無自覚美少年の男子校ライフ♪

くるむ

文字の大きさ
48 / 48
一生大切にするって一生童貞?

5

しおりを挟む
「行くぞ…」

荒い息で囁いたかと思ったら、先輩がガシガシと下から突き上げる。

「ちょっ、あっ、ま…っ。ああっ…、ひぁっ、あっ、あ、ああぁんんっ…」

あり得ない真逆の状況に混乱しながらも、僕の体を熱いうねりが沸き上がり、目の眩むような快感とともに白くはじけた。




気が付いたら先輩の腕の中だった。
気持ちのいい脱力感に、目を開けたままぼーっとしていたら、もぞもぞと先輩の体が動く。

「先輩…?」
「んー、…何時だ?」

眠そうな先輩の問いに答えるべく、顔をずらし壁にかかっている時計を見上げる。

「八時回ってます」
「そうか…。そろそろ起きなきゃな」

いつもより気怠そうな先輩に、いろいろと無理をさせてしまったんだなと反省してしまう。

…そうだよね。本来なら僕が先輩の役割をすべきだったのに、気が付いたらあんな…。
あ、ありえないだろ。あんな、あんな情けない…っ!
恥ずかしさに悶々としていたら、先輩の温かな手が、僕の頭を撫でてくれた。

「伸之助」
「…っ、はい…」
「そろそろ気づいてくれてると思うけど、お前は他人より感じやすいんだよ」
「~~~~~」

頭を撫でていたその手を下ろして、先輩が僕に向き合う。

「だからな、さっきのあの状態は俺が相手だからじゃないぞ。相手が他の誰かでも同じ状態になるんだからな」
「他の…誰か?」
「そうだ。だから誰かと試そうだなんて考えるんじゃないぞ」

先輩のあんまりな言葉にカチンとくる。

「試しませんよ、そんな事っ。先輩大事な事忘れてる! 僕は先輩に触れられるから気持ちいいんです。ほかの誰かとだなんてそんな事、考えるわけないじゃないですかっ!」

真っ赤になって反論する僕の怒った顔を、目を見開いてみていた先輩だったけど、その内それは嬉しそうなものに変わっていった。

「そっか。そっか…」

目を細めて優しい笑顔で僕を見つめる先輩。久しぶりに見る王子様な笑顔に、僕の頬も熱くなってきた。

「大好きなんですからね、先輩の事」

ふてくされるようにそう言うと、先輩は笑って僕を引き寄せてくれた。



シャワーを浴び終わって、お手伝いさんの作ってくれた夕飯を食べようと準備に入る。
かぼちゃのコロッケと、海鮮サラダ、それと豚汁。どれも僕の大好きなものばかりだ。

ただ、僕たちがアレだったので、出来上がってから随分時間が経ってしまっていて、せっかくの料理も冷えてしまっている。なので、コロッケはトースターで豚汁は火にかけて温めてから食卓に着く。

「んま~い♡♡」

ああ、至福の時間♪ 先輩んちのお手伝いさんの料理も、すっごく美味しいんだ。

「伸之助の好みばかりだろ?」
「はい! あ、もしかして頼んでくれたんですか?」
「まあね」

頷きながら先輩も、美味しそうにコロッケを頬張っていた。




「…美代さんに料理習うかな」
「え?」

食事を終えて二人で洗い物をしていると、先輩がポツリとつぶやいた。

…先輩、料理に興味なんかあったっけ?
先輩の口から飛び出すとは思えない意外な言葉に、キョトンと先輩を見上げると、なんだか苦笑いをしている。

「伸之助さぁ、ほんっと美味しいものに目がないだろ。今は良いけど倦怠期とかに入っちまったら、料理上手な奴に靡いて行きそうで心配なんだよな」
「ちょっとー、先輩ー?」
「しょーがないだろ。惚れた弱みで、心配あり過ぎなんだから」

何だかとっても腑に落ちないけど、僕を見る先輩の、ちょっぴり眉を下げた情けない表情はなんて言うか…。
うん。可愛いなんて思っちゃったよ。

「じゃあ、僕も一緒に習います!」
「え?」

本気で驚いたんだろう。先輩がぱちくりと僕を見つめる。
そして、ほころぶ様に、先輩の表情が柔らかく甘く蕩けていく。

「そうだな。じゃあ、お互いに餌付けしあおう」
「はい」


二人で「ふふふ」と笑いあい、泡立った皿をお水で流していく。
綺麗になった皿たちが、かごの中に積み上げられていった。



先の事だからどうなるかは分からないけど、
今は二人、一生続く二人の世界が楽しく幸せであるようにと、僕は祈っていた。


おしまい♡
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

gd19880818
2018.06.18 gd19880818

読むの2回目です!
何回読んでも面白い作品です‎|•'-'•)و✧
甘々だし、にぶいとこが可愛く感じるし⸜( ॑꒳ ॑ )⸝
オススメです!

2018.06.18 くるむ

感想ありがとうございます!
再度読みに来ていただいただなんて、うれしすぎて今晩眠れないかもヽ(〃v〃)ノ
おススメまでしていただいて、恐縮です( *・ω・)*_ _))ペコリン

解除
mallin
2017.06.05 mallin

無自覚に煽ってますね・この後もますます?
蓮が伸之助を大切にしているのがいいなぁ。

毎日の更新ありがとうございます。
登場人物達が作者さんに大切にされている作品だなぁと思って安心して読んでます。

甘々な展開、期待していいでしょうか?
これからも楽しみにしています。

2017.06.06 くるむ

感想ありがとうございます。
はい。彼らに愛情だけはたっぷりあります(*^-^*)

まさにこの後、甘々展開です。
そしてこの章が終わった後、番外編的にワハハな展開が待っています(汗)
それにつきましては、この章が済んだ後に近況ボードにでも書こうかと思っておりますので、確認していただけると嬉しいです。

解除

あなたにおすすめの小説

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。