親友の代わり?

あいうえお

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親友の代わり

moon

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熱が出て学校を休み、そのまま冬休み3日目に突入したが、彼ら2人と会うことは無かった。
2人と仲は良かったが、家を教えたことは無かったし、家も学校から2駅離れたところにあり、樹の家とも遥の家とも遠い。

俺が家からでなければ会わないのも当然だろう。
ただ、今日は違った。
学校に課題を置いてきたのだ。早めにやって終わらしときたい俺は彼らのどちらかにでも会わないようにと祈りながら朝早くに家を出て、学校に向かった。

学校に着いて通りすがりに「大丈夫だったか?」と声をかけてくれる部活中の友人と、学年担当の先生に適度に挨拶しながら教室へと向かった。

ガラリと教室のドアを開ければ、人は誰もおらず、机だけが並んでいた。
いつも賑やかな教室にいただけになんだか変な感覚だったが、すぐに目的地である自分の机の元に行き、課題を手に取って鞄にいれた。
不意に窓を見れば、先程まで降ってなかった雪が降っていた。

急な天候の変化に嫌気がさしながらも直ぐにスマホを見て今日の天気を確認すれば、お昼には晴れると出ていたので少し教室で課題を進めることにした。

先程鞄にいれた課題を取り出そうとしたが、鞄のチャックに何かが引っかかって開けれなくなってしまっていた。
何度か試行錯誤して、やっとチャックを開けれたところで、開けれなかった原因が分かった。

それは家の鍵に付いていたブタのキーホルダーだった。
そのキーホルダーは樹と遥と昔1度だけ遊んだゲーセンで樹が取って「いらねー」と俺に渡したものだった。

もちろん当時の樹大好きな俺からすれば好きな人から初めて貰った物だったので同じくなくしたくない家の鍵につけたのだった。

ブタのキーホルダーを眺めながら何となく彼と出会った時を思い出す。

──────────────────
──────


高校に入って仲良くなったのは樹よりも遥が先だった。入学して少し経ち、中学からの友人の「なんか梓音と似てるくね?話しかけようぜ」と何気なく言った言葉で遥と話すことになったのだ。
話せば話すほど、趣味も性格も、声も、考え方も、たまに口が悪いとことか、その全てが似ていて気が合うのもあってか、俺らは直ぐに仲良くなった。
樹との出会いはそんな遥と仲良くなって暫くしてからだった。

遥といつもの様に昼に話していればクラスメイトのざわざわした声とともに金髪の見るからにチャラそうな男がこちらへと一直線に向かってきていた。

そんな男が俺と遥の前に立ち止まり口を開いた。

「へぇー、皆が言うよりあんまり似てねぇじゃん。遥の方が美人顔っつーか……。」

「っは?」

わけも分からず品定めするようなその目線に気分を害した。
確かに似てると言っても遥の方が大人っぽく美しい顔立ちをしているがわざわざ目の前で見比べてそう言う事を言うなんて失礼すぎる。

「樹、お前いきなり来て何言ってんの?」

俺と同じ事を思ったのか遥も少し不機嫌そうに失礼な男に声をかける。樹…と呼ばれた金髪の男は「いや、なんか周りが似てるっつてたから気になって」と遥の不機嫌さを特に気にした様子もなくそう告げた。

「え、てか名前何?」

「梓音、答えなくていいよ。」

いつもとは少し違う冷たい対応を彼にする遥に困惑しながらも、「遥、俺の名前教えてるよ…」と告げれば遥はしまったというような顔をした。

「梓音ね、てか、声は確かに似てんな。つっても遥とお前とじゃ天と地の差だな」

悪気もなくそう言ってにっこりと笑うその男に直接言われた俺は驚き声も出ずにいれば、遥が先に動いて、樹を叩いた。

「お前なー!失礼すぎるだろ!俺にも梓音にも!!」

「はいはい、ごめんごめん」

と、悪びれる素振りも見せず適当に遥をあしらう樹に俺はあまりいい気はしなかった。
そんな樹を好きになるとはこの時の俺は考えもしなかっただろう。

そんな失礼な事をした後でも樹は暇があったら遥に絡み、毎度おまけの様な俺にも話しかけてきた。
話しているうちにある意味裏表のない男なのだと気づいた。
遥と樹は正反対なようで仲がとても良かった。
遥と似たような俺も樹と仲良くなるのに時間はかからなかった。

初めは俺も友人として樹が好きだった。
偶に不機嫌な時に甘えたように俺に寄っかかってくるのも、特に嫌ではなかった。

ある日いつにも増して不機嫌な樹が俺に話しかけてきた。

「お前はおっさんと俺どっちが良いと思う?」

「いや、いきなり何?てか、遥は?3人で樹の家に行く予定だったでしょ?」

「あいつは彼氏に呼ばれて会いに行くって。」

不機嫌さを隠さずそう言う樹。そこで俺は樹の先程の質問が遥に関連していたものだと気づいた。歳上の男性と最近付き合ったと遥に3人の時に教えてもらったのを思い出す。

遥が男の人と付き合っていること自体驚いたが、歳上の社会人と付き合ってると聞いた時には大人だ…なんて子どもっぽい考えが頭に過ぎった。

きっと樹は遥がここ最近彼氏とばかり会ってる事に不満を感じているのだろう。

──もしかして嫉妬してるのかもしれない。

そんな事が頭をよぎった瞬間なぜか胸がツキッと傷んだ。そんな俺に気づいた様子はなく、樹は不機嫌なまま俺の前を歩き始めた。

「とりあえず家行こうぜ。」

「あ、うん」

学校から樹の家に着くまで約10分。その間なぜだか気まずく、心臓もドキドキと音を立て始めていた。しかし、樹も俺もどちらとも話しかけることはせず、家に着くまで無言の時間が続いた。

「ほらお茶」

少し雑に置かれたひんやりと冷たいお茶を飲み、少し落ち着いた俺は隣にどかりと座った樹をそっと横目に見た。しかし、樹もこちらを見ていたのか目が合ってしまった。

「な、何?」

じっと見つめてくる樹に先程落ち着いたはずの心臓が再びドクドクと音を立て始める。

「さっきの続きなんだけど、やっぱりお前もおっさんと俺だったらやっぱおっさんの方が良いわけ?」

「う、うーん…俺の意見でいいならだけど知らないおっさんと樹なら普通に樹がいいかな」

そういえば樹は不機嫌そうだった顔を緩ませ「そうだよな」とにっこりと笑った。
「じゃあ俺がアピールすればおっさんじゃなく、俺と付き合う?」

どんどんとおかしくなる質問に俺は困惑した。そもそもこの言い方的に遥のことその歳上の人から奪おうとしてないか?
遥自身がそれをどう思うか分からないのでなんと答えたらいいか分からず「あー…それはどうだろう」と答えればどさりと体をいきなり倒された。
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