EARTH STRIDER 〔アースストライダー〕

とと

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第1章〔地球編〕

past5 電話の相手

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日は変わり真夜中の三時。私はアースフィール。不死鳥フェニックスモデルの赤く輝くWEGSウェグスだ。

那賀龍神は自室で生徒名簿とにらめっこをしていた。

「龍神さま、まだ寝ないのですか?」

「だあ~~っ!話しかけんじゃねぇ!忘れちまったじゃねぇか!」

私の問いかけに那賀龍神が怒鳴り返した。

「ようやく二十人目まで覚えかけたのに……」

那賀龍神は今日の授業迄に三十人の生徒達の名前と顔を、覚えようと奮起していた。

普段はこの時間は寝ているのが普通なのだが、何故か那賀龍神は奮起している。

「子供が好きなんて長年の付き合いですが知らなかったです」

「いや、俺も知らなかった。まあ、今まで子供とふれあう事がなかったからな、正直、俺も戸惑っているぜ」

那賀龍神が何かに夢中になるなんて今まであまりなく、私自身もここに来れて良かったと思える。

「ところでこの男子二人、双子なんだが苗字が違うのは何故だ?」

那賀龍神が私に質問するのもあまりない。

「産まれてすぐに両親が離婚し、兄のノリヒコくんは父方の姓を、弟のテルくんは母方の姓になっているのです」

「離婚してか……、まあ、俺も似たようなもんか」

「龍神さまは結婚する前ですから……」

那賀龍神が複雑な表情で呟くと、私はすぐに慰めにもならないフォローをした。

那賀龍神には婚約者がいたのだか、ある理由で破局したのだ。それは那賀龍神にとり、思い出したくない傷である。

「話しが反れちまった。生徒全員を覚えるまで話しかけんじゃねぇぞ!話しかけたらスクラップにするぞ!」

そうぶっきらぼうに言うと、那賀龍神は再び生徒名簿を見ながら集中した。






午前七時。那賀龍神が結局寝入ったのは午前五時半過ぎで、七時には起こさないといけなかった。

私は那賀龍神を起こそうとすると、突然私の頭部に内蔵された電話が響いた。

私には、というか全てのWEGSには様々な機能が備わってあり、時計、居場所探知や簡易な医療能力やら様々な機能だ。その一つに移動中でも連絡ができる電話機能もあり、それが私の頭部でバイブ機能となり響いたのだ。

私の機械の眼部から液晶で誰がかけて来たかが解る。

「杉並優菜……さま」

私は電話の相手の名前を思わず言ってしまった。

那賀龍神は目の前で寝ている。いや、起きてしまった。私が思わず言ってしまった人物の名前に敏感に反応して……

「龍神さま、今、優菜さまから電話が……」

「出んじゃねぇぞ!」

「もう、出てしまいました……」

「なっ、バっ!」

那賀龍神は怒り任せに私の頭部を殴った。

「もしもし、龍神?」

「………………………」

私の頭部から女性の声が響くと私の機械の目が光り、壁に向かって美しい女性が映し出された。

杉並優菜、その人である。

日下部弥生と同じように美女でスタイルもよく、ストレートの髪は背中まで伸びており、那賀龍神や日下部弥生と同じように長髪であった。

「な、なんだよ?俺は忙しいんだよ」

「そうね。後一時間で授業が始まるしね」

「おま、な、なんで知ってんだよ!?」

杉並優菜の一言に那賀龍神が驚愕する。

「お前か?ポンコツ!?」

「いえ、違います!」

那賀龍神はすぐさま私を疑ったが、私は那賀龍神の相棒であり、良き理解者のつもりだ。絶対に私ではない。

「アースフィールは言ってないわ。でもアースフィールが貴方の居場所を教えてくれた」

居場所探知機GPSか?」

那賀龍神の発言に杉並優菜が首肯く。

「あまりそんな態度をとらないでほしいわ。貴方と別れて……「用件はそんな事か?」

杉並優菜の寂しそうな表情に那賀龍神は溜息混じりに答えた。

「……本題に入らないと、いつでも切りそうね。本題は惑星ガニメラの半分以上を壊滅した貴方を差し出せと……」

杉並優菜の映像電話をかけた理由はそれだった。

「でもあれは……「解っているわ。あれは龍神の正当防衛だし、ガニメラ人を殺らなければ、私達の地球が……、だから貴方を不当解雇した幹部達には責任をとってもらった」

「……だったら?ガニメラ人に俺を差し出す理由なく、お前らで戦争でもなんでもやれよ!俺はもうお前らの為に動かない!」

「差し出せと命令したのは、ガニメラ人じゃないわ」

杉並優菜の発言に那賀龍神は睨み付けながら、無言で次の発言を待った。

「六英雄星の一団、惑星タームの皇帝が……」

「六英雄星団!……よりによって……」

私は思わず言葉にしてしまった。限りなく拡がるこの広大なる宇宙に暗躍する恐怖と混沌の勢力が、まさかあのガニメラでの出来事によって相棒に目をつけるとは……

「詳しくは貴方に会いに行き、説明するわ」

「来なくていい!来るんじゃねぇぞ!」

「これは私の問題じゃないわ、米国四騎士アメリカン・ナイト・フォーも来るわ」

「アメリカン・ナイト・フォー?アイツらが?」

その言葉に那賀龍神は絶句した。

そして、杉並優菜は二、三と話しをしたが那賀龍神の耳には入らなかったと私は思考した。そして杉並優菜は電話を切った。





那賀龍神は教室の前に立ち、ゆっくり深呼吸をし、教室の中へと入った。

「おはよう!みんな!」

那賀龍神は何事もなかったように笑顔で生徒達に挨拶をした。

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