冤罪をかけられた聖女見習いは同情して助けてくれたイケメン騎士と楽しく暮らす

くるむ

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このお店、いいと思います

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「ココ……」

 アルバート様は自分を掴んでいる私の手を見た後私の顔を見た。驚いた表情はだんだん崩れてなんだか甘い顔へと変化していた。金髪じゃなくても天使度マックスです。
(ごふっ!) は、破壊力最強……!

「悪いね。見た通り連れがいるんだ。荷物は偶然とらえる機会があっただけだから、あまり気にしないでくれ」
「あ……はい」

 噛んでいい含めるようにアルバート様に言われてやっと諦める気になってくれたようだ。彼女は微妙な顔をしたけれど、手を離し、ぺこりと挨拶をして去っていった。

「あ……はは」
 女性がいなくなってから私はなんだかすごくいたたまれない気分になってしまった。アルバート様を掴んでる手をどうしよう。いやどうも何も、離すしかないわけなんだけど。
 
 そっと手を離そうとすると、逆に反対側の手でアルバート様に掴まれてしまった。私がわたわたしている傍では、さっきの窃盗犯が呼ばれた役人に連れて行かれていた。

「先ほどは、本当にありがとうございました」
「いや、大したことはしてないよ。それよりも、こういう犯罪は多いのか?」

「まあまあ、ありますね。よそからうちに商売をしようと夢を持って訪れた人たちが、うまくいかずに犯罪に走るケースはままあることです」

「なるほど」

 大らかでいい国に違いはないのだろうけれど、いい面ばかりではないということだ。そして繋がれたままのわたしの手も、ドキドキと気持ちを高揚させるとともに、手汗というまずいものまで感じてしまい、別の悪い意味でも私の気持ちをドキドキさせていた。

「席は空いてるよな」
「もちろんです。どうぞ」

 店主がドアを開けて、私たちをいざなってくれた。
 空いている席を見つけたところでやっとアルバート様の手が離れていった。ちょっと寂しかったけれど、手汗を気持ち悪いと思われたらどうしようという気持ちから解放されてほっとしたのもまた事実だ。

 店内では店員が忙しそうに走り回って注文を聞いたり運んだりしていた。本当に忙しそうだ。

「ご注文は何にいたしましょう。パンとスープのセットを基本に、肉料理に卵料理、それからサラダも付けられますよ」
「じゃあ俺は、ポークソテーにポテトサラダを大盛で。ココはどうする?」
「ええっと、じゃあ、目玉焼きの両面焼きとポテトサラダは小盛で」
「少々お待ちください」

 店員は素早く厨房近くまで歩いていき、大声で注文をしていた。アルバート様は店内を確認するように、キョロキョロしている。

「さっきの泥棒は論外だが、掃除も行き届いているし店としては悪くないようだな」
「そうですね。感じいいと思います」

  ほどなくして出てきた料理はどれもこれも美味しくて、私とアルバート様は目と目を合わせうんうんと大きく頷いたのだった。
 

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