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親友の代わり
One
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「へぇー、皆が言うよりあんまり似てねぇじゃん。遥の方が美人顔っつーか……。」
第一印象は最悪。初対面の上にチャラチャラとした格好、明るい金髪はどこに居ても目立ち、口を開けば騒がしい……ある意味彼は存在感があった。
そんな彼……樹と付き合うことになるなんて過去の俺にあったら言ってやりたい。「絶対流されるな」と。
「なぁ、今日も遥来ねぇから俺ん家来いよ」
ひとつ喋れば彼の親友である遥の名前が出てくる。機嫌の悪い日は大抵遥が居ない時。そして、そんな遥が居ない時は必ず俺を家に招いて抱くのだ。
「遥が来ないから」と言われるその度に俺の胸はズキズキと音を立てて痛むが、平気な顔を装って「いいよ」とただそれだけの言葉を告げる。
そんな俺の態度が気に食わないのか、毎度機嫌は悪くなり、最終的に乱暴に抱かれる。それが分かってても俺は樹の機嫌を取りたいとは思えなかった。
例えそれが樹の好きな人の代わりに抱かれる面倒な状況であっても…だ。
そして今日もまた乱暴に扱われるのだ。
「…はっ!声抑えんな、っ萎える」
「だって…ふっ…あっんっ」
「ほらもっとそのエロい声出せよっ!」
樹はいつだって俺を抱く時は俺の顔を見たくないかのようにバックで抱く。イク時ですら俺と目も合わさない。ただ俺の声だけは遥に最も似て好きなのか声だけは聞きたがった。
愛のないこの行為に傷つかないと言えば嘘になるが、それでも気持ち良さには抗えなかった。
それに不意に言う「っ好き…梓音好きだ」と俺の尻を突きながら俺の名前を呼ぶ樹に一種の興奮すら覚えていた。ド変態と言われても構わないが、それぐらい俺は樹のことを好きなのだ。
それでも彼との行為が終われば直ぐに彼の機嫌の悪さは戻ってしまうが。
俺も彼のストレス発散が終わればなにかに理由をつけてすぐに帰った。それが理由でまた不機嫌になると分かっていても、性行為以外で樹と2人きりでいるのは個人的に胸が傷んで嫌だから、呼び止められようとも、酷く抱かれて足腰が子鹿のようになろうとも自分のプライド的な何かが働いて意地でも帰っていた。
しかし、今日はそれも上手くいかなかった。俺はすぐにでも帰るつもりだった。いつも乱暴だが今日は1層酷く抱かれ、ほんの少しだけ休んでから帰ろうとしたのだ。
早く帰ってれば最悪な事態は免れただろうに、その時の俺は呑気にベットに横になっていたのだ。
ガチャりとドアが開く音、それと同時に樹の怒鳴り声と聞き覚えのある声…。嫌な予感がしながらも俺はドアの方を見た。
「いいじゃん別に、何怒ってんだよ~…って、は?梓音?お前、その格好…」
驚く俺の瞳には同じく事後で裸になっている俺を瞳に映した遥が呆然と突っ立っていた。
俺も遥もお互い目をそらす事などできず、永遠と時が止まったかのような空気が流れた。
そんな中動いたのは樹だった。
「ちっ、おい、来い。」
「はっ?!いや、待てよ、って痛った!ちょっと!?」
驚いてる遥をこの部屋から引きずり出そうとする樹、俺と同じくらいの体格な遥はただ反抗虚しく樹に連れていかれた。
遥を連れていく際、樹が不機嫌そうに俺を睨んだが、なんで見つかってんだよと訴えている様だった。
その後少しして服を投げ込まれた。
「俺遥と話してくるから」
そう言ってバタンと直ぐにまた扉を閉めた。
きっと早く出て行けと言うことなのだろう。
まだ軋む身体を無理矢理にでも起こし、服を着た。
部屋からそっと出れば2人の喧嘩する声が聞こえる。
「だから違うって言ってんだろ?別に遥が考えてるような事はしてねぇよ」
「いや、お前ならやりかねねーよ!!何年親友やって来たと思ってんの?」
苛立つ声で誤魔化す樹に、問い詰めるように声を荒あげる遥…。俺と似ていて声をあまり荒あげない遥の様子を思い出す。今の遥は珍しく怒り心頭と言った感じだった。
やっと自分の恋心を自覚したのかもしれない。
きっと強引な樹はこのままの流れで怒りに任せて遥を抱くんだろうな…と、分かりたくもない予想をして気分を落ち込ませる。
彼らが大声で喧嘩してるのを利用して、バレないようにこっそりと樹の家を出た。
「さむっ」
思わず出た声だったが、それほど寒かったのだからしょうがない。
外に出れば雪が吹雪いていた。
──こんな中俺に帰れってのかよ…。
