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第一章
本当に親切なんだよね
ランチを終えてエイドリアンらと別れ、僕ら一年組だけとなったところでキャトリン嬢が感嘆の息を漏らした。
「レオ様って素敵ですね」
「えっ、うん、そうだね」
「でもレオ様は、アラン様の婚約者だからな」
エリックが変なことになっては困ると思ったのだろう。キャトリン嬢に釘を刺した。
「わかってるわよ。でもレオ様ってちょっと冷たく見えるところも素敵じゃない? 話をする勇気なんてないけど、見てるだけで幸せなんだからいいじゃないの」
キャトリン嬢の熱弁に、フローラ嬢は目を細めて微笑んでいる。かわいい妹を見守っているかのような表情だ。
本当に仲がいいんだな。
「……ン、ショーンちょっと待って」
「えっ?」
僕を呼ぶ声に振り返ると、ブライアンがこちらに向かって走って来る。そのもっと向こう側にはいつもの3人が、面白くなさそうにこちらを見ていた。
「あの……?」
「これ、よかったら使って」
折りたたんだ数枚の紙を、僕の方に突き出した。
? なんだろう?
ジェイミーたちが嫌な顔をして見てるし、なるべくならあんまりこうやって関わってほしくないんだけど。でもこんなみんなの見てる前でいらないって突っぱねるのもちょっと難しい。しかもブライアン、完全に善意だもんな。
心の中でこっそり溜息をつきながら受け取って、折りたたまれている紙を広げた。
そこには現在習っていて、今度の試験に出るだろうと思われる地理の要点がまとめられていた。
「これ……」
「うん。勉強はエリックたちに教えてもらってるっていうから私の出番はないんだろうけど、試験に役立つと思うからよかったら使って?」
「あ、ありがとう。あの、」
「うん?」
僕のことなんてもう全然気にしなくてほんとにいいんだからねって言いたいんだけど、ニコニコの笑顔を見ていると、その先が続けられない……。
「……助かるよ」
「良かった! じゃあお互い試験勉強頑張ろうな」
「うん」
笑顔で戻っていくブライアンに、待っていたジェィミーたちは笑顔で迎えている。
あの調子じゃ、ブライアンはジェイミー達が今もなお僕を毛嫌いし続けていることに気が付いていないんじゃないだろうか。
「親切は、親切なんだよなあ」
「やや押し売り気味ですけどね」
僕とエリックのぼやきに、キャトリン嬢たちは目をぱちくりとさせていた。
「レオ様って素敵ですね」
「えっ、うん、そうだね」
「でもレオ様は、アラン様の婚約者だからな」
エリックが変なことになっては困ると思ったのだろう。キャトリン嬢に釘を刺した。
「わかってるわよ。でもレオ様ってちょっと冷たく見えるところも素敵じゃない? 話をする勇気なんてないけど、見てるだけで幸せなんだからいいじゃないの」
キャトリン嬢の熱弁に、フローラ嬢は目を細めて微笑んでいる。かわいい妹を見守っているかのような表情だ。
本当に仲がいいんだな。
「……ン、ショーンちょっと待って」
「えっ?」
僕を呼ぶ声に振り返ると、ブライアンがこちらに向かって走って来る。そのもっと向こう側にはいつもの3人が、面白くなさそうにこちらを見ていた。
「あの……?」
「これ、よかったら使って」
折りたたんだ数枚の紙を、僕の方に突き出した。
? なんだろう?
ジェイミーたちが嫌な顔をして見てるし、なるべくならあんまりこうやって関わってほしくないんだけど。でもこんなみんなの見てる前でいらないって突っぱねるのもちょっと難しい。しかもブライアン、完全に善意だもんな。
心の中でこっそり溜息をつきながら受け取って、折りたたまれている紙を広げた。
そこには現在習っていて、今度の試験に出るだろうと思われる地理の要点がまとめられていた。
「これ……」
「うん。勉強はエリックたちに教えてもらってるっていうから私の出番はないんだろうけど、試験に役立つと思うからよかったら使って?」
「あ、ありがとう。あの、」
「うん?」
僕のことなんてもう全然気にしなくてほんとにいいんだからねって言いたいんだけど、ニコニコの笑顔を見ていると、その先が続けられない……。
「……助かるよ」
「良かった! じゃあお互い試験勉強頑張ろうな」
「うん」
笑顔で戻っていくブライアンに、待っていたジェィミーたちは笑顔で迎えている。
あの調子じゃ、ブライアンはジェイミー達が今もなお僕を毛嫌いし続けていることに気が付いていないんじゃないだろうか。
「親切は、親切なんだよなあ」
「やや押し売り気味ですけどね」
僕とエリックのぼやきに、キャトリン嬢たちは目をぱちくりとさせていた。
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