親友の代わり?

あいうえお

文字の大きさ
5 / 8
親友の代わり

AI

しおりを挟む

「俺は樹の事好きだよ。」

「同情すんな。こっちは萎えてんだわ」

「そうやってすぐ萎えるとか言う」

ある意味ギャルの口癖のような物言いをする樹に大きくため息を吐けば、樹は益々俺を抱きしめる力を強めた。

「苦しいんだけど…?」

「また俺に呆れた?そんなに嫌?」

樹からめんどくさい彼女のような言葉が出るとは思わなかったが、やはり彼は遥ではなく俺のことが好きなのだろうか?

「だから好きだって」

「じゃあヤろ?」

「は?なんでそうなる訳?そういうところは嫌いだわ」

思わずと言ってでた言葉だったが、思いの外樹には衝撃的だったのか、また止まっていた涙が流れ始めた。
やってしまったと思ったが、時すでに遅く、また苦しいくらいに抱きしめられる。

「だって遥の代わりに俺を抱くつもりでしょ?」

このままじゃ埒があかないと思って以前から思っていた言葉をついに口に出せば、先程まで俺の方に押し付けていた顔をバッとあげ俺と目を合わせた。

「何言ってんの?なんでそこで遥が出てくんだよ」

「だって樹、遥が居ない時不機嫌そうにして、そのストレス発散するかのように乱暴に俺を抱くじゃん」

「それはっ…遥が…」

遥がなんなのか。言いたくないのかそれ以上の言葉を樹は口に出さなかった。俺が樹は遥を好きなんじゃないかって思うのにはこの中途半端な態度にもあった。何かにつけて遥の話をしては少しだけ言えないと言った様子で話を止める。
気にならない方がおかしいだろう。

昔は聞き出してもし遥について惚気られたら立ち直れないと思って聞かなかったが、今はもう全てをはっきりさせたいと言う気持ちが強いので問いただすことに決めた。

「何?続きを言ってくんないの?それともやっぱり遥の代わりだった?」

「いや、それはちげーよ…その…」

「はっきりいって」

「っ、遥がいっつも付き合ってるやつのの惚気話すんだよ!」

なるほど、やはりそれを聞いて嫉妬で不機嫌になったのか。改めて不機嫌だった理由が分かり、傷ついたものの、モヤモヤとした気持ちがなくなったので、よしとしよう。
俺が頭の中で1人で解決しようとしていれば樹はまだ何か言おうとしていた。

「……それでいつも相手は行為中に自分に愛を伝えてくれるって遥言ってたから…俺はお前に1度も言われたことねーのに…。でもそんな事言えるわけねーし。」

つまりなんだ?樹は俺に行為中に「好きだ」とか「愛してる」って言って欲しかったけど、プライドかなにかが邪魔をしていえず、ただただ不機嫌になっていたと言うことか?

「じゃあなんで乱暴に抱くの?バックでやるのも顔が見たくないからじゃないの?」

「別に乱暴に抱いてるつもりはなかったんだよ。お前とスんの気持ちよくてただ理性が効かなくなりやすいだけで。」

俺からすればその理性の効かない樹の行為のせいで毎回身体が軋む思いをしてきたのだが、そんな事を言われてしまえば許すしかなかった。

「バックでやるのは…お前と初めてやった時の事を思い出して興奮するからで…」

初めてした時とはあの四つん這いにされて無理矢理突かれた時の事だろうか。俺と同じくらい拗らせた変態な樹に少し引いてしまった。黙って引く俺に気づいたのか樹は「そもそも」と言葉を言い募った。

