僕の王子様

くるむ

文字の大きさ
8 / 62
第二章

バレバレみたいです…

しおりを挟む
紫藤さんに通されて入った部屋は、畳の敷いてある純和風の部屋だった。

外観と同じ感じなんだな。

変なところで感心して、キョロキョロと辺りを見回した。
……と、不意に視線を感じて顔を向けると、さも興味津々な視線と目が合った。
さっきの可愛らしい人だ。

「ねえきみ、なんて名前?」

「あ、すみません! 自己紹介まだでした。えっと、1年の鹿倉歩です。あの……、紫藤さんとは去年のクリスマスに……、勉強でお世話になり知り合いました。……それから……えっと、文化系のクラブに入りたくて入部を希望しました。よろしくお願いします!」

「……文化系。まあ、文化系っつったら文化系か」
「読書なんだから、そうでしょ?」
「まあ、そうだが……」

僕の挨拶を聞いた真ん前で、強面の人と可愛い人がボソボソと話をしている。
何だか妙な会話に聞こえるんだけど……。

「まあ、読書って言ってもダラダラしてる時間の方が多いからな。受験勉強だけをしに来ている人もいるし」
「要は目標があるからな。……俺も、そろそろそうしようかな」
「じゃあ、俺も付き合うよ」

「えーと、ちょっとみんな聞け―」
「あぁ?」
「あっと、すみません。剛先輩も聞いてください」
「なんだ」

各々がそれぞれに話しているところを、紫藤さんがパンパンと手を叩いて皆を注目させた。
それに文句を付けた三年生が、加山さんの言ってた怖い人に違いない。

「新入生がせっかく入会してくれたんですから、それぞれ自己紹介をしてください。え~と……」

「じゃあ、俺から行きまーす! 二年の工藤千佳だよ。特技は誰とでも仲良くなれること。だから歩君ともすぐに親しくなれると思うから、よろしくね♪」

「はい。えっと工藤先輩、よろしくお願いします」
「うん~♪ でも、千佳先輩って呼んで♡」
「あ、はい。千佳先輩」

「特技がもう一つ抜けてんだろ?」
クリスマスの時に傍にいた一人の人が、揶揄うように言った。

「あー、ははっ。まあ、それはそのうち」

……?
何だろう?

「で、俺の隣にいるのがー」
そう言って、顔をくるんと強面の先輩に向ける。自己紹介を促してくれているようだ。

「三年の東郷剛だ」
「よ、よろしくお願いします!」

やっぱり何となくこの人怖い。
愛想の欠片も無い東郷先輩に、僕は慌ててぺこりと頭を下げた。

「じゃあ次は俺。えっと、同じく二年の白石水です。きみとはクリスマスの日にあったよね」
「はい! 白石先輩、よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げた僕の姿を、白石先輩の背後からクリスマスの日に一緒だったもう一人の人がジッと見ていた。

「ホラ、陸も」

振り返った白石先輩が、その人を促した。それにフッと息を吐いて、僕を見た。

「……紫藤目当てなら、まあいいか。俺は黒田陸だ」

……!!
ふえぇっ?

今、今この人何って言った!?
やっぱりさっきの僕の態度で、完璧バレちゃってたの!?

ボムッて音がしたんじゃないかと思ったくらいに、一挙に顔が熱くなった。

「バカ! 陸!」
「……んだよ。いいじゃん、本当のことだろ? それに、大体紫藤がここに連れて来たってことは……、デッ!」

え?と思って黒田先輩の顔を見たら、横から紫藤さんのパンチが飛んできた。

「おいクロ、余計なこと言ってんじゃねーよ」

パンチを腕に食らった黒田先輩が、忌々しそうに紫藤さんを見ている。
その隣で、宥めるように白石先輩がその腕を摩っていた。

「気にすんな歩。……それより、いくつか本は集まってるぞ。読みたいものは何かあるか?」

「え? あ、はっはい」

気を取り直すように紫藤さんが僕を本棚に案内してくれた。まだ顔の火照りは引かないけど、それを気にし過ぎるとせっかく紫藤さんが回避してくれたことが無駄になってしまいそうなので、あえて気にしていないように振る舞った。

そこに千佳先輩がタタッと近づいてきた。そしてちょいと本を引き寄せて、僕の手の平に乗っけてくれた。

「俺のお薦めはこれだよ! ライトなミステリーで面白かったよ」
「ありがとうございます」

どうやら、僕はなんとかここのみんなには受け入れてもらえたようだ。


だけど、僕の気持ちが既に気が付かれてしまってるらしいことは気にかかる。


それと、さっきの黒田先輩の意味深な言葉の続きが、僕はどうしても気になってしまっていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。 そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。 「一緒にコラボ配信、しない?」 顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。 これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。 ※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

邪魔はさせない

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 病棟で知り合った2人。生まれ変わって異世界で冒険者になる夢を叶えたい!

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。 一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。 もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。 ルガルは生まれながらに選ばれし存在。 国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。 最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。 一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。 遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、 最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。 ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。 ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。 ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。 そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、 巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。 その頂点に立つ社長、一条レイ。 冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。

幼馴染み

BL
高校生の真琴は、隣に住む幼馴染の龍之介が好き。かっこよくて品行方正な人気者の龍之介が、かわいいと噂の井野さんから告白されたと聞いて……。 高校生同士の瑞々しくて甘酸っぱい恋模様。

処理中です...