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第二章
毒殺犯
兄上が反射的にそのカップをつかもうとしたのが目に入り、あわてて叫んだ。
「毒だから触らないで!」
みんなの表情が一瞬凍ったのが目に入ったけれど、僕はそれよりもあのクマを捕まえなければと思って走りだした。
その横を、兄上とエイドリアンが追い越していった。
クマは既にだいぶ先を走っていた。もしも姿が見えなくなって、クマの被り物を外してしまったらもう誰が犯人なのか分からなくなってしまう。
絶対に捕まえなくては!
足がもつれそうになるくらい、必死に必死で走った。
「うわっ!」
鈍い音とともに叫び声が聞こえてきた。見ると、遥か彼方でクマが2人に押し倒されている。
「……えっ? 誰?」
そのすぐ後にエイドリアンと兄上が、加勢に入った。
「はあっ、はあっ……。毒ってなんだ? あのクマ男は?」
レオお兄様も追いかけてきてくれていたので、僕らは2人でクマのもとへと歩いた。
あれ? あのクマを抑えている2人、マシューとヨハンじゃないか。また、知らないうちにそばにいたんだな。
「ショーン?」
「あ、はい。……さっきのカップから、嗅いだ記憶のある毒の匂いがしたんです」
「えっ? 嗅いだって……」
「離せ、やめろ離せ!」
男は必死に抵抗していた。だけど、2人に抑えられもう2人に被り物を掴まれては剥がされるのも時間の問題だった。
ビリッと音がして、勢いよく被り物が外される。手にしていた兄上は軽く尻餅をつく形になり、あっけなく顔が露わになった。
露わになったのは明るい茶色い髪の男。だけど、トーマスではなかった。
「えっ? キース?」
「なんで君が……」
キースとは直接話したこともないし、悪態をつかれた記憶もない。おとなしい印象しかなかったのに。
「離してくださいませんか? 僕はなんでこんな仕打ちを受けているんでしょうか」
キースは開き直っていた。僕がピンピンしてるから、あの毒を飲んでいないことを知り逃れられると思ったのだろうか。
「君が僕のカップに、毒を盛っていたからだよ」
「えっ?」
毒の一言で、キースの顔面が蒼白になった。
その顔を見て、キースがあの時の毒殺犯なんだと確信した。
僕は、そこまで彼に嫌われていたのか。
「毒だから触らないで!」
みんなの表情が一瞬凍ったのが目に入ったけれど、僕はそれよりもあのクマを捕まえなければと思って走りだした。
その横を、兄上とエイドリアンが追い越していった。
クマは既にだいぶ先を走っていた。もしも姿が見えなくなって、クマの被り物を外してしまったらもう誰が犯人なのか分からなくなってしまう。
絶対に捕まえなくては!
足がもつれそうになるくらい、必死に必死で走った。
「うわっ!」
鈍い音とともに叫び声が聞こえてきた。見ると、遥か彼方でクマが2人に押し倒されている。
「……えっ? 誰?」
そのすぐ後にエイドリアンと兄上が、加勢に入った。
「はあっ、はあっ……。毒ってなんだ? あのクマ男は?」
レオお兄様も追いかけてきてくれていたので、僕らは2人でクマのもとへと歩いた。
あれ? あのクマを抑えている2人、マシューとヨハンじゃないか。また、知らないうちにそばにいたんだな。
「ショーン?」
「あ、はい。……さっきのカップから、嗅いだ記憶のある毒の匂いがしたんです」
「えっ? 嗅いだって……」
「離せ、やめろ離せ!」
男は必死に抵抗していた。だけど、2人に抑えられもう2人に被り物を掴まれては剥がされるのも時間の問題だった。
ビリッと音がして、勢いよく被り物が外される。手にしていた兄上は軽く尻餅をつく形になり、あっけなく顔が露わになった。
露わになったのは明るい茶色い髪の男。だけど、トーマスではなかった。
「えっ? キース?」
「なんで君が……」
キースとは直接話したこともないし、悪態をつかれた記憶もない。おとなしい印象しかなかったのに。
「離してくださいませんか? 僕はなんでこんな仕打ちを受けているんでしょうか」
キースは開き直っていた。僕がピンピンしてるから、あの毒を飲んでいないことを知り逃れられると思ったのだろうか。
「君が僕のカップに、毒を盛っていたからだよ」
「えっ?」
毒の一言で、キースの顔面が蒼白になった。
その顔を見て、キースがあの時の毒殺犯なんだと確信した。
僕は、そこまで彼に嫌われていたのか。
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