悪行を重ねた令息は断罪されたくないので生き方を変えました。誰の愛も欲しがらないと決めたのに、様子がなんだか変なんです

くるむ

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第二章

僕を見ている人たち

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 学年一位になっていたエリックの周りには、勉強を教えてもらいたいというクラスメイトたちが集っていた。それでちょっぴり暇な僕は窓から空を見上げる。 
 雲ひとつない青空を見ていると、外に出て日向ぼっこがしたくなってしまった。休み時間だから大した時間はないけれど、それでもちょっとだけ外に出てみようと思ったんだ。

 んー、気持ちいい。最近曇り続きの日が多かったからなー。

 少し暑いくらいの日差しが心地いい。僕はうーんと背伸びをして、めいっぱい空気を吸い込んだ。

「ショーン、学年50位おめでとう」
 離れたところから声をかけられた。廊下を歩きながらブライアンが声をかけていたのだ。その隣には同じAクラスのキースがいる。キースはほぼ無表情で僕を見ていた。

 なんか嫌な笑いが出るよ。

 だけどブライアンが僕の試験勉強のために協力してくれたのも事実なので、僕は顔を引きつらせながら「ありがとう」と返事をしておいた。
 ブライアンはそれににこやかに笑い、僕に手を振ってそのまま去っていった。

 最近はエイドリアンと僕が当たり前のように一緒に居ることが多いから、ブライアンも僕を気にすることは少なくなってきてるんだけど、それでもブライアンの取り巻きたちにとっての僕は、いけ好かない人のままらしい。
 ブライアンがいなくても、すれ違ったり目に入ったりする度に、僕のことを冷めた目で見るのは本当にやめてほしい。嫌われてるのに慣れてる僕だって、傷つかない訳じゃないんだぞ。

 せっかく美味しい空気吸いに来たのにな……。

 ふうっと息を吐いて何気に上を見上げたら、さっと隠れる人影が見えてしまった。
 なんだよ、もう。

 どんなに心を入れ替えたとしても、こそこそと悪口を言う人も僕を好奇の目で見る人たちもまだまだいるっていうことだ。
 僕はちょっぴり肩を落として、教室へと戻ることにした。



 試験は終わったけれど、せっかく僕がいい成績を残したのだから、そのまま自習室で勉強するのを習慣付けようということになった。そういうことで授業が終わった後、エイドリアンと兄上とレオお兄様が迎えに来てくれた。
 タイソンやエリックたちはそれぞれ事情があるので、今回は僕らに参加しないこととなった。

「どうした、元気ないな」

 エイドリアンが僕の顔を見て眉をひそめる。言いよどむ僕にエイドリアンは、何か嫌がらせをされたのかと尋ねた。

「嫌がらせではないんだけど、始終見られたり、コソコソ言われるのは地味にこたえるよね」
「ショーン……」
 エイドリアンは眉を下げ、僕を労うように背中を擦ってくれた。

「……た! ショ……エイ……るよ」
「……ちゃ……る」

 また聞こえてきた声にエイドリアンの顔つきが変わった。
「待ってろ」
 といったかと思うと、ものすごい勢いで走り出した。それに気がついた誰かが、ワッとかギャーとか言って走り出す音が聞こえた。

 僕もハッとしてその後を追った。
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