボール部のキャプテン。
彼は背も高くて人望もあるのに誰にでも分け隔てなく接していて優しい、まさに完璧な人でした。
そんな彼にボクもいつの間にか惹かれていました。嫌いだった学校も彼がいるから毎日通うことが出来ました。
自分の恋心を自覚してから季節は流れ、春から冬になりました。
バレンタインデーの季節です。
もちろん彼は女子からは大人気です。
バレンタインデーなんて言わなくても分かるでしょう?
皆が彼に対してバレンタインデーを作る中、ボクもその日彼に秘めたる想いを打ち明けようとチョコ作りに励みました。
当日は運がいいことに一人で下校する彼を見ける事ができて、勇気を振り絞ってチョコレートを手渡しました。
もちろん好きだという思いの丈も余すことなく伝えました。
心のどこかでいつも優しい彼ならボクからの告白を受け入れてくれるかもと期待していました。馬鹿でした。
その時ボクは初めて彼の心からの嫌悪の表情を目の当たりにしました。
吐き捨てるように「え、いやキモ」
それだけを言った彼にボクは頭が真っ白になって棒立ちしてしまいました。
せっかく作ったチョコも突き返されました。
ここで初めて自分の想いというのは周りから気持ち悪がられるものだと気が付きました。
翌日登校すると彼が「アイツに告白された」と噂を広げていて、今まで以上に後ろ指を指されたボクはクラスから完全に居場所がなくなりました。
まあそんなのはどうでもいいんです。
本当に辛かったのは、好きな人から意中の相手として決して見て貰えないこと。
その後ボクの中学生活がどうだったのかは言うまでもありません。
ていうか自分から話しておいて何ですが、言いたくないです。
高校に入ってからはなるべく周りに合わせるように、目立たない様に行動しました。
高校では虐められる事はありませんでしたが、どうしても中学時代の彼への想いは消えませんでした。
あれだけされてもボクはまだ彼に惹かれていました。
それこそ彼に惹かれていた他の女子よりもずっとずっと彼を想っている自信がありました。
ボクは彼を一度だって嫌いになんてなったことは無い、けれど彼はボクの知らない女の子を選びました。
はい、ボクの恋完全終了です。お疲れ様でした。
それと同時に、「女の子になりたい。僕が女の子だったら彼からも振り向いて貰えた」と強く思う様になりました。
その想いが強まる程に、ボクは辛くなりました。
お風呂に入って自分の身体を見る度に、泣きたくなって、鏡で自分の顔を見る度に、心がどうにかなりそうでした。
自分の顔なんて見たくなくて、前髪ばかり伸ばしました。そのせいで頭髪検査ではいつも叱られました。
「男子にしては長すぎる。切ってこい」
この一言が嫌で、本当に頭髪検査の日は学校に行きたくありませんでした。
けれど親が煩くて仕方なく学校に行って、無事頭髪検査に引っかかった帰り道、ボクは事故に遭いました。
意気消沈しすぎて、前を見ていなかったんです。
赤信号なのに普通に横断歩道を渡りました。
ボクが悪いですよね、運悪く大型車に跳ねられました。
ボクはその事故が原因で、この世界での短い一生を終えました。
以上です、ちっぽけなボクの全てを聞いくれてありがとうございました。
理解してくれるのなら、少し興味を示してくれたら、唐突ですがボクのちっぽけな全てを聞いて下さい。
ボクは男の子ながら、物心着いた頃から可愛い物が大好きで憧れを感じていました。
大抵の幼い男の子は親に戦隊モノの変身セットなんてねだるでしょう?
