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第一章
ぐったりだ
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湯船の中とは言え、裸の男に裸で抱っこされている俺……。
気色悪いんだよ!
「はなちぇよ、はなちぇってば!」
爪を立ててもお湯をパシャパシャしても、こいつは一向に構わない。ただ、楽しそうににこにこと笑っている。どういう神経だ?
「イアン、ちょっと落ち着けよ。子供は大人に抱っこされるのは嬉しいものなんだぞ」
「はあ? だれがこどもりゃよ」
「……ああ、イアンはもう大人だな。だけど普通なら誰しもが通っている子供時代を君は知らないままだ。その欠落している部分を、これから私と一緒に埋めていこうと言っているんだ」
ジャリッと気持ちの悪い何かに触れた気がした。
イライラと、気持ちの悪い怒りが増してくる。
「おれは、おまぇみたいに、なにもしりゃないくしぇにきれいごとばっかりいってるやつがらいきらいなんらよ! これかりゃいっしょにうめてこう? はあ? にゃにいってんら、バーカ! そんなおままごとみたいなことして、にゃにがかわりゅっていうんらよ!」
思いっきり悪態をつくと、ウィルフレッドの顔つきが変わった。俺の頬を両手で挟んで俺と目を合わせる。
「知らないから腹が立つから何か変えたいと思ってるんだ! この国がおかしいことや歪んでいることは私にも分かる!」
あまりの気迫に、俺はあっけにとられた。
「王家が白といえば白、黒と言えば黒なのか? おかしいと思わないか? 己の権力を盤石にしたいがために、他者を貶めていいわけがない。君は君の持っている力を、もともと悪いことに使おうと思っていたわけじゃないだろう? 周りのひどい仕打ちが君を追い詰めたんだ。だから私は君に嫌がられようが誰かに止められようが、君を保護して幸せだと思ってもらえるようにする! 絶対だ!」
「……おまぇ、バカ?」
「バカでいいさ。いずれは君のような存在を、この国で認めさせてやる。それが今の私の目標だ」
「…………」
そんなことできるわけないだろうと言おうと思って口を閉じた。あまりにもこいつの目が真剣で、反論するのもバカバカしくなってきたからだ。
だけどそんなことは夢物語だ。俺を迫害してくるのは王家の連中だけじゃない。自分の家族だって、俺を忌み嫌って虐待していたっていうのに。
黒い瞳に黒い髪。
「なあ、おれいがいに、こんにゃかみやめのやつみちゃこっあるか?」
俺は自分以外にそんな存在を見たことすらない。いるんだろうか、この国に。俺以外にこんな存在が。
ウイルフレッドは泡を作って俺の体にこすりつけた。ちょっと、くすぐったい!
「まだ会ったことはないが、いる可能性はあると思う。家族に大事に保護されているならいいが、そうじゃなければ救い出さなきゃいけない」
真面目なことを言いながら、こいつの手は俺の体を撫で回している。首から肩から脇へと進む。
「ちょっ、んっ……くすぐっちゃ。やめりょ……!」
体をくねらせて逃げようとするけど、がっしり捕まえられて逃げられない。
「体をきれいにしてるんだよ、我慢しろ」
「だかりゃじぶんれ……、ギャハハ……やるっちぇ……はなちぇ。ヒャハハハッ」
「こら、暴れるな」
「だったりゃじぶんでやらせりょ。……あ、そんなとこさわりゅにゃ! バカやりょー……! ギャハハハハッ」
すったもんだの末、結局ウィルフレッドに全部体を洗われぐったりとした俺は、彼に抱えられてバスルームを後にした。
気色悪いんだよ!
「はなちぇよ、はなちぇってば!」
爪を立ててもお湯をパシャパシャしても、こいつは一向に構わない。ただ、楽しそうににこにこと笑っている。どういう神経だ?
「イアン、ちょっと落ち着けよ。子供は大人に抱っこされるのは嬉しいものなんだぞ」
「はあ? だれがこどもりゃよ」
「……ああ、イアンはもう大人だな。だけど普通なら誰しもが通っている子供時代を君は知らないままだ。その欠落している部分を、これから私と一緒に埋めていこうと言っているんだ」
ジャリッと気持ちの悪い何かに触れた気がした。
イライラと、気持ちの悪い怒りが増してくる。
「おれは、おまぇみたいに、なにもしりゃないくしぇにきれいごとばっかりいってるやつがらいきらいなんらよ! これかりゃいっしょにうめてこう? はあ? にゃにいってんら、バーカ! そんなおままごとみたいなことして、にゃにがかわりゅっていうんらよ!」
思いっきり悪態をつくと、ウィルフレッドの顔つきが変わった。俺の頬を両手で挟んで俺と目を合わせる。
「知らないから腹が立つから何か変えたいと思ってるんだ! この国がおかしいことや歪んでいることは私にも分かる!」
あまりの気迫に、俺はあっけにとられた。
「王家が白といえば白、黒と言えば黒なのか? おかしいと思わないか? 己の権力を盤石にしたいがために、他者を貶めていいわけがない。君は君の持っている力を、もともと悪いことに使おうと思っていたわけじゃないだろう? 周りのひどい仕打ちが君を追い詰めたんだ。だから私は君に嫌がられようが誰かに止められようが、君を保護して幸せだと思ってもらえるようにする! 絶対だ!」
「……おまぇ、バカ?」
「バカでいいさ。いずれは君のような存在を、この国で認めさせてやる。それが今の私の目標だ」
「…………」
そんなことできるわけないだろうと言おうと思って口を閉じた。あまりにもこいつの目が真剣で、反論するのもバカバカしくなってきたからだ。
だけどそんなことは夢物語だ。俺を迫害してくるのは王家の連中だけじゃない。自分の家族だって、俺を忌み嫌って虐待していたっていうのに。
黒い瞳に黒い髪。
「なあ、おれいがいに、こんにゃかみやめのやつみちゃこっあるか?」
俺は自分以外にそんな存在を見たことすらない。いるんだろうか、この国に。俺以外にこんな存在が。
ウイルフレッドは泡を作って俺の体にこすりつけた。ちょっと、くすぐったい!
「まだ会ったことはないが、いる可能性はあると思う。家族に大事に保護されているならいいが、そうじゃなければ救い出さなきゃいけない」
真面目なことを言いながら、こいつの手は俺の体を撫で回している。首から肩から脇へと進む。
「ちょっ、んっ……くすぐっちゃ。やめりょ……!」
体をくねらせて逃げようとするけど、がっしり捕まえられて逃げられない。
「体をきれいにしてるんだよ、我慢しろ」
「だかりゃじぶんれ……、ギャハハ……やるっちぇ……はなちぇ。ヒャハハハッ」
「こら、暴れるな」
「だったりゃじぶんでやらせりょ。……あ、そんなとこさわりゅにゃ! バカやりょー……! ギャハハハハッ」
すったもんだの末、結局ウィルフレッドに全部体を洗われぐったりとした俺は、彼に抱えられてバスルームを後にした。
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