きみと運命の糸で繋がっている

くるむ

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手折ってはいけない花

甘美な罪

ほんのわずかな"気"さえ取りこぼさないようにと、藤はもはや屍と化した羽柴の体に己の体を擦り付ける。だが、もう羽柴の中に何も残ってないと分かると藤は羽柴の体を邪魔だと言わんばかりにコロンとその辺に転がした。

「…気持ちよかった」

藤は目を閉じて己の体を撫でる。細胞の一つ一つが歓喜に打ち震えているのを藤は感じていた。

普段少量ずつ摂取するときには味わえない快感だ。その理屈は朔也でさえも分からないが、貪るように吸収することで一気に駆け巡る"気"が、秘炎の体の何かを刺激するのかもしれない。それとも、少量で感じる気持ちよさが、一度に大量に入ってくることで倍増するのか。

「どうでもいいや。ん~、眠い…」

まるで腹いっぱいになって眠気に襲われた幼子のように、藤は考える事を止めてコロリと横になった。




××××××××××                     


「んん…。寒…」

肌寒くなって目が覚めた藤は、体を抱きしめるようにして両腕を擦る。素肌を撫でる感触に怪訝に思った藤は眠い目をこすって瞼を開いた。
ぼんやりと開けた目の中に最初に飛び込んできたのは、真っ裸で転がっている羽柴の遺体だった。

「羽柴さん…?」

未だぼんやりとした夢の中から覚めない藤は、小首を傾げ……。


――脳裏に羽柴の"気"を貪り食う自分の姿がよぎった。

「あ…っ」

それと同時に一気に雪崩れ込む記憶の数々。
知らないうちに庄太らに売られていた事。そして羽柴にされた数々の…。

恐ろしい状態に自分が今おちいっていることを思い出して、藤の体が震え始めた。


「に、逃げなきゃ……」

部屋の隅に放り投げられている自分の着物や褌を手に取り、震える指先を叱咤して、必死で身に着けていった。


藤は転がるように走り出す。どこに逃げたらいいのか分からない。だけど求めるのは朔也だけだ。
甘木屋に行けば朔也に会える。藤はそれだけを頼りに必死に走り続けた。
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