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026-029【第二幕】わくわく!ギルド登録!
026 俺はカブトも嫌いじゃない
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強い日差しが照りつけている。陽炎が地面を焦がす夏日だ。
人間は、外仕事をするのに麦わら帽子を被って利口だった。牛は、小屋の日陰から一歩も出ないというもっと利口な生き物だった。馬もまた牛と同じだった。
旅の出発は馬車をカランコロン引いて行けると人間は出発直前まで疑わない。自分都合でなんて愚かな生き物なんだよと思うよな。俺以外は全員「当たり前だろ」と笑い飛ばしていたけどな。
「転生者殿ー! 大丈夫かー!」
特待偵察チームは後ろを向いて俺に呼び掛ける。俺とて足手まといにはなりたくない。遅れを取った分走って追い付きたいが……それも体力切れだった。
「水……水が欲しい……」
自分の分を飲み干した後だ。剣士のケンシも「喉乾いた~」と言うから俺ひとりのワガママじゃない。だったらこの近くに川がないだろうかと、サバイバル慣れした一行は話し合っていた。
「おーい、転生者! 川より街の方が近い! 街に行けばキンキンに冷えたカブトビールが飲めるぞー!」
這いつくばっていた俺は確かに「なぬっ」と言った。遅れ組は俺ひとりなので単なる独り言。
「カブトはキリンに勝てるのか!?」それは己で確かめないとならない。俺は最後の力を振り絞って彼らを追い抜き走った。
「乾杯っ!!」
大ジョッキがぶつかり合う。中の液体は琥珀色じゃなく黒ビールの色合いだ。たまらん。前世では第三のビールばかり飲んできたが、実は俺は初めてスポーツバーで飲んだ黒ラガーが忘れられなかったんだ。
そいつを一気に飲み干せば、冷たさ→炭酸刺激→苦味→甘味→フレーバーの余韻でもう一口。美味い酒に痺れる表情は万国も異世界も同じなんだな。全員が鼻頭にシワを作って悶えている。
「うーん……やっぱりキリンの勝ちのような……」
「何を難しい顔してんだ転生者!」
首をもぎ取られん勢いで豪腕を回された。上機嫌ですっかり仲良くなった俺は「イチャつくなよおっ!」なんてニヤニヤしながら顔を上げたんだ。しかしそれは特待偵察チームの誰でもない知らない人だった。
気が付けば俺のいる席には大勢の男女が集まっていた。素性も職業も名前もなんにも知らない人に親しく話されて、ガハハと笑いながら酒を上から掛けられたりする。
それがこの世界での酒の席。これが都市での交流文化。カルチャーショックだ。腐ったミルクの話をしたら、面白話のチップだと酒を奢られた。「他の人にも聞かせてやれよ」と客を募られまた同じ話をしたら、なんとごっそり大金が手に入った。
人間は、外仕事をするのに麦わら帽子を被って利口だった。牛は、小屋の日陰から一歩も出ないというもっと利口な生き物だった。馬もまた牛と同じだった。
旅の出発は馬車をカランコロン引いて行けると人間は出発直前まで疑わない。自分都合でなんて愚かな生き物なんだよと思うよな。俺以外は全員「当たり前だろ」と笑い飛ばしていたけどな。
「転生者殿ー! 大丈夫かー!」
特待偵察チームは後ろを向いて俺に呼び掛ける。俺とて足手まといにはなりたくない。遅れを取った分走って追い付きたいが……それも体力切れだった。
「水……水が欲しい……」
自分の分を飲み干した後だ。剣士のケンシも「喉乾いた~」と言うから俺ひとりのワガママじゃない。だったらこの近くに川がないだろうかと、サバイバル慣れした一行は話し合っていた。
「おーい、転生者! 川より街の方が近い! 街に行けばキンキンに冷えたカブトビールが飲めるぞー!」
這いつくばっていた俺は確かに「なぬっ」と言った。遅れ組は俺ひとりなので単なる独り言。
「カブトはキリンに勝てるのか!?」それは己で確かめないとならない。俺は最後の力を振り絞って彼らを追い抜き走った。
「乾杯っ!!」
大ジョッキがぶつかり合う。中の液体は琥珀色じゃなく黒ビールの色合いだ。たまらん。前世では第三のビールばかり飲んできたが、実は俺は初めてスポーツバーで飲んだ黒ラガーが忘れられなかったんだ。
そいつを一気に飲み干せば、冷たさ→炭酸刺激→苦味→甘味→フレーバーの余韻でもう一口。美味い酒に痺れる表情は万国も異世界も同じなんだな。全員が鼻頭にシワを作って悶えている。
「うーん……やっぱりキリンの勝ちのような……」
「何を難しい顔してんだ転生者!」
首をもぎ取られん勢いで豪腕を回された。上機嫌ですっかり仲良くなった俺は「イチャつくなよおっ!」なんてニヤニヤしながら顔を上げたんだ。しかしそれは特待偵察チームの誰でもない知らない人だった。
気が付けば俺のいる席には大勢の男女が集まっていた。素性も職業も名前もなんにも知らない人に親しく話されて、ガハハと笑いながら酒を上から掛けられたりする。
それがこの世界での酒の席。これが都市での交流文化。カルチャーショックだ。腐ったミルクの話をしたら、面白話のチップだと酒を奢られた。「他の人にも聞かせてやれよ」と客を募られまた同じ話をしたら、なんとごっそり大金が手に入った。
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