幼児化した闇魔術士は聖騎士に溺愛される

くるむ

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第三章

王太子

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 聖騎士団の仕事は、聖女が現れたおかげでだいぶ楽になっていた。巡回こそするものの本来の浄化の仕事はほとんどなく、治安維持の方に目を向けることができるようになっていた。

 そんな状況のなか、聖騎士団団長の私とヘイグは近衛師団の部屋で地図を広げ、警備にあたる者達と意見を交わしていた。
「この辺りは路地が多いから少し注意が必要だな」
「聖女様に害を成そうとする奴がそうそう居るとは思えないけど、目を光らせるに越したことはないだろう」
「そうだな。沿道には大勢の人たちが詰めかけるだろうから――」

 ドアをノックする音がして、側近のデーブ・ジェームズ・フォードを連れた王太子が入ってきた。
「すまない、遅くなった」
「王太子殿下、こちらこそご足労申し訳ありません。だいたいの警備は決まったのですが、見ていただけますか?」
「ああ、見せてくれ」

 近衛師団長が地図を広げて王太子に説明する。王太子も熱心に耳を傾けている。
 王太子は第二王子に比べて、偏見のないしっかりとした人物に私には映っていた。王太子妃殿下と孤児院に慰問に行く姿を何度か見かけたことがあった。

「しっかりとした警備態勢だな。これなら言うことはないだろう」
「ありがとうございます。ではこれをもとに、」

「すみません、もう一つ確認しなければいけないことを忘れていました。陛下が、イアンが聖女のパレードを妨害するのではないかと危惧しておられました。せめて遺体を見ないと安心できないと。イアンの件はどうなっていますでしょうか?」

 近衛師団長の私への問いかけに、王太子殿下が眉間にしわを寄せた。
「……殿下?」
「イアンを見つけたら陛下には言わず、まず私に報告してくれ」
「えっ?」
 一同驚いた表情で王太子を見た。

「いや、そんなに驚くことではない。陛下は何でも自分でなされようとするから、私からすれば越権行為が多いのだ。まずは最初に私が調べて、それからどうするかを決めるのが筋だというものだ」

「そういうことでしたか。たしかにまずは殿下に報告するのが筋ですね。かしこまりました、イアンを捕縛したら、王太子殿下にまずはご報告致します」

「そうしてくれ。陛下には私の方から報告するので、君らが直接陛下に報告する必要はない」
「かしこまりました」

 頭を下げつつ、王太子殿下の真意がどこにあるのだろうかと考えた。
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