そう思わなくは無いがかと言ってあそこにいたくはないので、荒れる心を落ち着かせる為にもと吹雪く雪の道を歩いて帰った。
その後熱が出て学校を休むことになり、そのまま冬休みに突入したのはある意味幸いだったのかもしれない。
第一印象は最悪。初対面の上にチャラチャラとした格好、明るい金髪はどこに居ても目立ち、口を開けば騒がしい……ある意味彼は存在感があった。
そんな彼……樹と付き合うことになるなんて過去の俺にあったら言ってやりたい。「絶対流されるな」と。
「なぁ、今日も遥来ねぇから俺ん家来いよ」
ひとつ喋れば彼の親友である遥の名前が出てくる。機嫌の悪い日は大抵遥が居ない時。そして、そんな遥が居ない時は必ず俺を家に招いて抱くのだ。
「遥が来ないから」と言われるその度に俺の胸はズキズキと音を立てて痛むが、平気な顔を装って「いいよ」とただそれだけの言葉を告げる。
そんな俺の態度が気に食わないのか、毎度機嫌は悪くなり、最終的に乱暴に抱かれる。それが分かってても俺は樹の機嫌を取りたいとは思えなかった。
例えそれが樹の好きな人の代わりに抱かれる面倒な状況であっても…だ。
そして今日もまた乱暴に扱われるのだ。
「…はっ!声抑えんな、っ萎える」
「だって…ふっ…あっんっ」
「ほらもっとそのエロい声出せよっ!」
樹はいつだって俺を抱く時は俺の顔を見たくないかのようにバックで抱く。イク時ですら俺と目も合わさない。ただ俺の声だけは遥に最も似て好きなのか声だけは聞きたがった。
愛のないこの行為に傷つかないと言えば嘘になるが、それでも気持ち良さには抗えなかった。
それに不意に言う「っ好き…梓音好きだ」と俺の尻を突きながら俺の名前を呼ぶ樹に一種の興奮すら覚えていた。ド変態と言われても構わないが、それぐらい俺は樹のことを好きなのだ。
それでも彼との行為が終われば直ぐに彼の機嫌の悪さは戻ってしまうが。
俺も彼のストレス発散が終わればなにかに理由をつけてすぐに帰った。それが理由でまた不機嫌になると分かっていても、性行為以外で樹と2人きりでいるのは個人的に胸が傷んで嫌だから、呼び止められようとも、酷く抱かれて足腰が子鹿のようになろうとも自分のプライド的な何かが働いて意地でも帰っていた。
しかし、今日はそれも上手くいかなかった。俺はすぐにでも帰るつもりだった。いつも乱暴だが今日は1層酷く抱かれ、ほんの少しだけ休んでから帰ろうとしたのだ。
早く帰ってれば最悪な事態は免れただろうに、その時の俺は呑気にベットに横になっていたのだ。
ガチャりとドアが開く音、それと同時に樹の怒鳴り声と聞き覚えのある声…。嫌な予感がしながらも俺はドアの方を見た。
「いいじゃん別に、何怒ってんだよ~…って、は?梓音?お前、その格好…」
驚く俺の瞳には同じく事後で裸になっている俺を瞳に映した遥が呆然と突っ立っていた。
俺も遥もお互い目をそらす事などできず、永遠と時が止まったかのような空気が流れた。
そんな中動いたのは樹だった。
「ちっ、おい、来い。」
「はっ?!いや、待てよ、って痛った!ちょっと!?」
驚いてる遥をこの部屋から引きずり出そうとする樹、俺と同じくらいの体格な遥はただ反抗虚しく樹に連れていかれた。
遥を連れていく際、樹が不機嫌そうに俺を睨んだが、なんで見つかってんだよと訴えている様だった。
その後少しして服を投げ込まれた。
「俺遥と話してくるから」
そう言ってバタンと直ぐにまた扉を閉めた。
きっと早く出て行けと言うことなのだろう。
まだ軋む身体を無理矢理にでも起こし、服を着た。
部屋からそっと出れば2人の喧嘩する声が聞こえる。
「だから違うって言ってんだろ?別に遥が考えてるような事はしてねぇよ」
「いや、お前ならやりかねねーよ!!何年親友やって来たと思ってんの?」
苛立つ声で誤魔化す樹に、問い詰めるように声を荒あげる遥…。俺と似ていて声をあまり荒あげない遥の様子を思い出す。今の遥は珍しく怒り心頭と言った感じだった。
やっと自分の恋心を自覚したのかもしれない。
きっと強引な樹はこのままの流れで怒りに任せて遥を抱くんだろうな…と、分かりたくもない予想をして気分を落ち込ませる。
彼らが大声で喧嘩してるのを利用して、バレないようにこっそりと樹の家を出た。
「さむっ」
思わず出た声だったが、それほど寒かったのだからしょうがない。
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──こんな中俺に帰れってのかよ…。
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