これは兄さんじゃありません

くるむ

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第一章

兄さん発見!

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そして翌朝。
どうにも落ち着かなくて早く起きてしまった僕らは、早めにご飯を食べて出発することにした。

「チェックアウトする前に、少し辺りを見てきてもいい?」
「いいけど、どうした?」

「うん。……多分もう、今回兄さんを探し出せなかったら、ここに来ることも無いかもしれないなって思って。兄さんがどの方面に行ったのかってことは、少しだけ情報はあるけど、どこに泊まったかって情報はまだ見つかってないでしょ? 確かなのはこのホテルだけで。……だから、何となく、頭に入れておきたいんだ」

これは単なる感傷だ。
兄さんを見つけ出せさえすれば、どうでもいいことなんだけど。
だけど、一年近く経っても戻ってくる気配のない兄さんを、探し出す自信がやっぱり僕には無かった。

そして、もう二度と会えないんじゃないかって、心のどこかで思ってしまっている。

「……そうだな。じゃあ、ちょっと俺らも一回りしてみるか」
「ああ」
「……ありがとう、みんな」

みんなの優しさが嬉しくて、又じんわりと目頭が熱くなる。

「礼なんて、よせよせ。俺らにとっても、壱琉は大切な友達なんだからな」
「……うん」

そう言いながら大翔さんは、僕の肩にポンと手を置いて、そのまま肩を抱くようにして歩き出す。

これまでは大翔さんのこの位置は、兄さんの場所だった。
グイッと引き寄せられて、凭れるように歩くのが僕はとても嬉しかったんだ。

思い出すとまた泣きそうになるので唇をキュッと噛んで我慢する。

みんなでホテルを出て、ゆっくりと辺りを見渡しながら周辺を歩いた。

「壱琉は、なにを考えながらこの辺を歩いてたんだろうな」
「そうだな……」

辺りを見回しながらゆっくりと歩く。
遠くまで見える青い空が、泣きたくなるほど澄んでいた。



「……なあ、俺らの今までの情報を合わせると、壱琉はホテルを出た後まずは〇×駅から電車に乗って、▽▽で降りてるんだよな」
「ああ、……そこまでは確認できていて……、え?」

地図アプリを確認して、顔を上げた新さんが突如固まった。
何だろうとその視線の先を追ってみて、僕も固まる。

兄さん!?

「なんだ―? どうした2人とも固まって……、ええっ!?」

みんなが凝視する先には、あんなに探しても見つけられなかった兄さんが、ふらふらと言った感じで歩いていた。
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