30 / 48
無自覚美少年の男子校ライフ♪
デートの約束1
しおりを挟む
とにかく今日は慌ただしかった。
コンテスト終了後に僕は理事長室で木村先輩たちに襲われたことは事実だと伝え、父さんたちには伝えないで欲しいとそれだけをお願いした。
伯父さんは淡々と事実の確認だけをして、突っ込んで聞くことはしないでくれた。それに一番ホッとしたのだけど、実は僕が来る前に蓮先輩がここにきて、僕の代わりに話しをしてくれていたのだそうだ。
「香月は本当に良い生徒会長だ。去年起きた事も教えてくれたが、その時にもっと被害者の為に自分が出来る事があったはずなのにと悔やんでもいた。事件を知っていて何もできなかった自分たちにも責任があるとも言っていたな」
「そんなこと…」
「まあな、当人が決められなければ周りの者でもどうにもできない事だからな」
「とにかく、伸之助は無理をするなよ。辛い時は支えてくれる奴らがお前の周りにはいるようだけど、本当にきついと思ったら、伯父さんにもちゃんと相談するんだぞ」
「は、い」
僕の肩をポンと叩く。
暖かく大きな掌と、伯父さんの温かな心配そうな瞳にまた涙腺が緩みそうになる。
僕は奥歯をギュッと噛みしめる事で、こぼれそうな涙を必死で堪えた。
そしてその後すぐに、木村、榑林両先輩が退学処分となった事を知らされるのだった。
◇◇◇
コンテスト終了から1週間後、集計結果が発表された。
王子様はやはりダントツで蓮先輩、そして美少女には一葉が決定した。
「俺としては、ダントツで伸之助なんだけどなあ」
今日は2人きりのランチ。
天気もいいので、中庭の芝生の上に腰を下ろし、持参の弁当を広げている。
「そんなこと無いですよ。一葉、すっごい美少女でしたもん」
うん。あの衣装も似合ってたし、可愛くて綺麗だったよな。
「まあ、いっか。でも、ディナーデートには、行こうな。奢るし」
「はい! あ、でも俺の分は俺が払います。先輩はせっかく優勝したんだし」
箸でつまんでいた鳥の唐揚げを口にポンとほおり込む。
うっま~。やっぱ母さんの料理、美味いよなぁ。
もぐもぐと幸せに浸りながら食べていると、先輩がなぜか苦笑いをしながら見ていた。
「どうしたんですか?」
「いや…。幸せそうだなあと思って。…俺の幸せも考えてくれると良いんだけど」
「あ、もしかして先輩も唐揚げ好きなんですか? どうぞ!」
意気込んで先輩の前に弁当箱を差し出した。んだけど、なぜか先輩は笑いをかみ殺している。
「いや…。そうじゃなくて。…さっきのデートのことだけどさ」
「あ、はい」
箸と弁当箱を膝の上に置いて先輩の顔を見ると、優しい色を湛えた瞳が僕を見ていた。
そのまっすぐな瞳に、心臓がトクンと脈打つ。
「年上の彼氏としては、初デートくらい奢ってあげたいと思うんだけどな」
「…え」
「だめ…?」
先輩の綺麗な指先が、僕の頬をするりと撫でる。
ピクンと反応する僕に目を細めた先輩は、ゆっくりと顔を近づけて僕の唇をそっと覆った。
コンテスト終了後に僕は理事長室で木村先輩たちに襲われたことは事実だと伝え、父さんたちには伝えないで欲しいとそれだけをお願いした。
伯父さんは淡々と事実の確認だけをして、突っ込んで聞くことはしないでくれた。それに一番ホッとしたのだけど、実は僕が来る前に蓮先輩がここにきて、僕の代わりに話しをしてくれていたのだそうだ。
「香月は本当に良い生徒会長だ。去年起きた事も教えてくれたが、その時にもっと被害者の為に自分が出来る事があったはずなのにと悔やんでもいた。事件を知っていて何もできなかった自分たちにも責任があるとも言っていたな」
「そんなこと…」
「まあな、当人が決められなければ周りの者でもどうにもできない事だからな」
「とにかく、伸之助は無理をするなよ。辛い時は支えてくれる奴らがお前の周りにはいるようだけど、本当にきついと思ったら、伯父さんにもちゃんと相談するんだぞ」
「は、い」
僕の肩をポンと叩く。
暖かく大きな掌と、伯父さんの温かな心配そうな瞳にまた涙腺が緩みそうになる。
僕は奥歯をギュッと噛みしめる事で、こぼれそうな涙を必死で堪えた。
そしてその後すぐに、木村、榑林両先輩が退学処分となった事を知らされるのだった。
◇◇◇
コンテスト終了から1週間後、集計結果が発表された。
王子様はやはりダントツで蓮先輩、そして美少女には一葉が決定した。
「俺としては、ダントツで伸之助なんだけどなあ」
今日は2人きりのランチ。
天気もいいので、中庭の芝生の上に腰を下ろし、持参の弁当を広げている。
「そんなこと無いですよ。一葉、すっごい美少女でしたもん」
うん。あの衣装も似合ってたし、可愛くて綺麗だったよな。
「まあ、いっか。でも、ディナーデートには、行こうな。奢るし」
「はい! あ、でも俺の分は俺が払います。先輩はせっかく優勝したんだし」
箸でつまんでいた鳥の唐揚げを口にポンとほおり込む。
うっま~。やっぱ母さんの料理、美味いよなぁ。
もぐもぐと幸せに浸りながら食べていると、先輩がなぜか苦笑いをしながら見ていた。
「どうしたんですか?」
「いや…。幸せそうだなあと思って。…俺の幸せも考えてくれると良いんだけど」
「あ、もしかして先輩も唐揚げ好きなんですか? どうぞ!」
意気込んで先輩の前に弁当箱を差し出した。んだけど、なぜか先輩は笑いをかみ殺している。
「いや…。そうじゃなくて。…さっきのデートのことだけどさ」
「あ、はい」
箸と弁当箱を膝の上に置いて先輩の顔を見ると、優しい色を湛えた瞳が僕を見ていた。
そのまっすぐな瞳に、心臓がトクンと脈打つ。
「年上の彼氏としては、初デートくらい奢ってあげたいと思うんだけどな」
「…え」
「だめ…?」
先輩の綺麗な指先が、僕の頬をするりと撫でる。
ピクンと反応する僕に目を細めた先輩は、ゆっくりと顔を近づけて僕の唇をそっと覆った。
26
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる