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第一章
でかっ!!
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急に襲った体中の痛みに堪えきれなくなり、俺はどさっと地面に突っ伏した。歯を食いしばって、痛みがおさまるまでうずくまりながら待つ。
「はー、ひゅー、はーっ、はー」
荒かった呼吸が少しずつ元に戻り、痛さもだんだんと和らいできた。もう大丈夫だと体から力を抜いた。
だけどまぶしい光がまだ続いているせいで視界が悪い。
全く、とんだ化け物だ。闇魔術士だなんてばかげた名称をつけられている俺よりも、計り知れない力を持っている。それなのに金髪碧眼のせいで、俺とは違って敬われているわけだ。
よいしょと立ち上がり手や服についた泥を払う。光が収まり開けてきた視界で見た光景に俺は愕然とした。
でかっ!!
俺を見る聖騎士団の面々が巨大化していた。これはなんだ? 新手の魔法か?
戸惑い驚く俺を団長のウィルフレッドが抱き上げた。
「てえぇ、なにちやがるんだ。おろちぇ!」
なんだ、この幼児語は! 俺の口から出た言葉か?
わけがわからなくてパニック状態だが、とにかくこの男から離れなければ。
足をバタバタしたりギュウギュウと手で押したりしてもウィルフレッドは楽しそうに笑っている。
ならばと、至近距離から炎をおみまいしようかと思ったが、どういうわけか、かわいい炎がちょろっと出ただけで大した影響はなかった。
俺の魔法どうなった!!?
急に無くなった力とうまく回らなくなった舌に戸惑いを隠せない俺を、ウィルフレッドは困ったような笑顔で見ていた。
「すごいですね、団長。俺、初めて見ました。幼児化の魔法」
なに? 幼児化の魔法?
こいつ俺に魔法をかけたのか?
それでもって相手がでかくなったわけじゃなく、俺が小さくなったってわけ?
「どういうちゅもりだ。バカヤロー!!!」
手足をバタバタさせて抵抗すると、俺を抱く腕の力が余計に増した。
「君のことは、私が保護する」
「……は?」
「みんなよく聞け。イアンは私にやられて大怪我を負ったあと、隙を見て逃げたと報告する。異論のあるものは手を上げてくれ」
ウィルフレッドの言葉に、二人が手をあげた。
「俺は反対です。陛下はこの闇魔術士を殺しても良いと仰っていました。それは実質殺せという命令だと思います。それに逆らったことが陛下にばれでもしたら団長もどうなるか分かりません」
「俺も同意見です。この男を助けたことで団長の立場が悪くなるのをよしとしません」
「私の立場を危惧してくれているのか?」
「そうです」
「だとしたら、それは不要だ。……考えてみてくれ。もしも君の大事な家族が黒髪黒い瞳で生まれてきたらどうする? 殺しても良いと思うか? 違うだろ? 王家の考えは自分たちの立場を弱くしたくないためだけの姑息なものだ」
え?
俺は耳を疑った。そんなふうに言ってもらったことなんて一度だってない。
だけど、このウィルフレッドという男なら言いそうな言葉だと思った。こいつは俺と遭遇するたびに、君を助けたいだの困ったことがあったら俺のところに来いだの、そんなことばかり言っていたから。
それもこれも俺を捕まえるための方便だと思って信じてなんていなかったけど。
「団長……」
団員たちは困惑した声を出す。当然だ。こいつらは俺のようなやつを捕まえるのが仕事だ。
「今までそんなこと考えたこともありませんでした。だけど、もし年の離れた弟が黒髪で生まれてきていたら、きっとかくまうと思います」
「俺もです。今妻が妊娠していますが、生まれてきた子供がもし黒髪だったら……」
ウィルフレッドは、団員の肩をポンとたたいた。
「分かってくれたらいいんだ。イアンはおそらく家族からも見放されていたんだろう。誰からも愛されないと、人を信用することができなくなる。だからその愛情というものを、私が教えてやりたいんだ」
「だから子供の姿に?」
「そうだ。人生のやり直しをさせてやりたい」
ウィルフレッドは、抱いたままの俺を見てニッと笑った。
※イアンの着ていた服も魔法で小さくなりました
「はー、ひゅー、はーっ、はー」
荒かった呼吸が少しずつ元に戻り、痛さもだんだんと和らいできた。もう大丈夫だと体から力を抜いた。
だけどまぶしい光がまだ続いているせいで視界が悪い。
全く、とんだ化け物だ。闇魔術士だなんてばかげた名称をつけられている俺よりも、計り知れない力を持っている。それなのに金髪碧眼のせいで、俺とは違って敬われているわけだ。
よいしょと立ち上がり手や服についた泥を払う。光が収まり開けてきた視界で見た光景に俺は愕然とした。
でかっ!!
俺を見る聖騎士団の面々が巨大化していた。これはなんだ? 新手の魔法か?
戸惑い驚く俺を団長のウィルフレッドが抱き上げた。
「てえぇ、なにちやがるんだ。おろちぇ!」
なんだ、この幼児語は! 俺の口から出た言葉か?
わけがわからなくてパニック状態だが、とにかくこの男から離れなければ。
足をバタバタしたりギュウギュウと手で押したりしてもウィルフレッドは楽しそうに笑っている。
ならばと、至近距離から炎をおみまいしようかと思ったが、どういうわけか、かわいい炎がちょろっと出ただけで大した影響はなかった。
俺の魔法どうなった!!?
急に無くなった力とうまく回らなくなった舌に戸惑いを隠せない俺を、ウィルフレッドは困ったような笑顔で見ていた。
「すごいですね、団長。俺、初めて見ました。幼児化の魔法」
なに? 幼児化の魔法?
こいつ俺に魔法をかけたのか?
それでもって相手がでかくなったわけじゃなく、俺が小さくなったってわけ?
「どういうちゅもりだ。バカヤロー!!!」
手足をバタバタさせて抵抗すると、俺を抱く腕の力が余計に増した。
「君のことは、私が保護する」
「……は?」
「みんなよく聞け。イアンは私にやられて大怪我を負ったあと、隙を見て逃げたと報告する。異論のあるものは手を上げてくれ」
ウィルフレッドの言葉に、二人が手をあげた。
「俺は反対です。陛下はこの闇魔術士を殺しても良いと仰っていました。それは実質殺せという命令だと思います。それに逆らったことが陛下にばれでもしたら団長もどうなるか分かりません」
「俺も同意見です。この男を助けたことで団長の立場が悪くなるのをよしとしません」
「私の立場を危惧してくれているのか?」
「そうです」
「だとしたら、それは不要だ。……考えてみてくれ。もしも君の大事な家族が黒髪黒い瞳で生まれてきたらどうする? 殺しても良いと思うか? 違うだろ? 王家の考えは自分たちの立場を弱くしたくないためだけの姑息なものだ」
え?
俺は耳を疑った。そんなふうに言ってもらったことなんて一度だってない。
だけど、このウィルフレッドという男なら言いそうな言葉だと思った。こいつは俺と遭遇するたびに、君を助けたいだの困ったことがあったら俺のところに来いだの、そんなことばかり言っていたから。
それもこれも俺を捕まえるための方便だと思って信じてなんていなかったけど。
「団長……」
団員たちは困惑した声を出す。当然だ。こいつらは俺のようなやつを捕まえるのが仕事だ。
「今までそんなこと考えたこともありませんでした。だけど、もし年の離れた弟が黒髪で生まれてきていたら、きっとかくまうと思います」
「俺もです。今妻が妊娠していますが、生まれてきた子供がもし黒髪だったら……」
ウィルフレッドは、団員の肩をポンとたたいた。
「分かってくれたらいいんだ。イアンはおそらく家族からも見放されていたんだろう。誰からも愛されないと、人を信用することができなくなる。だからその愛情というものを、私が教えてやりたいんだ」
「だから子供の姿に?」
「そうだ。人生のやり直しをさせてやりたい」
ウィルフレッドは、抱いたままの俺を見てニッと笑った。
※イアンの着ていた服も魔法で小さくなりました
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