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第六章
ランチデート♪ 4
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何とも言えない微妙な空気が流れる。
固まる僕をチラッと横目で見たロベールが、手近のデザート皿にそこらのスイーツを数個乗っけて、ついでに僕が手にしている皿の上にドカッとティラミスを乗っけた。
「ほら、行くぞ」
「え? あ、うん」
促されてしょうがなくその場を後にするけど、僕の皿にはティラミスしか乗ってない。
そりゃ、大量だけど……。
ロベールが何に頭に来ているのか分からないけど、……もうー!ヽ(`Д´)ノプンプン
ロベールずるいよ! 自分は何種類も乗っけたくせにぃー!
自分たちの席に戻ってきて、剥れながらティラミスの乗ったデザート皿を自分の前に置く。そして席に着こうとしたとき、ロベールが寄ってきてティラミスの皿の隣に数種類のスイーツの乗っている皿を置いた。
「……え?」
「なんだ?」
驚く僕にロベールが振り返った。
「あ、いやその……。この皿……」
「なに?」
「や……、その。ロベールのじゃないの?」
「? 南のためにと思って取って来たんだが、いらないのか?」
「ううん、いる! いるけど! ロベールは、いいの……?」
「私は、もういい」
「……あ、そ、そうなんだ。……ありがと」
「……どういたしまして」
あ。
……まいったぁ。
ほんの少し、わずかに零れた彼の小さな笑みにキュンとした。
意図したものじゃなくって、すごく自然な笑みだったから。
――ねえ、ロベール、分かってるの?
僕はロベールのそんな些細なことにまで、こんなにキュンキュンするくらいバカみたいにロベールのこと好きなんだよ?
チラリと視線を上げてロベールを見ると、ロベールも僕を見ていてパチリと目が合った。そして自嘲するように苦笑した。
ホッ。
なんだか知らないけど、機嫌が戻ったようで安心した。
苦そうなブラックコーヒーを飲むロベールを見ながら、僕はこっそり胸をなで下ろしティラミスをぱくりと頬張る。
美味っ!
めちゃウマー!!
「ロベール、美味しい! これ、めっちゃうまい!」
「……そうか、良かったな」
「うん!」
ぱくぱくと完食して、ロベールが取ってくれたケーキもぱくり。
美味っ!
なに、これ? ベリー系?
甘酸っぱくて、めちゃうまなんですけどー!
く~!!
カチャリ。
え?
僕の目の前にはホカホカの紅茶。
びっくりして顔を上げると、いつの間に取りに行ってくれたのか、ロベールが紅茶を淹れて来てくれていた。
「口の中、甘くなって来ただろ?」
「う……、うん。ありがと……」
うわわ~。なんだかすごく甘やかされてるー。
……ん?
そう言えば、さっき。ロベールが痴漢から助けてくれた時……。
『どういうつもりだ。他人のモノを』
あの時は、目の前の状況に気を取られていて流してしまったけど。
僕、ロベールのモノなんだな……。
わっ、改めて思うとスッゲ恥ずかしい!
ひゃー、熱い熱い!
「……南」
「はい? て、えっ?」
な、何? またご機嫌斜め!?
ビビる僕に、ロベールは困ったような顔をして頭を掻いた。
「分かってる。……無意識なんだよな? 厄介な奴だ」
「……へ?」
「いや、いい。ほら、食べろよ」
「う、うん」
促されるまま、パクリとケーキを口に頬張る。口中に満たされる甘酸っぱい味。
く~、と感極まる僕の様子を眺めながら、ロベールも美味しそうにコーヒーを飲みほした。
固まる僕をチラッと横目で見たロベールが、手近のデザート皿にそこらのスイーツを数個乗っけて、ついでに僕が手にしている皿の上にドカッとティラミスを乗っけた。
「ほら、行くぞ」
「え? あ、うん」
促されてしょうがなくその場を後にするけど、僕の皿にはティラミスしか乗ってない。
そりゃ、大量だけど……。
ロベールが何に頭に来ているのか分からないけど、……もうー!ヽ(`Д´)ノプンプン
ロベールずるいよ! 自分は何種類も乗っけたくせにぃー!
自分たちの席に戻ってきて、剥れながらティラミスの乗ったデザート皿を自分の前に置く。そして席に着こうとしたとき、ロベールが寄ってきてティラミスの皿の隣に数種類のスイーツの乗っている皿を置いた。
「……え?」
「なんだ?」
驚く僕にロベールが振り返った。
「あ、いやその……。この皿……」
「なに?」
「や……、その。ロベールのじゃないの?」
「? 南のためにと思って取って来たんだが、いらないのか?」
「ううん、いる! いるけど! ロベールは、いいの……?」
「私は、もういい」
「……あ、そ、そうなんだ。……ありがと」
「……どういたしまして」
あ。
……まいったぁ。
ほんの少し、わずかに零れた彼の小さな笑みにキュンとした。
意図したものじゃなくって、すごく自然な笑みだったから。
――ねえ、ロベール、分かってるの?
僕はロベールのそんな些細なことにまで、こんなにキュンキュンするくらいバカみたいにロベールのこと好きなんだよ?
チラリと視線を上げてロベールを見ると、ロベールも僕を見ていてパチリと目が合った。そして自嘲するように苦笑した。
ホッ。
なんだか知らないけど、機嫌が戻ったようで安心した。
苦そうなブラックコーヒーを飲むロベールを見ながら、僕はこっそり胸をなで下ろしティラミスをぱくりと頬張る。
美味っ!
めちゃウマー!!
「ロベール、美味しい! これ、めっちゃうまい!」
「……そうか、良かったな」
「うん!」
ぱくぱくと完食して、ロベールが取ってくれたケーキもぱくり。
美味っ!
なに、これ? ベリー系?
甘酸っぱくて、めちゃうまなんですけどー!
く~!!
カチャリ。
え?
僕の目の前にはホカホカの紅茶。
びっくりして顔を上げると、いつの間に取りに行ってくれたのか、ロベールが紅茶を淹れて来てくれていた。
「口の中、甘くなって来ただろ?」
「う……、うん。ありがと……」
うわわ~。なんだかすごく甘やかされてるー。
……ん?
そう言えば、さっき。ロベールが痴漢から助けてくれた時……。
『どういうつもりだ。他人のモノを』
あの時は、目の前の状況に気を取られていて流してしまったけど。
僕、ロベールのモノなんだな……。
わっ、改めて思うとスッゲ恥ずかしい!
ひゃー、熱い熱い!
「……南」
「はい? て、えっ?」
な、何? またご機嫌斜め!?
ビビる僕に、ロベールは困ったような顔をして頭を掻いた。
「分かってる。……無意識なんだよな? 厄介な奴だ」
「……へ?」
「いや、いい。ほら、食べろよ」
「う、うん」
促されるまま、パクリとケーキを口に頬張る。口中に満たされる甘酸っぱい味。
く~、と感極まる僕の様子を眺めながら、ロベールも美味しそうにコーヒーを飲みほした。
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