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第一章カトリの街
エピソード18 裸の付き合い
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「温かいですねぇ」
今私は、リルさんと二人でお風呂に入っています。浴槽は二人でも余る程の大きさで、安宿ではこれぞ一人分という小さな浴槽に浸かっていた私としては少し贅沢をしている気分です。
ふふふ、これから毎日このお風呂に入れるんですね。
「お湯加減どうかな、私がいつも入ってる温度だからぬるいかも」
「気が合いますね。私もお風呂はぬるま湯派です」
これでお湯加減で争う心配はありませんね。
何やらリルさんから私に対しての視線を感じます。私の顔に何かついて⋯⋯ん?
「あのー、どこ見てるんですか?」
「レミリエルさん、胸小さい。お姉さんなのに」
「あはは、そんな事言うと天国に行けなくなっちゃいますよー」
「レミリエルさん怖い⋯⋯目が笑ってない」
上手く笑ったつもりだったんですけどね、どうやら見抜かれていたみたいです。
リルさんだってと言い返したい所ですが、生憎彼女は十四歳、まだこれからです。
「まあ、私だってこれからですか?」
「う、うん。そうだね!」
ああ、気を遣われているのが分かる⋯⋯。何だろう、この気持ち。
「私この時間にお風呂に入らないからなんか新鮮かも」
リルさんが身体を沈ませてお湯をブクブクしながら言います。確かに、朝起きてすぐこちらに来たので今は昼頃でしょうか。
「確かに、私もこの時間にお風呂は入らないので新鮮な気分です」
「そもそも私は誰かとお風呂に入るのが初めてかも」
至極当たり前ことのように言う彼女に。それは、普通じゃないですと言える訳もなくただリルさんを抱き締めました。柔らかい肌の感触が伝わります。
それがリルさんにとっての普通になってしまったこの人間界を少し恨みます。
「な、なに?レミリエルさん」
「いいんです。私が好きでこうしているんです」
私の腕の中にいる少女は、アナタたち人間が思う様な悪しき存在ではありません。ただの、可愛らしい少女です。
だから彼女を討伐、殺そうとした冒険者ギルドを少し嫌いになってしまいそうです。私も人の事を言えないし、天使は誰にだって平等である存在と謳う割には肩入れしてしまっているのも認めます。
ユーリさんやカムさん、そしてリルさんのように私は年下に甘いのかもしれませんね。
「レミリエルさん、離して」
「あっ、すみません⋯⋯」
引きこもりがしゃしゃり出過ぎたのかと身を引くと、今度はリルさんが抱きついてきます。
「人って温かいんだね。レミリエルさん、何だかお姉ちゃんみたい」
「安心する」と小さな声で呟くリルさんに、私も何だか妹が出来たような気持ちになってしまいます。
「そろそろのぼせて来ました⋯⋯」
「あ、上がろうか」
お風呂から上がった私の身体はすっかり茹で上がっていました。
「暑い⋯⋯」
「ほら、お水飲んで」
慌ててリルさんが持ってきてコップを受け取り、一気に水を飲み干します。
「美味しい!です!」
長風呂をすればするほどお風呂上がりに飲むお水が美味しく感じます。空腹は最高のスパイス的なものでしょうか。
「レミリエルさん、これからどうする?」
「んー家の中で出来ることならなんでもいいですよ?」
外も明るいですしどこか好きな所へ遊びに行こうと言えるほど私はまだ天使として成長していません。
「それなら私も好都合。私はハーフだから日中外に出ても平気だけど、純血なら死んでた」
ハーフでも多少は影響がある様で、「クラクラする」との事でした。なら引こもる仲間が増えたと受け取っておきましょう。
「そうですか、そちらの方が私にとっても好都合です」
何が都合がいいのか首を傾げるリルさんを尻目に、私は持ってきた荷物を漁り数冊の本を手に取ります。
「これ、私のオススメの本です。良ければ暇な時に呼んでください」
「ありがとう。読み終わったら感想伝えるね」
「ふふ、読んでも感想を言い合う相手がいなかったので嬉しいです」
読書仲間が増えたとも受け取れますね。
「あのね、レミリエルさん」
「なんでしょうか」
「私、レミリエルさんが来てくれて凄く楽しいよ」
特別な事はしていませんが、彼女にとって私達が当たり前と感じている「普通」という物が特別に感じるんでしょう。少し胸が痛みますが、「私たちの普通」が彼女にとっての「特別」から「普通」になる日まで当たり前の事を提供し続けようと思います。
それがリルさんにとっての救いになるのなら。
今私は、リルさんと二人でお風呂に入っています。浴槽は二人でも余る程の大きさで、安宿ではこれぞ一人分という小さな浴槽に浸かっていた私としては少し贅沢をしている気分です。
ふふふ、これから毎日このお風呂に入れるんですね。
「お湯加減どうかな、私がいつも入ってる温度だからぬるいかも」
「気が合いますね。私もお風呂はぬるま湯派です」
これでお湯加減で争う心配はありませんね。
何やらリルさんから私に対しての視線を感じます。私の顔に何かついて⋯⋯ん?
