引きこもり天使の救済奇譚〜引きこもりだった天使が親のいいつけで人間界に舞い降りて嫌々アナタを助けてくれます〜

しゃる

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第二章 世界旅行

エピソード59 願いの街と奇跡の噴水(前編)

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    貴女も投げてみると言われましても、投げるお金がないんですが。

     女性は私の顔を見て悟ったように言いました。

「もしかして、文無し?」と。

   私のお財布が潤っていたなら「は? 失礼ですね、投げるお金くらいありますよ」と見事噴水に硬貨をポチャンしていたでしょう。

    残念なことにそれは出来ませんが。

「仰る通り、文無しでございます⋯⋯」

「仕方ないわねぇ、私のお金貸してあげるわ」

    白髪ショートで翠色の目をした女性は私に硬貨を貸してくれました。ちなみに返す宛は今のところありません。

「ほら、思い切って投げてみて」

「えぇ⋯⋯だったらこれ貰って今日の晩御飯買いに行きます」

完全にポケットマネーにしようとする私に「晩御飯は家で食べていっていいから」と天使の如き慈悲を恵んでくださる女性。

自分が天使だということを忘れてしまいます。

「わ、分かりました。投げます、えいっ!」

     お金を投げる事に抵抗ありまくりだったのですが、女性に促されるままに噴水に投げ込みます。

    効果はポチャンと音をたてて沈みました。そして「あーあーアレでパンの一つでも買えたのに」と貧乏性な私の気持ちも沈みました。

「さ、お願い事してみて?」

「うーん、お願い事ですか⋯⋯」

    お願い事と言われても直ぐに出てこず、しばらく考えた後私は心の中でこう願いました。

    毎日三食健康に過ごせますように、人間が幸せに暮らせますようにと。別に後者のは付け足しとかじゃないですからね。

「ねえ、何願ったの?」

「秘密です⋯⋯」

「まあ人に言ったらお願い事叶わなくなるらしいし良い判断だよ」

「は?」

「ごめんごめん」

    サラッと私のお願い事を潰す気じゃないですか。油断も隙もない方ですね。

「ぐーー」

「ん?  何の音かな?」

「私のお腹の音です」

「今口で言わなかった?」

「⋯⋯⋯⋯」

「ご飯にしよっか」

   彼女は嘆息を着いた後に私の方を向き、「私の名前はプリーアよ」と自己紹介をしました。

     なので、私も「レミリエルです。旅の天使です」と名乗りました。

「そう、天使さんね。着いてきて、家まで案内するわ」

「案外反応薄いんですね。天使ですよ?」

    私がそう首を傾げると、「大丈夫よ、信じてないから」と言われました。むぅ。

   プリーアさんに連れられ、しばらく歩くとプリーアさんの家らしき所に辿り着きました。

「ここが私の家よ」

    家でした。一般的な一軒家という感じですね、まだお若いですし家族と暮らしているんでしょうか。

「私一人で暮らしてるから、寛いでくれてかまわないわよ」

「一人暮らしなんですか⋯⋯それではお言葉に甘えて」

    家の中に入ると、私は早々に目に付いた椅子に座ります。プリーアさんは「マジで遠慮ないじゃん」と言いながら食事を作りに台所に向かいました。

    プリーアさんは鼻歌を歌いながら、私に問いかけます。

「ねえ、何かリクエストとかある?  人に作るのとか久しぶりだからやる気湧いてきた」

「ガッツリお肉が食べたいです。チキンとか」

   露店でチキンをよく見かけるのですが、そこそこ値が張るので「パンでいっか」ってなるんですよね。なので今回は作って頂きましょう。

   程なくして食欲をそそる香りと共に、チキンがテーブルに置かれました。

「最高です」

「いや、食べてから言って?」

   私は料理に手を付ける前にずっと気になっていた事を聞きました。

「プリーアさんは、あの噴水で何をお願いしてたんですか?」



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