けどボクはお母さんのリボンなんかをつけて喜んでいました。
母親と父親は揃って「リボンなんかつけて他所に出たら笑われるぞ」と幼いボクに言い聞かせました。
両親の言う理屈は理解できなかったけれどいけないことだと教えられたボクは、親の前では可愛い物に興味を示さないように振る舞いました。
それから時が経ちボクは学校に通うようになりました。
学校なら親の目はないし好きな様にしました。
休み時間はよくクラスの女の子に混ざって、今流行ってるジャニーズで誰が好きか話したり、雑誌でみた可愛い服を着てみたいなんて話をしたり、色んな話をしました。
そしてボクは気が付けば凡そ三十名のクラスから孤立していました。
同性からは「お前女かよ絡んでくんな」と堂々と罵られました。
異性からは、「え、なんか話の時毎回いるよね? 普通に浮いてるって分かんないのかな?」
と影で罵られました。
常に周りから忌み嫌われて誰とも打ち解けられらない生活が続けば、流石に誰だって自分が周りと違う事に気付きます。
なのでボクも数年かかりましたが自分が周りと違うと言うことに気付きました。
明確にソレに気が付いたのは、中学二年の春。
学校に行くのに嫌気が刺していたボクに、初めて好きな人が出来た時の事でした。
ボクの初恋の相手は同じクラスのバスケットボール部のキャプテン。
彼は背も高くて人望もあるのに誰にでも分け隔てなく接していて優しい、まさに完璧な人でした。
そんな彼にボクもいつの間にか惹かれていました。嫌いだった学校も彼がいるから毎日通うことが出来ました。
自分の恋心を自覚してから季節は流れ、春から冬になりました。
バレンタインデーの季節です。
もちろん彼は女子からは大人気です。
バレンタインデーなんて言わなくても分かるでしょう?
皆が彼に対してバレンタインデーを作る中、ボクもその日彼に秘めたる想いを打ち明けようとチョコ作りに励みました。
当日は運がいいことに一人で下校する彼を見ける事ができて、勇気を振り絞ってチョコレートを手渡しました。
もちろん好きだという思いの丈も余すことなく伝えました。
心のどこかでいつも優しい彼ならボクからの告白を受け入れてくれるかもと期待していました。馬鹿でした。
その時ボクは初めて彼の心からの嫌悪の表情を目の当たりにしました。
吐き捨てるように「え、いやキモ」
それだけを言った彼にボクは頭が真っ白になって棒立ちしてしまいました。
せっかく作ったチョコも突き返されました。
ここで初めて自分の想いというのは周りから気持ち悪がられるものだと気が付きました。
翌日登校すると彼が「アイツに告白された」と噂を広げていて、今まで以上に後ろ指を指されたボクはクラスから完全に居場所がなくなりました。
まあそんなのはどうでもいいんです。
本当に辛かったのは、好きな人から意中の相手として決して見て貰えないこと。
その後ボクの中学生活がどうだったのかは言うまでもありません。
ていうか自分から話しておいて何ですが、言いたくないです。
高校に入ってからはなるべく周りに合わせるように、目立たない様に行動しました。
高校では虐められる事はありませんでしたが、どうしても中学時代の彼への想いは消えませんでした。
あれだけされてもボクはまだ彼に惹かれていました。
それこそ彼に惹かれていた他の女子よりもずっとずっと彼を想っている自信がありました。
ボクは彼を一度だって嫌いになんてなったことは無い、けれど彼はボクの知らない女の子を選びました。
はい、ボクの恋完全終了です。お疲れ様でした。
それと同時に、「女の子になりたい。僕が女の子だったら彼からも振り向いて貰えた」と強く思う様になりました。
その想いが強まる程に、ボクは辛くなりました。
お風呂に入って自分の身体を見る度に、泣きたくなって、鏡で自分の顔を見る度に、心がどうにかなりそうでした。
自分の顔なんて見たくなくて、前髪ばかり伸ばしました。そのせいで頭髪検査ではいつも叱られました。
「男子にしては長すぎる。切ってこい」
この一言が嫌で、本当に頭髪検査の日は学校に行きたくありませんでした。
けれど親が煩くて仕方なく学校に行って、無事頭髪検査に引っかかった帰り道、ボクは事故に遭いました。
意気消沈しすぎて、前を見ていなかったんです。
赤信号なのに普通に横断歩道を渡りました。
ボクが悪いですよね、運悪く大型車に跳ねられました。
ボクはその事故が原因で、この世界での短い一生を終えました。
以上です、ちっぽけなボクの全てを聞いくれてありがとうございました。
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