「あのー、どこ見てるんですか?」
「レミリエルさん、胸小さい。お姉さんなのに」
「あはは、そんな事言うと天国に行けなくなっちゃいますよー」
「レミリエルさん怖い⋯⋯目が笑ってない」
上手く笑ったつもりだったんですけどね、どうやら見抜かれていたみたいです。
リルさんだってと言い返したい所ですが、生憎彼女は十四歳、まだこれからです。
「まあ、私だってこれからですか?」
「う、うん。そうだね!」
ああ、気を遣われているのが分かる⋯⋯。何だろう、この気持ち。
「私この時間にお風呂に入らないからなんか新鮮かも」
リルさんが身体を沈ませてお湯をブクブクしながら言います。確かに、朝起きてすぐこちらに来たので今は昼頃でしょうか。
「確かに、私もこの時間にお風呂は入らないので新鮮な気分です」
「そもそも私は誰かとお風呂に入るのが初めてかも」
至極当たり前ことのように言う彼女に。それは、普通じゃないですと言える訳もなくただリルさんを抱き締めました。柔らかい肌の感触が伝わります。
それがリルさんにとっての普通になってしまったこの人間界を少し恨みます。
「な、なに?レミリエルさん」
「いいんです。私が好きでこうしているんです」
私の腕の中にいる少女は、アナタたち人間が思う様な悪しき存在ではありません。ただの、可愛らしい少女です。
だから彼女を討伐、殺そうとした冒険者ギルドを少し嫌いになってしまいそうです。私も人の事を言えないし、天使は誰にだって平等である存在と謳う割には肩入れしてしまっているのも認めます。
ユーリさんやカムさん、そしてリルさんのように私は年下に甘いのかもしれませんね。
「レミリエルさん、離して」
「あっ、すみません⋯⋯」
引きこもりがしゃしゃり出過ぎたのかと身を引くと、今度はリルさんが抱きついてきます。
「人って温かいんだね。レミリエルさん、何だかお姉ちゃんみたい」
「安心する」と小さな声で呟くリルさんに、私も何だか妹が出来たような気持ちになってしまいます。
「そろそろのぼせて来ました⋯⋯」
「あ、上がろうか」
お風呂から上がった私の身体はすっかり茹で上がっていました。
「暑い⋯⋯」
「ほら、お水飲んで」
慌ててリルさんが持ってきてコップを受け取り、一気に水を飲み干します。
「美味しい!です!」
長風呂をすればするほどお風呂上がりに飲むお水が美味しく感じます。空腹は最高のスパイス的なものでしょうか。
「レミリエルさん、これからどうする?」
「んー家の中で出来ることならなんでもいいですよ?」
外も明るいですしどこか好きな所へ遊びに行こうと言えるほど私はまだ天使として成長していません。
「それなら私も好都合。私はハーフだから日中外に出ても平気だけど、純血なら死んでた」
ハーフでも多少は影響がある様で、「クラクラする」との事でした。なら引こもる仲間が増えたと受け取っておきましょう。
「そうですか、そちらの方が私にとっても好都合です」
何が都合がいいのか首を傾げるリルさんを尻目に、私は持ってきた荷物を漁り数冊の本を手に取ります。
「これ、私のオススメの本です。良ければ暇な時に呼んでください」
「ありがとう。読み終わったら感想伝えるね」
「ふふ、読んでも感想を言い合う相手がいなかったので嬉しいです」
読書仲間が増えたとも受け取れますね。
「あのね、レミリエルさん」
「なんでしょうか」
「私、レミリエルさんが来てくれて凄く楽しいよ」
特別な事はしていませんが、彼女にとって私達が当たり前と感じている「普通」という物が特別に感じるんでしょう。少し胸が痛みますが、「私たちの普通」が彼女にとっての「特別」から「普通」になる日まで当たり前の事を提供し続けようと思います。
それがリルさんにとっての救いになるのなら。
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