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第一章カトリの街
エピソード33 舞踏会から抜け出して
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貴族たちの踊りも終盤に差し掛かり、舞踏会の終わりが近付いてきます。
このままでは二人は何も進展しないまま舞踏会を終えてしまいます。二人が結ばれないということは私に成功報酬の「本いっぱい買ってあげますよ」が入らなくなってしまうということ。
それだけは避けたいです。
「ティアさん、そろそろ決着をつけましょう」
「でも⋯⋯シューベルは私が近寄ると逃げてしまうのよ」
「なら、私が縄で縛って逃走不可にするのでその隙に告白しちゃってください」
「その告白方法絶対に振られるから!」
それはないと憤慨するティアさん。もう面倒くさいのでお互いから相談を受けていることをバラしちゃいましょうか。
「ティア様。良ければ最後に私と踊りませんか?」
中々に筋肉質な貴族がやってきてティアさんに誘いをかけます。
「えっ、その⋯⋯」
「貴女の最後の相手は、私こそ相応しい」
どことなくナルシズムを感じる方ですね。ティアさん困ってますね、断りきれるのでしょうか。
「私には相手がいますので、すみません」
「なっ⋯⋯!」
意外にも、ティアさんはキッパリと断り頭を下げたした。筋肉質な貴族の方は断られると思っていなかったのか、納得がいかないというのが顔に書いているようです。
「へ、へえ。ちなみにその相手というのは?」
「それは⋯⋯シューベルです」
筋肉質な貴族はシューベルさんの名を聞くと、「へえ?あのへっぴり腰ですか?」と笑い飛ばしました。
「貴女の姿を見るや否や直ぐに逃げ出すような奴ですよ。シューベルがティア様と踊るなんて釣り合いませんよ」
筋肉質な貴族は好き勝手にベラベラとシューベルさんを罵った後、「是非、私と」としつこくアプローチをかけます。
「ちょ、あの⋯⋯」
もちろんこの筋肉質貴族に対する不快感は合ったのですが、何よりも私が恐れているのは横でティアさんがフルフルと震えている事です。
その眼には、怒りの色が宿っています。
「今、なんて仰いましたか?」
「ですから、私と踊りを⋯⋯」
「そこじゃないです」
ティアさんは筋肉に語り掛けます。正直淡々と話を進めていく姿を見て、いつ怒りが爆発してしまうのかハラハラしてします。
「ああ、シューベルじゃ釣り合わないですか?それが何か?」
「貴方にシューベルの何が分かるんですか!」
やっちまいました⋯⋯⋯⋯。
大きな館に、ティアさんの怒声が響き渡ります。貴族たちは驚いて踊りを止めて、ティアさんに視線が集まります。
もちろんシューベルさんもティアさんを見やります。
おい、お前のせいですよ。筋肉。
「あ、あの。ティア様⋯⋯?」
筋肉はようやくティアさんが怒りに満ち満ちている事に気が付いたみたいです。
しかも、「何か俺悪いことしたっけ?」という表情です。
どんだけ鈍感なんですか、おい筋肉。
「いきましょう、ティアさん」
とにかく、注目を浴びてしまった以上ここに居るのは不味いと思い、ティアさんの手を引き屋敷の外に出ます。
「レミリエルさん、ごめんなさい⋯⋯」
「いえ、あれはあの筋肉が悪いですから」
私が「夜風に当たって落ち着きましたか?」と聞くと、「もう大丈夫よ」と返ってきました。
程よく、気持ちいい夜風が私たちを包みます。
「人の事であんなに怒るなんて。ティアさんはシューベルさんの事が大好きなんですね」
私が「いつから好きなんですか?」と聞くとティアさんは頬を染め、「い、いつだったかしら⋯⋯」とはぐらかします。
「シャーベルはね、普段はお調子者だけど肝心な時にへっぴり腰なの」
「はい」
うっかり、「ダサいヤツですね」と口から出かけましたが、先程の筋肉の二の舞になりたくないので黙りました。
なんだか自分でも今日は口が悪いようなので気がするので気を付けましょう。
「でもね、本当はとても優しいの。まだ小さい頃、私達が屋敷で遊んでいた時に盗賊が入ってきたの」
お、これはシューベルさんカッコイイ展開ですか。
「シューベルは近くにいた私の手を引いて一目散に逃げたわ。逃げの名手ね」
傍から聞いたらなんとも言えませんが、命の危機にあったらそうなってしまうものでしょう。
「でもね、子供の足だから上手く走れなくて。私、転んじゃったの」
「はい」
「私、転んだせいで盗賊に捕まっちゃって人質にされたの」
ティアさんは思い返して照れるように、語ってくれました。
「シューベル、僕が代わりに人質になるからティアの事を離せって言ってくれたのよ」
「シューベルさん⋯⋯見直しました」
ティアさんは私の反応を見て面白がるように微笑み、「でも私が解放されて彼が人質に代わった瞬間にシューベル、大泣きしちゃって」と付け加えました。
「フフ、格好良いんだか格好悪いんだか分からないですね」
「でしょー」
素直に私が頷くと、ティアさんは自分でも呆れている、とでも言うような顔で。
「でもね、格好悪いけどいつも私を助けてくれるシャーベルが好きなの」
ならば、より一層思いは伝えなきゃいけませんね。
ほら、へっぽこ王子様のお迎えの時間です。
「ティア!!」
「しゅ、シューベル??」
屋敷から抜け出してきたシューベルさんの意外な登場に、ティアさんは目を丸くして驚きます。
