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第一章
恵まれてました
エイドリアンに話を聞かれて少しだけ泣いてしまったその後、なぜかすっきりとしていた。
嫌なことを誰かに話すだけで、こんなに気持ちが楽になるんだな。知らなかったよ。
授業が終わり、なんだか心も軽くなった僕は手際よく荷物をまとめてエリックの席に行った。
「エリック、今日も自習室行くよね」
「もちろんです」
「フローラ嬢たちも来るの?」
「それが女の子たちでの勉強会に誘われたらしくて、今日は来れないって言ってました」
「そっかー、じゃあ今までも時々来なかったのは、そういうのが理由だったのかな」
「はい。友達との付き合いも大事ですからね」
……そっかー、そうだよな。
もしもエリックが、フローラ嬢が大切だからって、彼女とばっかり付き合ってたら僕も寂しいもんな。
「きゃあっ、見て見て」
「おおっ、やっぱりいつ見てもカッケーな」
「……なあ、イケメンの友達にはイケメンがなるって決まってるのか?」
「んなわけねーじゃん。でも、3人並ぶと壮観だな」
急に教室内がざわざわしてきたのでなんだと思って振り返ると、エイドリアンに兄上に、レオお兄様が並んで立っていた。僕が振り返ったのに気が付いて、エイドリアンとレオお兄様がひらひらと手を振る。
何事? まさかのお迎え?
「うわっ、まさか僕らを迎えに来てくれたんですか? 急がないとっ」
エリックが慌てて荷物をまとめて席を立った。2人で小走りで教室を出る。
「自習室ですよね。すみません、お待たせしてしまって」
慌てるエリックに、大丈夫だよと3人は微笑んだ。
「でもどうなさったんですか? 僕らの教室までわざわざいらしてくださるなんて」
訊ねると、兄上がちらりとエイドリアンに視線を向けた。
エイドリアンが微苦笑を浮かべる。
「……直接言い聞かせるのが逆効果になるんなら、自分らがショーンの味方なんだって、今以上にみんなに周知してもらったほうがいいかなと思ったんだよ。俺らが目を光らせてるって知ったら、あいつらに同調して変な考えを起こすやつも現れないかなって。まあ、……俺もこれが正解かどうかわからないんだが、ただ見てるだけってのが嫌だったからさ」
エイドリアンは、そう言いながら苦笑いをしている。
「で、それなら僕ももうちょっとわかりやすく動かなければと思ったわけだ」
「僕もね、ショーンのお兄様だし」
「……あ、ありがとうございます」
胸の中が熱くなって堪らなくなる。
兄上なんて、本来は静かに目立たずにいるほうが好きなはずなのに。
ああ、なんか僕、すごく恵まれてるな。
――負けない。頑張らなくちゃ。
きっと僕はそのために生き帰ってきたんだ。
だからもう絶対に下なんか向いたりしない。
僕はぐっと拳を握りしめた。
嫌なことを誰かに話すだけで、こんなに気持ちが楽になるんだな。知らなかったよ。
授業が終わり、なんだか心も軽くなった僕は手際よく荷物をまとめてエリックの席に行った。
「エリック、今日も自習室行くよね」
「もちろんです」
「フローラ嬢たちも来るの?」
「それが女の子たちでの勉強会に誘われたらしくて、今日は来れないって言ってました」
「そっかー、じゃあ今までも時々来なかったのは、そういうのが理由だったのかな」
「はい。友達との付き合いも大事ですからね」
……そっかー、そうだよな。
もしもエリックが、フローラ嬢が大切だからって、彼女とばっかり付き合ってたら僕も寂しいもんな。
「きゃあっ、見て見て」
「おおっ、やっぱりいつ見てもカッケーな」
「……なあ、イケメンの友達にはイケメンがなるって決まってるのか?」
「んなわけねーじゃん。でも、3人並ぶと壮観だな」
急に教室内がざわざわしてきたのでなんだと思って振り返ると、エイドリアンに兄上に、レオお兄様が並んで立っていた。僕が振り返ったのに気が付いて、エイドリアンとレオお兄様がひらひらと手を振る。
何事? まさかのお迎え?
「うわっ、まさか僕らを迎えに来てくれたんですか? 急がないとっ」
エリックが慌てて荷物をまとめて席を立った。2人で小走りで教室を出る。
「自習室ですよね。すみません、お待たせしてしまって」
慌てるエリックに、大丈夫だよと3人は微笑んだ。
「でもどうなさったんですか? 僕らの教室までわざわざいらしてくださるなんて」
訊ねると、兄上がちらりとエイドリアンに視線を向けた。
エイドリアンが微苦笑を浮かべる。
「……直接言い聞かせるのが逆効果になるんなら、自分らがショーンの味方なんだって、今以上にみんなに周知してもらったほうがいいかなと思ったんだよ。俺らが目を光らせてるって知ったら、あいつらに同調して変な考えを起こすやつも現れないかなって。まあ、……俺もこれが正解かどうかわからないんだが、ただ見てるだけってのが嫌だったからさ」
エイドリアンは、そう言いながら苦笑いをしている。
「で、それなら僕ももうちょっとわかりやすく動かなければと思ったわけだ」
「僕もね、ショーンのお兄様だし」
「……あ、ありがとうございます」
胸の中が熱くなって堪らなくなる。
兄上なんて、本来は静かに目立たずにいるほうが好きなはずなのに。
ああ、なんか僕、すごく恵まれてるな。
――負けない。頑張らなくちゃ。
きっと僕はそのために生き帰ってきたんだ。
だからもう絶対に下なんか向いたりしない。
僕はぐっと拳を握りしめた。
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