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第二章
寝起きも可愛い(そんなわけない……)
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ドサッ……。
へ?
せっかく起き上がったのに、駿介が俺をベッドに押し倒した。そしてピントが合うぎりぎりの距離で、俺を見ている。
……本当に綺麗な顔だ。男らしいのに色っぽくて。こんな顔に見つめられたら誰だって……。
うわっ……!!
俺今、寝起きで超不細工な顔なんだよ!
「駿介、……ちょっ!」
「可愛いからな」
「……、え?」
「真紀は寝起きでもちゃんと可愛い」
カアアッ…… !
「何言ってんだ……っ」
「可愛過ぎるんだよお前は。自覚しろ」
ええっ!? 何言ってんの駿介?
「駿介、視力悪いんじゃ……!? ひゃあっ!」
ベッドに抑え付けられたそのままの状態で、駿介がギュッと俺を抱きしめた。顔を俺の首筋に埋められて、吐息がかかりとんでもない声が漏れる。
ちょ、ちょっと待って……。ベッドの上でのこの状況。もう寝ぼけている訳じゃないから、ものすごく居たたまれない。
密着して乗っかられている重みと少し早い心臓の響き、それと体温が……!
「こっちは理性ギリギリなんだよ。真紀に嫌われたくないから我慢してるけど……」
ぶわっ……!
理性ギリギリって、我慢って!
駿介の爆弾発言に、今度は俺の心臓が駿介以上にヤバい事になってきた。聞いたこともないくらいの激しい音が、俺の体の中から聞こえてくる。
ドクンドクン、ドクンドクン ……。
うわわ、ヤバい。ヤバいよ。
こんなに密着してて、この心音! 絶対に駿介にバレちゃうし……!
「…………」
「…………」
絶対気が付いているんだろうけど、駿介は俺の煩さくなった心音のことに触れる事はなかった。ただ抱きしめる腕の力を強くして、じっとしている。
どのくらいじっとしていただろうか?
この静かな部屋で唯一聞こえるドクンドクンという心臓の音。それは俺の物だけではなくて、駿介の物も交じっている。
その重なるように響く音が、どういうわけか段々心地よくなってきて……。
「こら、寝るなよ」
「……!」
甘さを抑えた低い声。
そうだった。トロトロしてる時間はなかった。
「…………」
ちょっぴり躊躇したけど、俺は開き直って駿介の体に思いっ切りぎゅうっと抱きついてみた。
「ま……、真紀?」
うれしさが混じった戸惑う声。恥ずかしいけれど、心の奥がじわじわと温かくなる。
……俺、駿介のことやっぱり好きなんだよな。
ただ問題は、好きの種類だ。
だってさ、もし俺が駿介のことを恋愛感情で好きだったとしたら、樹とくっついて幸せになって欲しいだなんて考えるわけないと思うんだ。
まあ今はもう駿介は樹のことを好きじゃなくなっちゃってるし、樹も良介の事を好きなわけだから、無理に二人をくっつけようとは思わないけど。
だけど――。
青島の言うように、あの三森という一年生は気に入らなかったんだよな……。
ああ、やっぱりわからん!
俺はしがみついていた腕の力を抜き、駿介から体を離した。
「……顔洗ってくる」
「ああ、行ってらっしゃい」
戸惑いと気恥ずかしさ、いろんな思いが交差する。
ベッドを下りた俺は、洗面所へと駆け込んだ。
へ?
せっかく起き上がったのに、駿介が俺をベッドに押し倒した。そしてピントが合うぎりぎりの距離で、俺を見ている。
……本当に綺麗な顔だ。男らしいのに色っぽくて。こんな顔に見つめられたら誰だって……。
うわっ……!!
俺今、寝起きで超不細工な顔なんだよ!
「駿介、……ちょっ!」
「可愛いからな」
「……、え?」
「真紀は寝起きでもちゃんと可愛い」
カアアッ…… !
「何言ってんだ……っ」
「可愛過ぎるんだよお前は。自覚しろ」
ええっ!? 何言ってんの駿介?
「駿介、視力悪いんじゃ……!? ひゃあっ!」
ベッドに抑え付けられたそのままの状態で、駿介がギュッと俺を抱きしめた。顔を俺の首筋に埋められて、吐息がかかりとんでもない声が漏れる。
ちょ、ちょっと待って……。ベッドの上でのこの状況。もう寝ぼけている訳じゃないから、ものすごく居たたまれない。
密着して乗っかられている重みと少し早い心臓の響き、それと体温が……!
「こっちは理性ギリギリなんだよ。真紀に嫌われたくないから我慢してるけど……」
ぶわっ……!
理性ギリギリって、我慢って!
駿介の爆弾発言に、今度は俺の心臓が駿介以上にヤバい事になってきた。聞いたこともないくらいの激しい音が、俺の体の中から聞こえてくる。
ドクンドクン、ドクンドクン ……。
うわわ、ヤバい。ヤバいよ。
こんなに密着してて、この心音! 絶対に駿介にバレちゃうし……!
「…………」
「…………」
絶対気が付いているんだろうけど、駿介は俺の煩さくなった心音のことに触れる事はなかった。ただ抱きしめる腕の力を強くして、じっとしている。
どのくらいじっとしていただろうか?
この静かな部屋で唯一聞こえるドクンドクンという心臓の音。それは俺の物だけではなくて、駿介の物も交じっている。
その重なるように響く音が、どういうわけか段々心地よくなってきて……。
「こら、寝るなよ」
「……!」
甘さを抑えた低い声。
そうだった。トロトロしてる時間はなかった。
「…………」
ちょっぴり躊躇したけど、俺は開き直って駿介の体に思いっ切りぎゅうっと抱きついてみた。
「ま……、真紀?」
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ただ問題は、好きの種類だ。
だってさ、もし俺が駿介のことを恋愛感情で好きだったとしたら、樹とくっついて幸せになって欲しいだなんて考えるわけないと思うんだ。
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だけど――。
青島の言うように、あの三森という一年生は気に入らなかったんだよな……。
ああ、やっぱりわからん!
俺はしがみついていた腕の力を抜き、駿介から体を離した。
「……顔洗ってくる」
「ああ、行ってらっしゃい」
戸惑いと気恥ずかしさ、いろんな思いが交差する。
ベッドを下りた俺は、洗面所へと駆け込んだ。
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