幼児化した闇魔術士は聖騎士に溺愛される

くるむ

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第二章

すごいニュース 2

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「ニール、落ち着け。もう少し静かに入ってこれないのか」
「これが落ち着いていられるか! 聖女が見つかったらしい」
「……は? 本当か?」

「ああ。平民で、ナターシャという少女らしい。彼女の隣の住人が強盗に襲われて血まみれになったのを見て、聖女の力が発現したらしい。ヘルム伯爵が連れてきたそうだ」

「聖女か……。ニールは、まだその彼女には会っていないんだな」
「会ってはいない。けど、聞いた話だとかなり綺麗な子らしいぞ」
「なるほど。で、聖女の力とはどういった感じだったんだ?」
「え? ああ、切り傷はもちろん、刺された傷も綺麗に治ったらしい。ヘルム伯爵が、その目でしっかり見たとおっしゃっていた」
「ヘルム伯爵が? そうか……、ということは本当に聖女だったんだな」
「なんだ、疑ってたのか?」

「仕方ないだろ。聖女なんてもう伝説級の生き物だと思っていたからな。……でも、そうか。この時代に聖女が現れてくれたのなら、もっと住みやすい世の中になりそうだ」

「そうだな。さて、気分がよくなったところで俺も体を動かしに行ってくるかな。団長は?」
「ちょっと待て。すぐにこの分を終わらせるから」

 残りをさっさと済ませて、ニールと一緒に聖騎士団室を後にした。
 大広場に行くと、団員たちが剣や魔法を使い手合わせしている。

「団長、久しぶりに手合わせ願おう!」
「よし! じゃあ今日は魔法を封印して、剣の腕だけで」
「乗った!」

 剣を構えてニールと向かい合う。いざ!と思うとほぼ同時に、ズドドドドと凄まじい音が近づいてきた。獣魔のプリンとカスタードがすごい勢いでこちらにやってくる。

「おいおい……」
 背に乗れと言いたいのか、私のそばにぴたりとくっつく。そして動かずに待っている。ニールの方を見ると、同じようにカスタードが彼のそばにおとなしく寄り添っていた。

「しょうがないな。場合によっては馬上で戦うこともあるわけだし」
「よーし、受けてたつぞ」
 楽しそうに返事をしたニールがカスタードにまたがる。
 私もプリンにまたがると、彼はうれしそうに少し体を震わせた。

「ロング」
 剣を長くする魔法をかけた。それとほぼ同時に、プリンが速度を上げる。カスタードも同じように並走した。
 ニールと私はほぼ同時に剣を振り上げた。ガシンと鈍く大きな音がして、剣と剣がぶつかり合う。彼の剣さばきは力強くて重い。剣の腕前だけで言えばおそらく第一聖騎士団一と言えるだろう。容赦なく剣を振りかざしてくる。

「くそっ」
 ガシンガシンと鈍い音が続く。
 いつの間にか防戦一方になっていた。立て直そうと隙を見て振るった剣がうまくいき、ニールはるような姿勢になった。
 剣を払おうと今度はこちらから攻める。勢いよく何度も振るう剣に、ニールは顔をしかめた。
 だがさすがニールで、やられっぱなしではなかった。隙を突いて、顔の真ん前に突き刺すように剣を出してきた。
 焦った。
 と思ったと同時に、彼の剣がまた容赦なく降り注がれる。

 ガシンガシンとしばらく鈍い音が続いた後――。

「あっ!」
 カツーンと軽い音が響き、私の手から剣が弾き飛ばされた。宙を舞ったあと十メートルほど先の地面に突き刺さった。

「……負けたな」
 ニールが強いとわかっていても、負けたとなるとやはり悔しい。自然と低い声になったのに、ニールの方はそれほど嬉しそうではなかった。
「魔法無しだからな」
 ニールが肩をすくめる。

「君の剣技が、戦いの時に力強い味方だということは間違いないよ」
「いや、まあ……それはそうかもしれないけどさ」
「なんだ、珍しいな。照れているのかニール」
「バ、バカなに言って……。あれ?」

 ニールの視線が遠くになった。何かに気がついたようだ。気になって私もその方向を見て、

「え?」
 自分の眉間にしわが寄ったことを認識した。

 巡回終了にはまだ早い時間に、第二王子と二班が帰ってきていた。
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