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034-035 英雄レイゼドールとは神である
035 俺は態度を改めない
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英雄神レイゼドールを崇め讃える大きな大きな祭壇。その格の違いに感服させられた。白い石像ばかり立派にしてあるものなんて寧ろショボいとも思えた。花を添えただけの女神像など墓石かよと思わせてくれる。
レイゼドールの祭壇ではまず、彼の生涯とその物語を見せつけられる。壁や天井いっぱいに、彼の起こした伝説の数々が色彩豊かに描かれている。床は彼が倒した魔物や悪魔の彫刻だ。石像が持つ大剣でなぎ倒されてか、彫刻の方は悲痛の表情である。英雄神の強さ・勇敢さ・正義感が見事に濃縮された素晴らしい祭壇だ。
しかも有象無象を包み込むオルガンの伴奏までオプション付き。俺と因縁のある女神が「大女神様」なんて呼ばれているのが本当に笑けてくるな。清々しい気分だよ。
「おーい! 聞いてるか!? こっちが間違いなく大英雄神様よ! 転生者をパシらせてソフトクリームなんか食ってんじゃねえ! パチもん女神が!」
笑うついでに言ってやった。俺の声はよくよく響いて気持ちがよかった。
朝から高笑いする男を周りは白い目で見る。だがそれでいい。「転生者って言ったか?」と誰かが口に出せば、たちまち周りには誰も居なくなった。なんだか俺が偉くなった心地だ。悪くない。
それはそれとして。しかしおかしくないか? と、俺は首をひねる。確かレイゼドールの祠に行くには、ちょっとしたコツがいるとか何とか。
なのに俺はスルッと行けてしまった。誰でも歓迎と扉も開いているし、入場料も無しで入れたわけだ。
ひとまず建物から出て俺は振り返った。いわゆる教会って感じの三角屋根で変わったところは無い。他にも建物があるのかもしれない。
とりあえず周辺をぐるっと回ってみることにする。それでも分からなかったら尾行人にでも聞いてみるか。空を見上げるふりして後ろを見たら、サッと鎧が物陰にひっこんだ。よしよし、ちゃんと来ているな。
……いいや、時短を図ろう。タイムパフォーマンス。用事は手っ取り早く済ませるに限る。
「なーにしてる?」
俺が覗き込んだ木樽の裏には、やけに大きくて頑丈そうなアルマジロがいた。そいつはパンを噛み締めながら青ざめた顔を上げていた。
「あ、あなたこそ。な、なーに……してる?」
「道が分からないから適当な人に教えてもらおうと思ったんだ。こんなところで知り合いに会えるなんてラッキーだよ」
「な、ナイスラッキー……?」
言葉を喋るアルマジロを掴み上げたら丸くならない。ちょんと地面に座って「尾行してごねんなさい」と謝ってきた。なんて素直な女騎士アルマジロなんだろう。
「なんでついて来たんだ」
「気になったから」
モジモジもなしで即答される。
「俺のことが気になるのか」
「ええ。興味津々よ」
躊躇いもせずに言い切る。
こんなカラッと乾いた関係も素敵だろうが、俺は望んでいない。
異性との出会いを……ましてや異世界という憧れの場所での異性との出会いに関してだけは、はっきりと脈あり以外は受け付けたくない。
「道案内を済ませたらとっとと居なくなれ」
英雄神レイゼドールは同じ転生者の俺を、天からどんな風に見ていただろう。
レイゼドールの祭壇ではまず、彼の生涯とその物語を見せつけられる。壁や天井いっぱいに、彼の起こした伝説の数々が色彩豊かに描かれている。床は彼が倒した魔物や悪魔の彫刻だ。石像が持つ大剣でなぎ倒されてか、彫刻の方は悲痛の表情である。英雄神の強さ・勇敢さ・正義感が見事に濃縮された素晴らしい祭壇だ。
しかも有象無象を包み込むオルガンの伴奏までオプション付き。俺と因縁のある女神が「大女神様」なんて呼ばれているのが本当に笑けてくるな。清々しい気分だよ。
「おーい! 聞いてるか!? こっちが間違いなく大英雄神様よ! 転生者をパシらせてソフトクリームなんか食ってんじゃねえ! パチもん女神が!」
笑うついでに言ってやった。俺の声はよくよく響いて気持ちがよかった。
朝から高笑いする男を周りは白い目で見る。だがそれでいい。「転生者って言ったか?」と誰かが口に出せば、たちまち周りには誰も居なくなった。なんだか俺が偉くなった心地だ。悪くない。
それはそれとして。しかしおかしくないか? と、俺は首をひねる。確かレイゼドールの祠に行くには、ちょっとしたコツがいるとか何とか。
なのに俺はスルッと行けてしまった。誰でも歓迎と扉も開いているし、入場料も無しで入れたわけだ。
ひとまず建物から出て俺は振り返った。いわゆる教会って感じの三角屋根で変わったところは無い。他にも建物があるのかもしれない。
とりあえず周辺をぐるっと回ってみることにする。それでも分からなかったら尾行人にでも聞いてみるか。空を見上げるふりして後ろを見たら、サッと鎧が物陰にひっこんだ。よしよし、ちゃんと来ているな。
……いいや、時短を図ろう。タイムパフォーマンス。用事は手っ取り早く済ませるに限る。
「なーにしてる?」
俺が覗き込んだ木樽の裏には、やけに大きくて頑丈そうなアルマジロがいた。そいつはパンを噛み締めながら青ざめた顔を上げていた。
「あ、あなたこそ。な、なーに……してる?」
「道が分からないから適当な人に教えてもらおうと思ったんだ。こんなところで知り合いに会えるなんてラッキーだよ」
「な、ナイスラッキー……?」
言葉を喋るアルマジロを掴み上げたら丸くならない。ちょんと地面に座って「尾行してごねんなさい」と謝ってきた。なんて素直な女騎士アルマジロなんだろう。
「なんでついて来たんだ」
「気になったから」
モジモジもなしで即答される。
「俺のことが気になるのか」
「ええ。興味津々よ」
躊躇いもせずに言い切る。
こんなカラッと乾いた関係も素敵だろうが、俺は望んでいない。
異性との出会いを……ましてや異世界という憧れの場所での異性との出会いに関してだけは、はっきりと脈あり以外は受け付けたくない。
「道案内を済ませたらとっとと居なくなれ」
英雄神レイゼドールは同じ転生者の俺を、天からどんな風に見ていただろう。
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