33 / 100
030-033 見えない何かを追う人と
033 俺は見たいものしか見ない
しおりを挟む
「ええっ!? 見えてなかったの!?」
壊したテーブルセットの弁償代を支払う横から叫ばれる。立て続けに「そういうのは早く言うべきじゃない?」と、何故か俺が女騎士に叱られる運びになった。
「あっ、そうだ!」は、彼女が言うなら最悪の予感でしかない。
「良いポーションがあるわよ」
「いや。そういうのはもう大丈夫」
「そんなあなただからよく効くのよ!」
「効く効かないを言っているんじゃないから」
女騎士とは話が合わない。見ている景色も違うみたいだし。これ以上関わる必要も無いだろうなって俺は思うわけで。
「じゃあ、俺は忙しいんで。猫にはよろしく言っといてくれ。さらばだ」
ひらひらと手を振って去ろうとした。女騎士は「待って」と言った。もちろん待たない。こちらは聞こえないふりに徹する。
「レイゼドールの祠って、入るにはちょっとしたコツがいるのを知っている!?」
しかし後ろからそう叫ばれて俺は足を止めた。周りに人がいるのに、あんまり大きな声で俺の目的を言わないで欲しい。
「きっと私を連れていって損はないと思うけど!! ねえ!!」
「……」
俺よ、迷うな。
可愛子ちゃんなら他にもいる。何も不思議なお姉さんに構ってあげる必要は無いんだ。色気も無いし俺得にならないだろう。
見えないものが見えるから何だ。世の中は見えないものだらけじゃないか。見たくても見えない夜は妄想で補ってきた俺だ。十分満足している。
「さよならだ」
俺は切り捨てる。そしてひとりでギルドの受付カウンターに立つ。俺が来そうになると受付嬢は引っ込み、馴染みの受付爺がいつでも笑顔で迎えてくれるな。
「やあ、こんにちは。お仲間は見つかりましたか?」
ちらっと俺の後ろを気に掛けていた。
「いいや。後ろのはただの知り合いで。さっき互いの武運を祈ってきたところだ。それよりレイゼドールの祠に行きたいんだが問題ないか?」
「はい。問題は、ございません。お気をつけて」
受付爺はわざわざ意味深な強調してくる。さっき女騎士が言った、祠に入るのにコツがいるというのが関わっているのか。謎解き要素があるってわけだな?
壊したテーブルセットの弁償代を支払う横から叫ばれる。立て続けに「そういうのは早く言うべきじゃない?」と、何故か俺が女騎士に叱られる運びになった。
「あっ、そうだ!」は、彼女が言うなら最悪の予感でしかない。
「良いポーションがあるわよ」
「いや。そういうのはもう大丈夫」
「そんなあなただからよく効くのよ!」
「効く効かないを言っているんじゃないから」
女騎士とは話が合わない。見ている景色も違うみたいだし。これ以上関わる必要も無いだろうなって俺は思うわけで。
「じゃあ、俺は忙しいんで。猫にはよろしく言っといてくれ。さらばだ」
ひらひらと手を振って去ろうとした。女騎士は「待って」と言った。もちろん待たない。こちらは聞こえないふりに徹する。
「レイゼドールの祠って、入るにはちょっとしたコツがいるのを知っている!?」
しかし後ろからそう叫ばれて俺は足を止めた。周りに人がいるのに、あんまり大きな声で俺の目的を言わないで欲しい。
「きっと私を連れていって損はないと思うけど!! ねえ!!」
「……」
俺よ、迷うな。
可愛子ちゃんなら他にもいる。何も不思議なお姉さんに構ってあげる必要は無いんだ。色気も無いし俺得にならないだろう。
見えないものが見えるから何だ。世の中は見えないものだらけじゃないか。見たくても見えない夜は妄想で補ってきた俺だ。十分満足している。
「さよならだ」
俺は切り捨てる。そしてひとりでギルドの受付カウンターに立つ。俺が来そうになると受付嬢は引っ込み、馴染みの受付爺がいつでも笑顔で迎えてくれるな。
「やあ、こんにちは。お仲間は見つかりましたか?」
ちらっと俺の後ろを気に掛けていた。
「いいや。後ろのはただの知り合いで。さっき互いの武運を祈ってきたところだ。それよりレイゼドールの祠に行きたいんだが問題ないか?」
「はい。問題は、ございません。お気をつけて」
受付爺はわざわざ意味深な強調してくる。さっき女騎士が言った、祠に入るのにコツがいるというのが関わっているのか。謎解き要素があるってわけだな?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる