綺麗な先生は好きですか?

くるむ

文字の大きさ
126 / 158
第七章

恋人の時間 5

しおりを挟む
「いっただっきまーす」

先生が注文してくれたお寿司を食べながら、さっきの続きを促した。

「ああ、高階先生の話な……。彼女、今付き合っている人がいるんだよ」
「え? なんだよ、じゃあ何も紫藤先生に頼むこと無かったんじゃないか」

文句を言いながらイクラをぱくり。
うん、美味い。

「……事情があって、そう簡単には打ち明けられない相手なんだよ。それにその時はまだ、片思いだったらしいんだ。意中の相手には、ゆっくりでいいから仲良くなろうと色々画策していたところだったらしいんだが、俺と付き合ってるって噂が流れ始めてから相手の態度がよそよそしくなって焦ったと言っていた」

「てことは、同じ学校の人? でも事情があって打ち明けられないって何? 俺と同じように、相手は生徒なの?」
「いや。生徒じゃなくて、学校の職員だ」
「職員? だったら別に……」

「――相手はな、同じ女性なんだ」

「…………」

ポカンとすること数秒。
女性、女性……?
同じ女性。

「ええっ!? え、え~っ?」

余りの驚きに、馬鹿みたいに「え」を連発して騒いでしまった。

高階先生が、あの美人でスタイル良くって色っぽい先生が……!?
信じらんねー!!

「確かに、信じられないよな。俺も最初、それを打ち明けられた時は顎が外れるかと思うくらい驚いた」
「だよね! だよね!」
「ああ。……だけどこれ、内緒だからな」
「大丈夫、言わない。絶対誰にも言わないから」

念を押す先生に、俺は真面目に頷いた。それに先生は目を細めて微笑んで、頭をわしゃわしゃと撫でる。

「これで安心できただろ?」
「うん。……でも、高階先生よく紫藤先生に話せたよね。俺なら相手のこともあるから多分話せないな」

「ふっ……。まあ、普通なら話はしなかっただろ。あれは多分、俺との噂で相手が自分から距離を取り出したのに焦って、俺自身にも生徒を諦めさせるためだけに振りをする手伝いをしているだけだってことを証明してほしかっただけなんだよ。ようするに、それしか方法が無かったって事だろ」

「そうかぁ。高階先生もその人に、べた惚れなんだね」
「そうなんだろうな」
「……俺たちと、一緒だね」
「だな……」

俺としては、心配の材料が減ったことは素直に喜べることだった。
だけど……。

チラッと先生の顔を見る。
パチリと目が合うと、先生は「なんだ?」と小首を傾げた。

う~。こういうトコ!
こういう所が無駄に人をグラグラさせちゃうんだよ!

「……やっぱり俺、心配だなぁ。見えないところに先生を好きで狙ってる奴らがウジャウジャいそう…」
「案ずるな。興味はない」
「……先生が興味なくたって、浜中や小山みたいに無理やりどうにかしようとする奴らもまた出てくるかもしれないだろ」
「――分かった。南が心配しないように、少し気を付けよう」
「うん。ホントにそうしてよ?」
「ああ。その代わりお前もな」
「え?」
「鳥海先生に、無駄に隙を与えないように」
「――あ……」

鳥海先生……。
確かに、あの先生はちょっと気にした方がいいかもしれない。

……先生に言われるまで、コロッと存在を忘れてはいたんだけどさ。

「分かったか?」
「うん。分かった」

「よし、じゃ飯食うぞ」

ついつい話の方に夢中になり、イクラと穴子しか食べてなかった。
先生の方を見てみると、ほぼ俺と同じ状態だ。

パクパクと口の中に放り込んで、俺は先生と食べる美味い寿司を堪能した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

邪魔はさせない

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 病棟で知り合った2人。生まれ変わって異世界で冒険者になる夢を叶えたい!

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

処理中です...