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第二章
今の俺
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ウィルから聖女の話を聞いてからもう一週間以上経つというのに、屋敷の中では、時々その話で盛り上がる。
名前はナターシャ。平民出身でかわいい子らしい。聖女ということだから、きっと性格もいいに違いないだろう。どのくらいの魔法が使えて、どのくらいの魔力持ちなのか。ウィルフレッド様よりもすごいのだろうかと。
会ったこともないんだから、性格がいいかどうかなんて分からないのに。しかもウィルより凄かったらとんでもないだろうに。
みんなのはしゃぐ声がうっとうしくなって、俺は庭に出てきていた。暇なので、しゃがんで土をいじる。土を集めて握り、団子を作るようにコロコロと手のひらの上で転がす。
「ちっこい手」
幼児化の魔法をかけられてから、もう三ヶ月くらいか。あれから一度も魔法を使っていない。
そういえば、俺はこれでも少しずつ成長しているんだよな。少しは魔力も、戻ってきていたりするんだろうか。
……ちょっと試してみるか。
「フレイム」
ボッと炎が勢いよく噴き出したがそれだけで、広がることなくすぐに消えた。だけど幼児化され初めて出した炎の時と違い、明らかに量も勢いも増していた。
「とは言っても、こんな魔力じゃ何の役にも立ちそうにないな」
ため息をついて、広い庭園を見回す。
水魔法はどうなんだろう。
「ウォーター」
ピンクの花に狙いを定めてみた。
やっぱりどう見てもみすぼらしい魔力で、花の頭上三十センチくらいからパラパラと細かい雨のようなものが数秒落ちて来ただけだった。
がっくりと、体から力が抜けた。
「あー、もうなんだよ。おもしろくねーなー」
不貞腐れてしゃがんで風に吹かれているうちに、もう何年も前のことを思い出していた。
家を追い出されるように出て行った後、必死で自分の魔力をあげることに専念していた。生きるためだった。なのに黒髪と黒い瞳のせいで知りもしない他人から追い立てられ石を投げられ攻撃された。だから今度は見返すために、そして復讐するために腕を磨いた。
そんなことばかり考えていたから、俺の力は禍々しくなり、さらにみんなから疎まれた。
「はあっ」
「 大きなため息ですね」
リースの声だ。足音が近づいてくる。
思考の底に沈み過ぎだ。声をかけられるまで全く気がつかなかった。
「そろそろウィルフレッド様がお帰りになりますよ」
「ふーん」
別にそれがどうしたってんだよ。
「そうそう。メイド長がおっしゃってました。メガネができたから、ウィルフレッド様が今日取りにいかれるはずですって」
「えっ?」
勢いよく振り返った俺に、リースが楽しそうに笑った。
名前はナターシャ。平民出身でかわいい子らしい。聖女ということだから、きっと性格もいいに違いないだろう。どのくらいの魔法が使えて、どのくらいの魔力持ちなのか。ウィルフレッド様よりもすごいのだろうかと。
会ったこともないんだから、性格がいいかどうかなんて分からないのに。しかもウィルより凄かったらとんでもないだろうに。
みんなのはしゃぐ声がうっとうしくなって、俺は庭に出てきていた。暇なので、しゃがんで土をいじる。土を集めて握り、団子を作るようにコロコロと手のひらの上で転がす。
「ちっこい手」
幼児化の魔法をかけられてから、もう三ヶ月くらいか。あれから一度も魔法を使っていない。
そういえば、俺はこれでも少しずつ成長しているんだよな。少しは魔力も、戻ってきていたりするんだろうか。
……ちょっと試してみるか。
「フレイム」
ボッと炎が勢いよく噴き出したがそれだけで、広がることなくすぐに消えた。だけど幼児化され初めて出した炎の時と違い、明らかに量も勢いも増していた。
「とは言っても、こんな魔力じゃ何の役にも立ちそうにないな」
ため息をついて、広い庭園を見回す。
水魔法はどうなんだろう。
「ウォーター」
ピンクの花に狙いを定めてみた。
やっぱりどう見てもみすぼらしい魔力で、花の頭上三十センチくらいからパラパラと細かい雨のようなものが数秒落ちて来ただけだった。
がっくりと、体から力が抜けた。
「あー、もうなんだよ。おもしろくねーなー」
不貞腐れてしゃがんで風に吹かれているうちに、もう何年も前のことを思い出していた。
家を追い出されるように出て行った後、必死で自分の魔力をあげることに専念していた。生きるためだった。なのに黒髪と黒い瞳のせいで知りもしない他人から追い立てられ石を投げられ攻撃された。だから今度は見返すために、そして復讐するために腕を磨いた。
そんなことばかり考えていたから、俺の力は禍々しくなり、さらにみんなから疎まれた。
「はあっ」
「 大きなため息ですね」
リースの声だ。足音が近づいてくる。
思考の底に沈み過ぎだ。声をかけられるまで全く気がつかなかった。
「そろそろウィルフレッド様がお帰りになりますよ」
「ふーん」
別にそれがどうしたってんだよ。
「そうそう。メイド長がおっしゃってました。メガネができたから、ウィルフレッド様が今日取りにいかれるはずですって」
「えっ?」
勢いよく振り返った俺に、リースが楽しそうに笑った。
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