「あの時もお前おっさんが好きなのかと思って俺じゃダメなのかって…無理矢理にでも俺とやればお前流されて付き合ってくれると思ったから」

「まぁ実際流されちゃったしね…てか、なんで俺おっさん好きになってるの?」

だから遥の話だと思っていたが、俺がおっさん好きだと思っていたなんて…だからあの質問だったのかと思ったが、そもそも何故俺はおっさん好きになっているのだろうか。

「前に1回だけ校門にお前に会いに来てた人いんだろ。スーツ着た20代前半の男の人。」

雅臣まさおみ君のことかな?」

20代前半で俺の元に来る社会人はその人くらいしか居ないのできっと雅臣君の事だろう。

「多分そいつ。名前は知らねーけど。お前とその男がニコニコと笑って話してて、俺みたいなガキっぽい奴はお前の好みじゃないかもしれねーって不安になって…」

それであの質問をした…と。

「いや、というか雅臣君はまだおっさんって言われる様な歳じゃないから」

「なに?そんなにそのおっさんの方がいいの?」

そうとは言ってない。そうとは言ってないのだ。
だと言うのに樹はまた不機嫌な顔になっていく。
やっとわかったのだが樹は不機嫌な時はだいたい嫉妬してたって事だった。
本人が言うように少し子どもっぽいなと俺も思ったがそれを言ったら益々拗ねるため心の内のみに留めた。

「別に雅臣君は従兄弟だよ従兄弟」

「従兄弟でも好きって思えば関係ねーよ」

何気にいい言葉を言ってるような気もするが、今はこれでは埒が明かない。
そもそも最終的に樹は俺とどうなりたいのだろうか?
俺は遥の代わりに抱かれていた訳では無いとわかったからいいものを樹はきっとまだ誤解したままだろう。

「誤解のないようにいうと、俺は樹のこと好きだよ。遥の代わりに抱かれて居ると思ったからあんなこと言っただけで、っておい」

俺が言い切る前にちゅっと音を立てて俺に口付けをする樹。

「これで嘘だったらお前のこと閉じ込めるから」

「メンヘラかよ」

思わずでた言葉だったが、顔を見れば真剣そのもので実際ちょっと俺の彼氏は病んでるみたいだった。
結局その日は流されるまま乱暴とまでは行かなかったが、激しく、そして長く抱かれることになった。

後日遥と会って今まで内緒にしていたことへの謝罪をした。
そこで遥の恋人が雅臣君だと知らされ、その2人にもすれ違いが発生することを今はまだ誰も知らない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

バーベキュー合コンに雑用係で呼ばれた平凡が一番人気のイケメンにお持ち帰りされる話

ゆなな
BL
Xに掲載していたものに加筆修正したものになります。

僕がそばにいる理由

腐男子ミルク
BL
佐藤裕貴はΩとして生まれた21歳の男性。αの夫と結婚し、表向きは穏やかな夫婦生活を送っているが、その実態は不完全なものだった。夫は裕貴を愛していると口にしながらも、家事や家庭の負担はすべて裕貴に押し付け、自分は何もしない。それでいて、裕貴が他の誰かと関わることには異常なほど敏感で束縛が激しい。性的な関係もないまま、裕貴は愛情とは何か、本当に満たされるとはどういうことかを見失いつつあった。 そんな中、裕貴の職場に新人看護師・宮野歩夢が配属される。歩夢は裕貴がΩであることを本能的に察しながらも、その事実を意に介さず、ただ一人の人間として接してくれるαだった。歩夢の純粋な優しさと、裕貴をありのまま受け入れる態度に触れた裕貴は、心の奥底にしまい込んでいた孤独と向き合わざるを得なくなる。歩夢と過ごす時間を重ねるうちに、彼の存在が裕貴にとって特別なものとなっていくのを感じていた。 しかし、裕貴は既婚者であり、夫との関係や社会的な立場に縛られている。愛情、義務、そしてΩとしての本能――複雑に絡み合う感情の中で、裕貴は自分にとって「真実の幸せ」とは何なのか、そしてその幸せを追い求める覚悟があるのかを問い始める。 束縛の中で見失っていた自分を取り戻し、裕貴が選び取る未来とは――。 愛と本能、自由と束縛が交錯するオメガバースの物語。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

処理中です...