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013-017 新種族との遭遇。命の危機

014 俺は油断をしない

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 等間隔の窓から包みこむような日差しが届いていた。石のほこらはほんのり暖かく、どこかで水のせせらぐ音がしている。

 大女神グレイアジルノーツは愛の女神。左手に復活の果実オウデレイアを持ち、右手には賛歌の歌メリーウェイの楽譜を持っている。

 黒目の無い白石造を前にして「あいつほんとに女神なんだな」それが率直な俺の感想だった。

 確かに実物は顔も整ってたし美乳でうっすい服装だったが、性格はそんなによろしくなかったぞ。笑い方もゲスかったし。花なんか絶対喜ばない。色を添えるように寄せられた花束が可哀想だ。

「これで、良いんですか?」

「ああ。そろそろ届くはず」

 メモ帳の文字を見ているとバウンティの文字が薄くなって消えていく。すっかりその項目だけ無くなると、俺は「よしっ」と拳を作った。女神像の足元にある生乳ソフトクリームが熱でとろけて真横に倒れた。

 エエマーを縛ったままで、まだ連れ歩いていた。実はこの辺りに供物くもつ泥棒がいるらしいんだ。そいつを何とかしてくれって願いもあるからついでにな。

「兄貴が転生者に喰われたってのは本当の話なのか?」

 獣の痕跡を探しながらエエマーに問う。

「本当だよ。たぶん」

「そこは『ええ、まあ』が使えるだろ」と、名前いじりするのはここまでにしておいて。俺はまだ高級寿司をご所望する人柄が、人間を襲って喰うなんて信じられないと考える。

「転生者の見た目は? どんなヤツだった?」

「そりゃあおっかないよ。全身真っ黒でさ、ゆらゆら立ってて爪と牙が鋭利なんだ。あいつは人間と目が合うとすぐに襲ってくる」

「四足歩行?」

「いいや二足で歩いてる。見た目は僕らと同じだよ。でも痩せ細っていて毛がなくて真っ黒だった」

 なにそれ気持ち悪っ。オークとかゴブリンみたいなモンスターじゃないのか。死神系だと思えば近いのかな。

 そして祠の裏に回ってきた頃。俺たちは、まさに想像と一致する生き物と出会った。

「……ちょうどあんな感じか」

「そう……そうだね。でも」やばいよ、と言う隙に。俺らの足音に気付いて、その真っ黒な顔がこちらを向いた。

「シャオオオオッッ!!」

 瞬間だった。黒く不気味なソレは、霧のような姿に変えて俺へ襲いかかる。逃げるという考えにも至らぬ早さで、俺の視界いっぱいを真っ暗な闇にした。そして俺の首を強い力で締めて離れない。

 い、息が……!! これは死ぬ。もがいてみようにも相手は霧だ。見つけた時は確かに人形に見えたが。

「エ、エエ……マ……」

 エエマーは得意な逃げ足を動かせない代わりに早口で詠唱を唱えている。こんな時に神に感謝してる場合か!? しかしもう俺の前には鋭い牙が開かれている。
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