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第一章

*二話*【 夢 】

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沈黙の後、女性は自ら深呼吸をし気を落ちつかせた。彼の方も痺れがとれてきたのか口が軽やかに動くようになった。
 
:岬:
 「…と、とりあえず本当に大丈夫なのね?」
:主人公:
 「だから、さっきから言ってんじゃん。…大丈夫だって。」
:岬:
 「…奇跡ってまさにこの事ね、普通なら痺れてるだけじゃすまないわよ?」
:主人公: 
 「そうだろうな、運が良かったのか悪かったのか…」
:岬:
 「そういえば、あなた真夜中のあんな場所に何してたの?」
 
女性は思い出したかのように彼に問いかけた。
 
:主人公:
 「……わかんねぇ。」
:岬:
 「え?」
:主人公:
 「なんで、そこにいたのかも何がしたかったのかも全然覚えてねー。」
:岬:
 「……そう。」
『『…言いたくない深い事情があるみたいね…』』

女性は何かを察したかのように
彼を見ていた。

:主人公:
『『…こいつ、絶対なんか勘違いしてるな…』』
   
女性の顔は見るかぎり全く関係のない妄想をしている顔だった。
 
:岬:
  「とりあえず今日は、もう遅いからここで寝ていきなさいね?明日、朝から院長先生に話しに行くからあなたもついてきてね?」
:主人公:
   「……院長先生?」
:岬:
  「ここの一番偉い人で、この孤児院を作ってくださった人よ?私の恩人でもあり私達先生の憧れの方なの。」
:主人公:
  「……私…達?」
:岬:
  「ん?ぁあ、ここには私以外にも先生は4人いてるの。子供達はもっといるわよ。」
 
どうやらこの孤児院は彼が思っていた以上に大きいらしい。
 
:岬:
  「じゃあ、また明日ね。おやすみなさい。」
 
そう言って女性は部屋の明かりを消して出ていった。
 
:主人公:
  『……なんか変な気分だ…なにか忘れてるような…』
 
いろいろなことを考えてるうちに彼は
眠ってしまっていた。
 


    そして、彼は夢をみた。。



■■■■■■主人公の夢の中■■■■■■■■
 
気がつくとそこは懐かしいような風景が広がっていた。 
 
:主人公:
『『……ここは…  』』
 しかし、周りは暗くぼやけて見えにくい。
夜なのは確かだが、ただそれで周りが暗く見えてるのではない。黒いモヤのようなものが目の前を覆いつくしていた。
かろうじて見えている部分からあたりを見渡すと少し離れた場所に小さな屋敷が見えた。
なぜか彼はそこに吸い寄せられるように
その小さな屋敷に歩いていった。
その時だった
 
     ズキン!

信じられないぐらいの激痛が頭を襲った。
一歩一歩近づくたびに激痛は酷くなり、扉の前についた時には意識がほとんどなかった。
 
:主人公:
   『『はぁ…はぁ…なんなんだ一体…』』
 
意識が朦朧としながらも彼はその扉を開けた。
 
屋敷の中にも光は一つもなく真っ暗で不気味に風が屋敷の隙間を抜ける音だけが鳴っている。
知らぬ間に頭痛は治まり意識も回復していき視界も先ほどよりも良くなっていた。
月明かりを頼りに屋敷の奥へと彼はゆっくりと歩みだした。
 
      ギシ…ギシ……ギシ
 
古い屋敷なのだろう。
歩くたびに床が鈍い音をたてている。
 
:主人公:
   『『しかし長い廊下だな』』
 
進めど進めど真っ直ぐの長い廊下が続くだけで何も見えない、いや、暗いだけで見えていないだけなのかもしれない。
 
その時だった。
 
 
 ーズガアアアアアアアアアアアアンッ!
 
 
凄まじい地響きと爆音と共に辺りが昼間のように明るくなった。
 
:主人公:
 『なんだ?!…落雷?!』
 
彼は驚きを隠せなかった。なぜなら先ほどまで雨など降っていなかった。暗くぼやけてはいたが夜空には曇一つなく月は綺麗な三日月を描いてたのを見ていたのだ。
なのに、なぜ?しかも、間違いなくこの屋敷に落ちた。
彼は理解ができなかった。考えても考えても意味がわからなかった。
 
すると先ほどやってきた屋敷の扉が開く音が聞こえた。
 
 ダダダダダダダ!
 
こちらにかなり焦って走ってくるのがわかる。
いや、そんなことよりも自分がここにいてるのが知られるのはまずいのではないか?
この騒動を自分の仕業などにされたらかなわないと彼は思ったが隠れる場所などどこにもなく足音はすぐそこまできていた。

   ダダダダダダ!

とうとう人影が見えた。
もはや諦めていた彼は壁にもたれかけて、その人物を待っていた。
 
しかし、驚いたことにその人物は彼には見向きもせず通り過ぎて行ったのだ。
なによりも彼は驚いたことがあった。その人物を知っていたことだ。
 
その人物は明らかに見たことがあった。暗くぼやけていてもそれははっきりとわかった。
  
なぜならその人物は……
 




    主人公、彼自身だったのだ。
 
 
 

 
       彼は思った。 

 ありえない。
なぜ、俺の目の前を俺が通りすぎていったんだ、と。
夢の中であることを知らない彼は軽くパニックになっていた。

:主人公:
 『おい!待っ!』
 
思わず止めに入った時だった。
 
 ーバチバチバチバチバチ!
 
:主人公:
  『ーがっ!?あ…   ……』
 
凄まじい音と共に強烈な痛みが襲った。
あまりの痛みに彼はその場で意識を失い倒れた。




                ~~~続く~~~
 
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