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第六章
秘密にするって大変だ……。
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「おーい、そっち遅いぞ。何か面白いものでもあったか?」
渚さんが前方から声を掛けてきた。見ると、前の一行はもう数メートル先を歩いている。
「いや、何でもない。すぐ行くよ」
焦って4人で速足になり追いついた。それから2時間弱くらい、皆でおしゃべりしながら写真を撮ったりして、楽しく歩く。すると出口に通じる、丸太のようなもので整備された上り道が見えてきた。
それを、えっちらおっちらと登って行き、登り切ったところで公園のようになった広場へと出てきた。
「しばらくこんなに歩くことなんて無かったから、良い運動になったわね」
伸びをする志緒利さんに続いて、みんな何となく同じように伸びをした。
「11時回ってるな。そこでちょっとゆっくりしてから、あそこに見えるレストランにでも行こうか」
渚さんの言葉に皆一様に肯いて、木の切り株のような物で作られたテーブルへと向かう。自販機も傍にあったので、各々が好きな物を物色する。
俺も何を飲もうかなと眺めていると、並んだ2つの自販機からアイスのココアを発見した。
「何? 決めたのか?」
隣で、すでに無糖のコーヒーを買い終わった先生が、話しかけてきた。
「え? うん、ちょっと甘い物欲しくなったから、このアイスココアにする」
「そうか」
言うなり、先生はお金をさっさと支払って、出てきたココアを俺に渡した。
「え、いや。先生、俺払うし」
慌てて財布を取り出そうとしたら先生に止められた。
「いいから。それくらい、奢りの内にも入らん」
そう言いながら、俺の頭をグリグリと撫でる。
こういう場合多分、せっかくの好意なんだからと有難く受け取るのがきっと礼儀で、しかも喜んでもらえる事なんだろう。恋人だし……。
「あ、ありがと」
そう思ったから、悪いなとは思いつつ出来るだけ笑顔でお礼を言った。
――その瞬間、ふわりと優しく嬉しそうに先生が笑って、「どういたしまして」とほほ笑んだ。
あー、ドキドキする……。
男同士だから年下だから、余計に背伸びをしたくなっちゃう時もあるけれど、こんな先生の、素の綺麗な笑顔が見れるのなら、こういう些細な「悪いな」と思う気持ちをどっかに放ってしまうのも良いかもしれない。
ああ、でもっ!
もしも2人っきりなら、先生に抱き着いてグリグリするのに!
「自分から可愛がってるよな、ホント。確かに南くんは俺も可愛いとは思うけど、人と関わりあうのを面倒くさがるお前がそこまでしたがるなんて、紫藤にとって彼は他のみんなと何が違うんだ?」
先生との、ほんのりと甘い空気を壊すかのような不躾な声が割り込んできた。
渚さんが前方から声を掛けてきた。見ると、前の一行はもう数メートル先を歩いている。
「いや、何でもない。すぐ行くよ」
焦って4人で速足になり追いついた。それから2時間弱くらい、皆でおしゃべりしながら写真を撮ったりして、楽しく歩く。すると出口に通じる、丸太のようなもので整備された上り道が見えてきた。
それを、えっちらおっちらと登って行き、登り切ったところで公園のようになった広場へと出てきた。
「しばらくこんなに歩くことなんて無かったから、良い運動になったわね」
伸びをする志緒利さんに続いて、みんな何となく同じように伸びをした。
「11時回ってるな。そこでちょっとゆっくりしてから、あそこに見えるレストランにでも行こうか」
渚さんの言葉に皆一様に肯いて、木の切り株のような物で作られたテーブルへと向かう。自販機も傍にあったので、各々が好きな物を物色する。
俺も何を飲もうかなと眺めていると、並んだ2つの自販機からアイスのココアを発見した。
「何? 決めたのか?」
隣で、すでに無糖のコーヒーを買い終わった先生が、話しかけてきた。
「え? うん、ちょっと甘い物欲しくなったから、このアイスココアにする」
「そうか」
言うなり、先生はお金をさっさと支払って、出てきたココアを俺に渡した。
「え、いや。先生、俺払うし」
慌てて財布を取り出そうとしたら先生に止められた。
「いいから。それくらい、奢りの内にも入らん」
そう言いながら、俺の頭をグリグリと撫でる。
こういう場合多分、せっかくの好意なんだからと有難く受け取るのがきっと礼儀で、しかも喜んでもらえる事なんだろう。恋人だし……。
「あ、ありがと」
そう思ったから、悪いなとは思いつつ出来るだけ笑顔でお礼を言った。
――その瞬間、ふわりと優しく嬉しそうに先生が笑って、「どういたしまして」とほほ笑んだ。
あー、ドキドキする……。
男同士だから年下だから、余計に背伸びをしたくなっちゃう時もあるけれど、こんな先生の、素の綺麗な笑顔が見れるのなら、こういう些細な「悪いな」と思う気持ちをどっかに放ってしまうのも良いかもしれない。
ああ、でもっ!
もしも2人っきりなら、先生に抱き着いてグリグリするのに!
「自分から可愛がってるよな、ホント。確かに南くんは俺も可愛いとは思うけど、人と関わりあうのを面倒くさがるお前がそこまでしたがるなんて、紫藤にとって彼は他のみんなと何が違うんだ?」
先生との、ほんのりと甘い空気を壊すかのような不躾な声が割り込んできた。
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