近くにいるのに君が遠い

くるむ

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俺を見て?

見ないふりをするのは本当に楽なのか

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「水、大丈夫か?」
「シロ…?」

皆の声で意識が浮上する。

「あ、れ?」

目を開けると心配そうなみんなの顔が合った。
どうやら俺は知らない内に眠ってしまっていたようで、さっきよりは少し落ち着いていた。

「うん、大丈夫そう。ゴメン、心配かけて」

そう言うと、俺の一言でみんな安心したように肩の力を抜いたようだった。
時計を見ると六時を既に回っていた。

「俺、シロに負担かけ過ぎちゃったのかな。もしかして、モデルやるのって、シロには凄い苦痛だった?」

千佳が心配そうに俺の隣にやってきて、眉を下げて情けない顔をする。
自分のせいだと思い悩んでいたんだろうか、こんな千佳を見るのは初めてだった。

「あ、ううん。そうじゃないよ。いくら俺でも、あんだけのことで参ったりしないから、安心して」

少しはそういう気を張った疲れもあったかもしれないけど、それは些細な事だ。
笑って千佳に答えたら、やっと安心したようで千佳は「そっか」と言ってホッとした顔を見せてくれた。


部室を出て、帰路に着く。
普段ならみんなもっと足は早いはずなのに、今日は俺に気を遣ってくれているのか足取りはゆっくりだった。

中庭を通った辺りで要さんが立ち止まる。

「じゃ、俺は涼さんのトコに顔出してみるから。…シロ」
「あ、はい」

要さんが俺にゆっくりと近づいてくる。

「…お前は弱いようでも、芯はちゃんと強いよな? 俺がなにを言いたいのか分かるか?」

意味深な言葉を真剣な表情で言われて、胸の奥にしまわれている俺の気持ちがコトリと動く。

…もしかして要さん、何か気づいてる?

「…わかりません」

唇を噛んで下を向く俺に要さんは、くすりと笑った。

「分かってんじゃねーか。まあ、良い。気を付けて帰れよ」
「…はい」

要さんが手を振って職員室の方へと歩いて行く。俺らはそれを見送って、又歩き出した。


仮眠して起きてから、心配して陸が傍に付いていてくれてるのも感じてはいたけれど、俺は陸の方に顔を向ける事が怖くて出来ないでいた。もしかしたらそんな俺の不自然な態度で、敏感な要さんに俺の気持ちの葛藤を気が付かれてしまったのかもしれない。




そしていつものように皆と別れて、とうとう陸と二人の時間が訪れてしまった。 
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