悪行を重ねた令息は断罪されたくないので生き方を変えました。誰の愛も欲しがらないと決めたのに、様子がなんだか変なんです

くるむ

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第一章

自意識過剰だよ

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 無事に2人分のランチ定食を手にした僕は、エリックがとっていてくれた席へと向かった。
 だけど席が近づくにつれ、どこに誰がいるのかがわかり愕然とした。あろうことか、ブライアン一行がエリックのいる斜め向かいに座っていた。

 エリックは僕に気がつくと、さっと立ち上がってトレイを受け取った。

「ありがとうございます、ショーン様」
 そう言いながら眉を下げたのは、僕がブライアンらとあまりいい関係ではないと知っていたからだろう。だからと言って今日の混み具合では、別の席を探すのも一苦労だ。

 案の定、僕の存在に気がついたジェイミーがにらんでいる。ブライアンも少しうんざりとした表情だ。

「ね? 僕の言った通りだったでしょう、ブライアン様。ショーン様が、そんな簡単にブライアン様を諦めるわけないと思ってたんですよ」

 ぴくっと体がこわばるのがわかった。たった数日ブライアンたちを避けているだけでは、今までの行動がなかったことになる訳なかった。反論したかったけれど、僕が口を開くと余計悪い方向にいってしまいそうで躊躇した。

「いっ、言いがかりです」
 エリックが震える声で反論した。僕はびっくりして彼の顔を見る。
 今まで、こんな風に誰かに反論することなんてきっとなかったんだろう。顔は緊張で青ざめていた。

「はっ? 何言ってるんだよ? わざわざ斜め向かいの席なんか取ってるくせに」
「そうだよな」とジェイミーの隣に座っているトーマスが頷いた。ブライアンは冷めた目で僕を見ている。

「確かに混んでるかもしれないけれど、探せば他にも空いているだろう」
 冷たいブライアンの声に、ひくっと喉がなった。

「えー、そんなに必死になって避けなきゃだめなわけ?」
 エイドリアンの声だ。言いながら、僕の肩を引き寄せた。

 びっくりして顔をあげたら、思いのほか顔が近くて慌てて顔を下した。
 
「自意識過剰なんじゃないの?」
「なっ? いくらエイドリアン様でも、失礼ではないですか?」
「そうかい? ならそれは、君たちにも当てはまるんじゃないのか?」

 エイドリアンの言葉に、ブライアンたちはぐっと押し黙った。
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