幼児化した闇魔術士は聖騎士に溺愛される

くるむ

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第三章

王太子 2

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 警備の全体像が決まり、配置する人員もほぼ固まった。最終的な調整や報告は近衛師団が行うことになりはしたが、人員の配置の変更はないということなので、私たちはそれぞれの団員たちに報告し、現場の状況を再度確認しに向かうことにした。

「では、私たちはこれで失礼します」
「ご苦労」
 私とヘイグは王太子の返事を聞き、一礼して部屋を出た。二人して足早に聖騎士団室へと戻る。

「そういえばパレードの際、聖女と一緒に馬車に乗るのはクリストファー殿下なんだな」
「らしいな。誰が同乗していても、ピーターと近衛師団のミッチェル殿が並走するから問題はない」
「セルジュ殿も前方を走るのだよな。あの方も護衛に慣れているから、たとえ何かがあったとしても大事には至らないだろう」
「そうだな。お互い万全を尽くそう」
「ああ、じゃあな」

 ヘイグと別れて、私はそのまま第一聖騎士団室へと向かった。早足で歩いていると、「ウィルフレッド殿」と声がかかった。振り向くと王太子とその側近フォード殿がこちらに向かってくる。不敬にならないようにと姿勢を正した。

「何かご用でしょうか?」
「君に少し聞きたいことがあってね。イアンを捕らえ損なったと聞いているが、その後の消息は本当に知らないのか?」
「はい、本当に知りません」
「……そうか。捜してはいるのか?」
「陛下のご命令ですから。ですが私どもには他にしなければならない仕事がありますから、それだけに時間を割いているわけにはいきません」

 王太子は人格者という話は聞いているが、殿下の真意がどこにあるのかわからないので滅多なことは言えない。慎重に言葉を重ねる私に殿下も気がついたようで、苦笑いを浮かべている。

「君の噂はいろんな方面から聞いているよ」
「恐縮です」

 頭を下げると、「そう畏まらないでくれ」と言われた。

「今度サンドラと孤児院に慰問に行く予定なんだが、その時もし良ければ同行してくれるか?」
「えっ? 私がですか?」
「いやか?」
「滅相もありません。ですが突然のことで驚きました」
「そうか。では日程が決まったら連絡するので、よろしく頼むよ」
「――かしこまりました」

 去っていく王太子殿下らに一礼して見送りながら、ため息をついた。
 本当なら、もっとイアンに対する王太子の考えを知りたいと思ったんだが、いざとなるとなかなかうまく切り込めなかった。

 それにしても王太子の護衛か。わざわざ私に頼むということは何か考えがあるのだろう。意図がわからず厄介だと思うけれど、殿下の人となりを知るには悪くないかもしれないとも思った。
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