さて、ここからは口を挟んでは野暮というものですね、黙って見守るとしましょう。
このままでは二人は何も進展しないまま舞踏会を終えてしまいます。二人が結ばれないということは私に成功報酬の「本いっぱい買ってあげますよ」が入らなくなってしまうということ。
それだけは避けたいです。
「ティアさん、そろそろ決着をつけましょう」
「でも⋯⋯シューベルは私が近寄ると逃げてしまうのよ」
「なら、私が縄で縛って逃走不可にするのでその隙に告白しちゃってください」
「その告白方法絶対に振られるから!」
それはないと憤慨するティアさん。もう面倒くさいのでお互いから相談を受けていることをバラしちゃいましょうか。
「ティア様。良ければ最後に私と踊りませんか?」
中々に筋肉質な貴族がやってきてティアさんに誘いをかけます。
「えっ、その⋯⋯」
「貴女の最後の相手は、私こそ相応しい」
どことなくナルシズムを感じる方ですね。ティアさん困ってますね、断りきれるのでしょうか。
「私には相手がいますので、すみません」
「なっ⋯⋯!」
意外にも、ティアさんはキッパリと断り頭を下げたした。筋肉質な貴族の方は断られると思っていなかったのか、納得がいかないというのが顔に書いているようです。
「へ、へえ。ちなみにその相手というのは?」
「それは⋯⋯シューベルです」
筋肉質な貴族はシューベルさんの名を聞くと、「へえ?あのへっぴり腰ですか?」と笑い飛ばしました。
「貴女の姿を見るや否や直ぐに逃げ出すような奴ですよ。シューベルがティア様と踊るなんて釣り合いませんよ」
筋肉質な貴族は好き勝手にベラベラとシューベルさんを罵った後、「是非、私と」としつこくアプローチをかけます。
「ちょ、あの⋯⋯」
もちろんこの筋肉質貴族に対する不快感は合ったのですが、何よりも私が恐れているのは横でティアさんがフルフルと震えている事です。
その眼には、怒りの色が宿っています。
「今、なんて仰いましたか?」
「ですから、私と踊りを⋯⋯」
「そこじゃないです」
ティアさんは筋肉に語り掛けます。正直淡々と話を進めていく姿を見て、いつ怒りが爆発してしまうのかハラハラしてします。
「ああ、シューベルじゃ釣り合わないですか?それが何か?」
「貴方にシューベルの何が分かるんですか!」
やっちまいました⋯⋯⋯⋯。
大きな館に、ティアさんの怒声が響き渡ります。貴族たちは驚いて踊りを止めて、ティアさんに視線が集まります。
もちろんシューベルさんもティアさんを見やります。
おい、お前のせいですよ。筋肉。
「あ、あの。ティア様⋯⋯?」
筋肉はようやくティアさんが怒りに満ち満ちている事に気が付いたみたいです。
しかも、「何か俺悪いことしたっけ?」という表情です。
どんだけ鈍感なんですか、おい筋肉。
「いきましょう、ティアさん」
とにかく、注目を浴びてしまった以上ここに居るのは不味いと思い、ティアさんの手を引き屋敷の外に出ます。
「レミリエルさん、ごめんなさい⋯⋯」
「いえ、あれはあの筋肉が悪いですから」
私が「夜風に当たって落ち着きましたか?」と聞くと、「もう大丈夫よ」と返ってきました。
程よく、気持ちいい夜風が私たちを包みます。
「人の事であんなに怒るなんて。ティアさんはシューベルさんの事が大好きなんですね」
私が「いつから好きなんですか?」と聞くとティアさんは頬を染め、「い、いつだったかしら⋯⋯」とはぐらかします。
「シャーベルはね、普段はお調子者だけど肝心な時にへっぴり腰なの」
「はい」
うっかり、「ダサいヤツですね」と口から出かけましたが、先程の筋肉の二の舞になりたくないので黙りました。
なんだか自分でも今日は口が悪いようなので気がするので気を付けましょう。
「でもね、本当はとても優しいの。まだ小さい頃、私達が屋敷で遊んでいた時に盗賊が入ってきたの」
お、これはシューベルさんカッコイイ展開ですか。
「シューベルは近くにいた私の手を引いて一目散に逃げたわ。逃げの名手ね」
傍から聞いたらなんとも言えませんが、命の危機にあったらそうなってしまうものでしょう。
「でもね、子供の足だから上手く走れなくて。私、転んじゃったの」
「はい」
「私、転んだせいで盗賊に捕まっちゃって人質にされたの」
ティアさんは思い返して照れるように、語ってくれました。
「シューベル、僕が代わりに人質になるからティアの事を離せって言ってくれたのよ」
「シューベルさん⋯⋯見直しました」
ティアさんは私の反応を見て面白がるように微笑み、「でも私が解放されて彼が人質に代わった瞬間にシューベル、大泣きしちゃって」と付け加えました。
「フフ、格好良いんだか格好悪いんだか分からないですね」
「でしょー」
素直に私が頷くと、ティアさんは自分でも呆れている、とでも言うような顔で。
「でもね、格好悪いけどいつも私を助けてくれるシャーベルが好きなの」
ならば、より一層思いは伝えなきゃいけませんね。
ほら、へっぽこ王子様のお迎えの時間です。
「ティア!!」
「しゅ、シューベル??」
屋敷から抜け出してきたシューベルさんの意外な登場に、ティアさんは目を丸くして驚きます。
さて、ここからは口を挟んでは野暮というものですね、黙って見守るとしましょう。
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