綺麗な先生は好きですか?

くるむ

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第八章

叶えたいと思う事

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お弁当を食べ終わり、そろそろ戻らないといけない時間になったので、名残惜しいけど席を立った。

「あ、そうだ先生。母さんにお味噌汁をしっかり習ったら先生にご馳走するから、その時はまた先生のマンションに遊びに行くからな。期待して待っててよ」

「ああ。期待してる」

手を振る先生に見送られ、俺はドアを開けて廊下に出た。
また運よく人通りはなく、ホッとする。

別に俺が準備室に出入りしていようが、勘繰る人なんていないとは思うけど、相手は人気者の先生だ。俺が出入りしていることを知った誰かに、変な前例として俺の行動を真似されては先生の迷惑になっちまう。
本当に、それだけは絶対に嫌だから。


「陽太!」

教室に向かっていると、向こうから利一が手を振りながら近づいてきた。

「うまく滑り込めたようだな」
「運よく、だーれも居なかった」
「そっか。良かったな。色々話せたか?」
「うん、まあな。……進路の事とかちょっと話を聞いてもらった」
「進路?」

「うん。俺今まで利一と違ってさ、特にしたいこととか無かっただろ? それってどうなんだろうって思ってて……。だけど最近ちょっとしたことが切っ掛けで、栄養学とか習ってみても良いかなって考え始めてるんだ」

「栄養学?」
「そ。管理栄養士」
「……それって女子が就く職業じゃないのか?」

「そうでもないみたいだよ。まあ、少ないかもしれないけど……。でも調べてみたらちゃんと居たし。そこんとこは、あんまり気にしてない」

「そっかー。進路かぁ」
「利一は、バスケ一筋だし。進路の方も、もうほぼ決まってんだろ?」
「まあ、大体はな」
「良いよなー。俺はこれがしたい!って思えることがしっかりあって」
「何言ってんだ。俺の場合は好きな事って言ったって、かなりの狭き門だぞ。もちろん、それを叶えるためには必死に努力はするけどな」

そうだよな。自分が本当につかみ取りたいって思えるもののためには、必死な努力が必要だよな。
俺にとっては、それが先生で。
先生が隣で笑ってくれている人生なんだ。

そのためなら多分、どんな面倒な事でもきっと頑張れるはずだ。

今日家に帰ったら、家族に進路のことを話そうと思った。
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